宮崎県の酪農家 「両親の給料カット、貯金取り崩し...」 長期支援求める2022年9月21日
飼料価格の高騰で苦境の酪農を支援するため政府は予備費で経産牛1頭当たり都府県では1万円、北海道では7200円交付して支援する緊急対策を決めた。だが「1月分の輸入乾牧草代を支払えば残らない」という。長期的な支援を求める切実な声が聞かれる。
宮崎県小林市で酪農を営む元JA全青協副会長の大山雅行さんは経産牛30頭を両親とともに飼育している。
「配合飼料と輸入乾牧草の高騰で本当に経営はいっぱいいっぱい。貯金を崩したり、申し訳ないが両親に支払う給料を下げたりしています。そこまでしないとやっていけません」と話す。
今回、今年4月から10月までの飼料高騰を支援するために経産牛1頭当たり1万円の交付が決まった。
大山さんの農場には30万円が交付されることなる。
「ありがたいですが、1か月分の輸入乾牧草代の支払いをすれば残りません」。
飼料価格の高騰は4月以前から続いているため、せめて今年1月までさかのぼって交付額を決め、さらに年間を通して支援する仕組みができないかという思いがある。
10月からの配合飼料価格についてJA全農は据え置きを決め、少しほっとしているが、生乳価格になかなか転嫁できないのが厳しい。11月から生乳の買取価格が1キロ10円上がるが、酪農家の手取りとしては7円程度の上昇でとなる見込みで「焼石に水」とも感じる。
「牛乳でメシを食っていくのは大変...」なので、受精卵移植を利用した和子牛の生産など副産物で収益を上げる努力もしている。
地域の40代、50代の酪農家からは「酪農から繁殖和牛へ転換するかあ」という声も聞かれるばかりか、「いっそ人手不足の運送業に職を変えるかと話す人もいます」と先の見えない仲間の様子を話してくれた。
大山さんの暮らす地域は台風14号の影響で18日から断水が続いている。そのため浄水場に給水タンクを持っていって牛の水を確保している状況だ。地域の高齢の繁殖農家は水を取りにいけないので大山さんが配っている。まさに台風が追い打ちをかけた。
「長期にわたって酪農を支援すると言葉が聞ければありがたい。本当に見通しがない状況です」と苦境を訴えている。
台風による被害の実態把握と支援も早急な課題となっている。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(90)みどりの食料システム戦略 現在の技術で実現可能でしょ(4)2024年4月20日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(7)【防除学習帖】 第246回2024年4月20日
-
土壌診断の基礎知識(16)【今さら聞けない営農情報】第246回2024年4月20日
-
地域複合農業戦略に挑む(2)JA秋田中央会会長 小松忠彦氏【未来視座 JAトップインタビュー】2024年4月19日
-
農基法改正案が衆院を通過 賛成多数で可決2024年4月19日
-
【注意報】さとうきびにメイチュウ類 伊是名島で発生多発のおそれ 沖縄県2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:JA水戸 那珂川低温倉庫(茨城県) 温湿度・穀温 適正化徹底2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ対策を万全に 農業倉庫基金理事長 長瀬仁人氏2024年4月19日
-
食農教育補助教材を市内小学校へ贈呈 JA鶴岡とJA庄内たがわ2024年4月19日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第97回2024年4月19日
-
(380)震災時は5歳【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月19日
-
【JA人事】JA道北なよろ(北海道)村上清組合長を再任(4月12日)2024年4月19日
-
地拵え作業を遠隔操作「ラジコン式地拵機」レンタル開始 アクティオ2024年4月19日
-
協同組合のアイデンティティ 再確認 日本文化厚生連24年度事業計画2024年4月19日
-
料理酒「CS-4T」に含まれる成分が代替肉など食品の不快臭を改善 特許取得 白鶴酒造2024年4月19日
-
やきいもの聖地・らぽっぽファームで「GWやきいも工場祭2024」開催2024年4月19日
-
『ニッポンエール』グミシリーズから「広島県産世羅なしグミ」新発売 JA全農2024年4月19日
-
「パルシステムでんき」新規受付を再開 市場の影響を受けにくい再エネ調達力を強化2024年4月19日
-
養分欠乏下で高い生産性 陸稲品種 マダガスカルで「Mavitrika」開発 国際農研2024年4月19日
-
福島県産ブランド豚「麓山高原豚」使用『喜多方ラーメンバーガー』新発売 JAタウン2024年4月19日