(415)年齢差の認識【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月20日
大河ドラマ「光る君へ」が終了しました。今回、ドラマを通じていくつも再認識した点があります。
この大河ドラマは久しぶりに細部に気をつけながら観ていた。ポイントは2つあり、ひとつは衣装などの時代考証がかなり細かい点である。この点は放送後の専門家からの指摘などを見て、なるほどと思った点が多々ある。
もうひとつ、筆者が気にしていたのは主たる登場人物の年齢差である。この時代の女性の場合、氏名も生没年も不詳という例が多い。簡単に調べたところ、以下のような年齢差がわかる(これとて「?」マーク付きである)。
赤染衛門 (956-1041)
清少納言 (966頃-1025頃)
藤原道長 (966-1028)
紫式部 (970/978頃-1014/1031頃)
藤原定子 (976-1001)
和泉式部 (978-?)
藤原倫子 (964-1053)
藤原彰子 (988-1074)
菅原孝標女(1008-?)
こうして見ると、一番年長の赤染衛門はこの時代としてはかなり長命である。1041年、86歳で曽孫(ひ孫)の誕生を祝う歌を詠んでいる。
清少納言と藤原道長がほぼ同い年という点も再認識した。道長は別として、清少納言から見れば、赤染衛門は10歳年上である。企業に勤め始めたばかりの新入社員と10年上の先輩との関係という視点で見ると、この両者の関係はわかりやすい。
紫式部の生没年は幅がある。厳密な歴史考証は別として、大河ドラマで道長とまひろの子供時代の年齢差が描かれていた点を見ると、4歳の年齢差はそれなりに納得できる。9歳と13歳、つまり現代で言えば小学校3年生が中学1年生を見るような関係である。小学校3年生の頃は中学生がかなり大人に見えた記憶がある。一方、仮に紫式部を978年生まれとすれば道長との年齢差は12歳になる。9歳の紫式部には21歳の道長はほとんどオジサンにしか見えなかったのではないか。こう考えると、少なくとも生年については4歳差で良い気がする。
ドラマでは清少納言と紫式部がそれなりに張り合う場面が多いが、それも4歳程度の差であれば納得できる。12歳も離れれば、張り合う気にもならないというのは穿った見方かもしれないが現代の勤め人にはよくわかるのではないか。
最終回では更級日記の作者である菅原孝標女が登場した。彼女は1008年の生まれらしい。紫式部を970年の生まれとすれば38歳の年齢差である。今の筆者と大学生との年齢差に近い。感覚的に言えば、「うん、是非、頑張ってね」というところだ。
なお紫式部と菅原孝標女の間に和泉式部という女性がいる。彼女の生年は978頃、没年は不明、可能性としては紫式部より8歳年下か同年齢の可能性すら否定できない。
さて、紫式部の没年は1014~1031年までとかなり幅がある。1014年とすると道長の最後の日々に立ち会えない。こうなると大河ドラマの最終回は成立しない。1031年頃とすれば、道長の死後2~3年は生きてから亡くなることになる。
それにしても、道長の正妻である倫子(ドラマでは黒木華)の「あなたと殿はいつからなの」「私が気づいていないとでも思っていた?」との名セリフと表情は凄かった。思わず「怖~!」と感じた殿方は多いのではないだろうか。
そして、この倫子、実は紫式部より少し年上の可能性が高いが、何と1053年、90歳まで生きている。主要登場人物の中で最も長命である。彼女が無くなる2年前、1051年には東国で前9年の役が起こる。なお、入内が9歳の藤原彰子も1074年、87歳まで生きている。枕草子、源氏物語と言えば、中宮定子、中宮彰子と並べて覚えていたが若くして亡くなった定子に対し、彰子は定子の死後60年以上生きていたのだと今更ながら再認識した次第である。
* *
何となく曖昧に覚えていた各登場人物の年齢差、これがわかると意外に楽しめますね。
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