【JCA週報】「人に優しい社会づくり」は協同組合の大きな使命(2009)(高橋英俊)2022年9月12日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹JA全中代表理事会長、副会長 土屋敏夫 日本生協連代表会長)が、各都道府県での協同組合間連携の事例や連携・SDGsの勉強会などの内容、そして協同組合研究誌「にじ」に掲載された内容紹介や抜粋などの情報を、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、「にじ」2009年夏号に、当時の常務理事であった高橋英俊氏が執筆された「『人に優しい社会づくり』は協同組合の大きな使命」です。
「人に優しい社会づくり」は協同組合の大きな使命(2009)
財団法人協同組合経営研究所 高橋英俊常務理事
不安の中にいるが
毎日のように派遣職員の解雇や企業の経営悪化が報道される。直近まで「企業の社会的責任」(CSR)がブームであり、多様な社会的責任の重要なものに雇用の確保があったはず。しかし、百年に一度と言われるアメリカ発の金融危機が、全世界に大きな影響を及ぼし、日本もその渦中にある。マネーゲームの結果、多くの国民が将来への不安を増し、夢を持てなくなっている。
一方、逆境を跳ね返す「小さな協同」「助け合い」の芽(動き)が全国各地に発生しており、拡大することが期待される。もともと協同組合は、人的結合体としての相互扶助(助け合い)を「理念」として持っており、力を合わせて「地域社会に根ざした組織としての社会的役割を誠実に果たすこと」が求められている。お金中心の価値観、一部の勝ち組と多くの負け組を生み出す仕組み等から方向転換し「人に優しい社会づくり」につながる取組みの中心に協同組合が存在することが求められる。
協同組合セクターの活躍が緊要に
内橋克人氏が『共生の大地』で書いた「共生セクター」(資本主義社会・市場社会の競争原理とは異なる、「協同」「連帯」「参加」という共生の原理で動く組織や社会)としての協同組合の役割が大変重要な時代になったと言える。また、同氏は同書においてF(食料)E(エネルギー)C(ケア・介護)の地域自給自足圏構想を提唱したが、今まさに日本は、F(食料)E(エネルギー)C(ケア・介護)とも不安な国となり、その再構築と協同組合セクターの活躍が緊要である。
理念の先に事業がある
また、100年以上存続している組織(企業)について、「ビジョナリーカンパニー」という概念があり、「ビジョナリー」とは「明確なビジョンを持った」、「ビジョナリーカンパニー」とは、「明確な理念を持ち、理念中心の経営を行うことで、継続的に成長している企業」と定義づけられている。
「理念浸透」と「業績拡大」とは対立する、また「理念」と「事業」は別のものと考える人がいるが、「理念を事業拡大の道しるべとし、理念中心の事業を具体化し実践すること」が協同組合の継続的成長に求められているのではないだろうか。
協同組合が本当に求められる時代が来た
今こそ、我々協同組合の理念を学び合い確認し、その具体化をとおして個人・家族はもちろん「地域に対する社会的貢献」に努め、「人に優しい社会づくり」の重要な一員となることが必要である。「協同組合が本当に求められる時代が来た」との声が拡大していることを強く感じる今日である。
財団法人 協同組合経営研究所 協同組合経営研究誌「にじ」2009年夏号 No.626より
JCAは、「学ぶとつながるプラットフォーム」をめざしています。
重要な記事
最新の記事
-
果樹産地消滅の恐れ 農家が20年で半減 担い手確保が急務 審議会で議論スタート2024年10月23日
-
【注意報】野菜、花き類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 滋賀県2024年10月23日
-
【クローズアップ】数字で見る米③ 委託販売と共同計算2024年10月23日
-
【クローズアップ】数字で見る米④ 委託販売と共同計算2024年10月23日
-
千葉県で高病原性鳥インフルエンザ 今シーズン国内2例目2024年10月23日
-
能登を救わずして地方創生なし 【小松泰信・地方の眼力】2024年10月23日
-
森から生まれた収益、森づくりに還元 J‐クレジット活用のリース、JA三井リース九州が第1号案件の契約交わす2024年10月23日
-
食品関連企業の海外展開に関するセミナー開催 関西発の取組を紹介 農水省2024年10月23日
-
ヒガシマル醤油「鍋つゆ」2本付き「はくさい鍋野菜セット」予約販売開始 JA全農兵庫2024年10月23日
-
JAタウン「サンゴ礁の島『喜界島』旅気分キャンペーン」開催2024年10月23日
-
明大菊池ゼミ・同志社大上田ゼミと合同でマーケ施策プロジェクト始動 マルトモ2024年10月23日
-
イネいもち病菌はポリアミンの産生を通じて放線菌の増殖を促進 東京理科大2024年10月23日
-
新米「あきたこまち」入り「なまはげ米袋」新発売 秋田県潟上市2024年10月23日
-
「持続可能な農泊モデル地域」創出へ 5つの農泊地域をモデル地域に選定 JTB総合研究所2024年10月23日
-
「BIOFACH JAPAN 2024」に出展 日本有機加工食品コンソーシアム2024年10月23日
-
廃棄摘果りんご100%使用「テキカカアップルソーダ」ホップテイスト新登場 もりやま園2024年10月23日
-
「温室効果ガス削減」「生物多様性保全」対応米に見える化ラベル表示開始 神明2024年10月23日
-
【人事異動】クボタ(11月1日付)2024年10月23日
-
店舗・宅配ともに前年超え 9月度供給高速報 日本生協連2024年10月23日
-
筑波大発スタートアップのエンドファイト シードラウンドで約1.5億円を資金調達2024年10月23日