その昔の遊び場、遊び道具【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第253回2023年8月24日

私の子ども時代(戦前昭和)、前回述べたような儀式なしでじゃんけん(キッキノキと私たちは言っていた)だけで鬼を決める普通の鬼ごっこ(「しぇめっこら(=捕まえっこ)」と私たちは呼んでいた)もして遊んだ。
当然かくれんぼもする。始まる前にどこからどこまでと逃げる・隠れる範囲の約束をするが、隠れ場所は近所すべてが対象である。家の中以外、誰の屋敷であろうとも入り込んでかくれる。
よその家の軒先や庭は遊び場だ。赤ん坊を寝かしつけているなど特別の場合以外は、いくらうるさくして遊んでいても怒られない。自分の子どももそうやって遊んでいるのだから「お互いさま」なのだ。
道路は国道以外自動車などまったく通らないから子どもたちの天国だ。前に紹介した「おごんつぁん」や「べっきどん」の遊びももちろん道路でやる。また道路の土に棒で大きく線を引いて「石蹴り(ケンケンパー)」をする。二本の電信柱を陣地にしての「陣取り」もある。道路いっぱいにひろがって馬乗り、「ゴム飛び」、「縄跳び」、「花いちもんめ」、一列に並んでの「手ぬぐい外し」などをする。むしろを敷いて「ままごと」や「弁当開き」(弁当をつくってもらって空き地にむしろを敷いてみんなで食べる)もする。通行人や牛馬車が通るとき以外は道路は子どもたちのものだった。
おもちゃなどほとんどない。もちろん、当時の流行りだったブリキのおもちゃがなかったわけではない。また私は三輪車を、妹はお腹を押すとママアと声を出す大きな人形などを買ってもらっていた。農村といっても町場にあるために都市部と同じようなおもちゃがあったのである。しかしそれらは高価で、当然数は少ない。近くの子どもたちで持っているものも少ない。
となると、みんなで雑草など身の回りの自然のものを遊びの材料とする以外なかった。
たとえば、べっきぐさ(オオバコ)の長くて丈夫な穂茎を採って、二人でそれをからませて引っ張りあい、さきに切れた方が負けとなる「すもうとり」という遊びをする。成長したナズナの茎先にたくさんの小さい白い花が咲き扁平で三角形の果実がつくが、それを二本とってこすりあわせて音を出して遊ぶ。三味線のような音がすると称して子どもたちはそれを「ペンペン草」と呼ぶ。スズメノテッポウで草笛をつくる。よその家の畑にあるホオズキの実を採ってきて中の種をとり、皮を口に入れ、それに空気の出し入れをしてキュッキュッと音を出して遊ぶ。
木から落ちた柿の花、ツツジの花を拾い、その花の下の方に空いている穴に稲わらを通してたくさんつなぎ、首飾りをつくる。だんごっぱな(シロツメクサの花=私たちの地域の言葉でいうと「ミツパの花」)をその下の長い茎も含めて何十本も採り、それを編んで冠や首飾りをつくる。ヤエムグラの茎と葉が衣服にくっつくのを利用して、それを勲章と称して服に付ける。友達の後ろにこっそり忍び寄って首にネコジャラシ(エノコログサ)の穂をこすりつけてくすぐり、毛虫だと驚かす。そんないたづらも遊びだった。
桜の木についている茶色のヤニや松ヤニを見つけるとそれを人差し指と親指の先っちょにつける。それを何回かくっつけては離し、離してはくっつけしているとヤニが両指の間で白い細い糸を何本もひくようになる。その糸がどれだけたくさん出るかを友だちと競争する。
小麦の脱穀のときには、足踏み脱穀機から出てくる小麦を手に一握りとって口に入れる。当然すごく固い。しかしがんばって噛んでいると口の中で潰され、やがてねばねばしてくる。それをチューインガムと称してふくらませて遊ぶ。
タケノコの季節には、むいた皮をもらってそれを三角に折り、そのなかに梅干しとシソの葉を入れてすすったり、最後に井戸水を注ぎ込んでピンク色に染まった酸っぱい水を飲んだりする。
竹と言えば、竹馬、竹とんぼ、竹製の水鉄砲がある。
また、杉鉄砲もある。これについては前に話しているので省略するが、さらに新聞紙などをくちゃくちゃ噛んでつくった紙玉を竹の穴に詰め、同じく空気の圧力で撃つ紙鉄砲でも遊んだ。この紙鉄砲に使う竹は杉鉄砲より少し太く、長い。これも自らつくって遊び道具にしたものだった。
その他、笹の葉で船をつくり川に流して競争して遊ぶ、田畑、山野には遊び道具はたくさんあった。
セミ・トンボ・チョウチョ・バッタ・ホタル捕り、セミの幼虫の穴探し、子どもたちはみんな捕まえるのが好きだった。狩猟生活をした原始社会の先祖の血がこうさせるのだろうか。
さらに進んで、田んぼや小川に行ってのドジョウ、小鮒、タニシ、イナゴ捕り、これは遊びであると同時に家族の食料の獲得⋕仕事でもあった。
動物だけではない、セリ、ツクシ、ノビル、ナヅナ、アケビの木の芽等々、山野の野草採り、これも同じく遊び兼労働だった。これらの植物は家族の大事な食料だったのである。
山村に行けば、ワラビやゼンマイ等々の山菜の採取に連れて行かれた。それも楽しみだったが、そのときに山野草を利用した遊びを親や兄姉に教えてもらうのもうれしかった。
ノビルなど、私たち子どもには苦くてあるいは辛くて食べられないものだったが、祖父など大人が夕食時に味噌をつけてそれを喜んで食べ、晩酌のつまみにしているのを見ると自分も役に立っているとうれしく感じたものだった。
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