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堆厩肥による地力の維持増進(1)【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第122回2020年10月29日

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戦中、食料増産の掛け声で空き地はもちろん公園や学校の校庭、道端にまで豆や野菜を植えさせられた。戦後は食料危機に対応すべく都会でも家の庭を起こして畑にし、野菜などをつくった。その土地を肥やすべく肥料となるものを何でも投入した。路上の牛馬糞などは最高級品、それを拾ってきて入れたものだった。

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戦後すぐのころの『サザエさん』の漫画に、家の前の道に落ちている馬糞を誰が拾うかをめぐって大騒ぎをする話があったが、家畜の糞尿が大事なものということは世の中の常識、みんな知っていた。

もちろん農家は家畜の糞尿を肥料として大事にした。だから、家畜を飼育しようとした。そもそも家畜は「用畜」(人間に有用なものを生産させるための家畜)、「役畜」(農作業や運搬などに使役するための家畜)として飼育されたのであるが、やがて「糞畜」(糞尿を供給させるための家畜)としての役割を果たさせるためにも飼育されるようになったのである。

その家畜の飼料は、かつては山野草、畦畔草、稲わらなどの副産物、穀物や野菜の残滓物、人間の食事の余り物などだった。そしてそれが家畜を通して糞尿となり、さらにそれは良質の肥料となって作物が耕地から奪った養分を耕地に返した。

つまり、山林原野、畦畔等の耕地以外の土地のもつ養分も家畜を通して糞尿とし、それを肥料として散布して耕地の地力(=作物を生育させる土地の生産手段としての能力)を回復さらには増進し、耕地から農産物として収奪した養分のうち人間が使うものを除いて余すところなく家畜の飼料=糞尿にして耕地に返して地力を維持しようとしたのである。

それから人糞尿を通じても耕地から得た養分を耕地に返そうとした。人糞尿は最高の養分をもった速効性肥料だったからである。それで都市の人糞尿も利用した。かなり前の本稿で私の生家のある山形市の例をあげた(注)が、これは江戸時代の大都市の江戸や京都でも同じであり、この都市住民の出す人糞尿が自らを養う野菜等を育てる補助材料となったのである。

このように糞尿は単なる廃棄物、不要物ではなかった。自然の力を利用している農林漁業を起原とするものには廃棄物、不要物はないのである。

今言った人間の排泄物を例にとって考えてみよう。たしかにそれは人間の身体にとっては不要物である。それで排泄する。その排泄物なるものは農業に起源をもつ。土から取れた農畜産物、つまり土壌の養分が人間の体を通じて変化したものなのである。それを土に返せば微生物による腐敗という過程を経過してもとの土壌養分に戻る。そしてもとに戻すことによって地力は回復する。人体にとっては不要物として排泄しても、自然にとっては不要物ではないのである。

そもそも自然それ自体には不要物という概念はない。私たちが不要物と考えてしまいがちな動物の糞尿や死骸、倒木など枯れたり腐ったりした植物も自然にとっては不要物ではない。こうしたもの、つまり土から生まれたものは自然のうちに土に還る。そしてその土がまた動物や植物をいずれかの地で産み出す。つまり動植物は自ら微生物の力を借りて腐ることにより、あるいは排泄物を通じて土から取った養分等を土に戻すことにより、また再び土から生まれるのである。これが自然の循環システムであり、不要物と我々が考えているものも自然にとっては必要不可欠のものなのである。

それを学んだ人間は、林野等から落ち葉や枯れ草、生草を取ってきて堆肥にし、田畑に投与して作物を育ててきた。とくにそれは畑作地帯や山間部では必要不可欠のものであった。地域によっては山野に集落共同の草刈り場を設け、田畑の肥料や牛馬の秣(まぐさ)にするための草を刈り取ったりもした(次回に続く)。

(注)JAcom農業協同組合新聞コラム、拙稿・2018年8月9日掲載・第15回「増収と『ダラ汲み百姓』」参照

酒井惇一(東北大学名誉教授)のコラム【昔の農村・今の世の中】

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