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トラクターの低コスト化実現 JA全農耕種資材部 山中嗣貴次長に聞く-JA全農2020年10月19日

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低コストを実現しようとJA全農が生産者とともに2018(平成30)年度から取り組んできた共同購入トラクター(大型)の受発注は今年11月末で終了する。現場が必要とする機能に絞り込んでメーカーに開発要求をし、開発した農機に全国で受注を積み上げていた。このほど第2弾の中型トラクターの共同購入トラクターが決定した。JA全農耕種資材部の山中嗣貴次長にこれまでの成果などを聞いた。

共同購入トラクター 台数は目標を大幅増

JA全農耕種資材部 山中嗣貴次長JA全農耕種資材部 山中嗣貴次長

--改めて取り組みの経過からお話しください。

2016(平成28)年ごろから生産資材価格が高いのではないか、とくに最近の農業機械について非常に高機能でハイスペックで価格も高いという指摘が国の規制改革推進会議などでも出されました。

それに対してやはり協同組合運動とは、よりよい機械や生産資材を安く購入して生産者のみなさんに提供していくということであり、共同購入が原点ではないか、との意見がかなり出て、それが取り組みのきっかけになりました。

その際、実際に使っている生産者のみなさんの声を聞こうと農業者3団体(JA全青協、日本農業法人協会、全国農業青年クラブ連絡協議会)に声をかけて、2016年に資材事業研究会を立ち上げました。
実際に販売されている機能を絞ったトラクターを14台用意し37人の生産者に使ってもらうモニター活動も行って意見をいただき、シンプルなトラクターでも十分に農作業をこなせると確信を得て、こうしたトラクターの共同購入運動をやろうということになりました。

生産者アンケートも行い、1万人を超える声が寄せられて、どんな機能が必要か、不要なのかを調査して、生産者が必要とする低価格モデルトラクターの仕様を決定し農機メーカーに開発要求を行いました。生産現場から出てきた声は、たとえば「無給油で1日作業ができるようにしてほしい」などです。

当時、規制改革推進会議などでも農機価格はどう決めているのかという指摘もありましたから、4社に開発要求し、入札で1社を選定し、そのトラクターを共同購入しようという枠組みを作って実施したというのが第1弾の取り組みです。第1弾はヤンマーアグリ製に決まりました。

結果としては、価格のインパクトがいちばん大きかったと思います。発表直後から大きな反響をいただき注文も多くいただきました。

第1弾の共同購入トラクタター(大型) YT357JZUQH第1弾の共同購入トラクタター(大型) YT357JZUQH

--どんな特徴がありますか。

コンセプトは生産者が必要とする機能を備えた大型トラクターです。これから日本の農業を担っていく30ha~50ha層の生産者がかなり増えていますが、その層に合う出力はどの程度かを農業者3団体と協議して60馬力としました。

60馬力クラスではノークラッチ変速が主流でしたが、共同購入トラクターではマニュアルシフトでも十分だという意見を反映しました。そのほか既存のトラクターに便利な機能はいくつもありますが、必要なものに絞り込んで、たとえば自動水平制御や一定の深さに保つ自動耕深制御、ほ場の隅で切り返しするときに、前輪だけが早く回る倍速ターンの機能などを装備することにしました。こういう機能はないと困るということです。

また夏や冬にも長時間使いますから快適に作業するにはやはりキャビンは必要だということになりました。それから8時間程度無給油で作業継続できる燃料タンクの増量です。

実は燃料タンクの増量がメーカーにとっていちばん大変だったようです。単に大きくすればいいものではなく、安全性試験などクリアして保安基準を満たす必要があるということでした。 

2018年10月から供給を開始し今年8月末時点の累計発注台数は39県で1845台となっています。最終発注となる11月末までに累計2000台をめざして推進を継続しています。目標台数は当初3年間で1000台でしたから、それを大幅に上回る実績となっています。

--成果はいかがでしょうか。

そもそもの目的は価格を引き下げることでした。価格の引き下げ効果は、同クラスの標準的なトラクターにくらべると、生産者の購入価格は25%から35%の低減効果があったことを確認しています。
これは需要をとりまとめて毎月一括発注しただけでなく、発注から3か月後の納品としたことでメーカーも計画的な生産できることから、生産から流通まで効率化できて、生産者に価格メリットを還元することができたのだと思っています。

この新たな共同購入運動によって低価格モデルの取り扱いも拡大しています。

大型クラス(50~70馬力)の全農の取り扱い台数は2017年度は860台でしたが、19年度は2769台となりました。その内訳は共同購入トラクターが1105台ですが、ヤンマー以外の3社が発売した低価格モデルが913台となっています。開発要求は4社に行い、各社が低価格モデルを開発し発表しました。採用したのはヤンマーですが、他の各メーカーも開発したトラクターを販売したということです。
その結果として低価格モデルの市場が拡大しました。17年度の取り扱い台数860台のうち、低価格モデルは12台にすぎませんでした。それが共同購入の取り組みで新たな需要が喚起されてそのクラスの7割を低価格モデルが占めるという状況になっています。

第2弾の中型トラクター SL33LFMAEP第2弾の中型トラクター
SL33LFMAEP

大型に続き中型で第2弾

--さて10月から第2弾の取り組みがスタートしました。

第1弾と同じように農業者3団体との資材事業研究会で議論し、その結果、第2弾は馬力帯を変えてもう一度トラクターで取り組もうということになりました。やはりトラクターがいちばん汎用性が高く、あらゆる作物を作っていても使われるものだからです。

今度は中型クラスで取り組んでいこうということになりました。今回は10haから30ha規模の耕作面積の生産者をターゲットに取り組みました。この層はこれから営農規模を拡大していこう、それから栽培品目も拡大していこうという層だという意見が生産者から強く出ました。

ハウスで作業をしている農業者もいれば、米だけではなく露地で野菜づくりにもチャレンジしている農業者もいます。こうした人たちが求めているのはハウス内も含めて幅広い作業に対応できる28馬力から35馬力ぐらいのトラクターだという強い要望をいただき、このクラスで検討することにしました。また、第1弾と同じように1万人を超えるアンケートを実施しました。

その結果を集計するとともに資材事業研究会での議論をもとに必要な機能を絞り込みました。大型と違うのは変速方式です。中型はマニュアルシフトではなくクラッチを踏まないまま変速したり、前進後進も変えることができるというノークラッチ変速です。アンケートからこの層はやはりそれが必要だという結果で、こまめな作業に対応できるという声もありました。

標準オートヒッチ装備

それから標準3点リンクのオートヒッチが装着可能という仕様にしました。トラクターには作業機を装着しますが、30馬力より下のクラスはメーカーごとの専用ヒッチになっているものが多く、そうすると、A社用の作業機を使っていた人が、今度はB社のトラクターに変えたときに、持っている作業機は装着できないということになってしまいます。

そこで今回の開発要求では標準仕様のヒッチが装着できるものを求めるべきだと、資材事業研究会のメンバーから強いアドバイスをいただきました。「農家は困っているんだ」と。一方でキャビン、ハイスピード、半クローラはオプションとしました。

入札の結果、今回はクボタ製に決まりました。今回は馬力帯としては需要が多い層ですから、目標を2000台としました。開発要求を行った後に事前購入申し込みを実施しており、JAの担当者が生産者を訪問して意向を聞いて回りました。その結果、7574人から回答をいただき、そのうち3年以内に購入したいという人が2842人という結果になりました。

今は事前購入申し込みに回答していただいた生産者を中心に提案活動を行っています。今回、生産者の購入価格は、おおむね2割程度の引き下げを実現しました。

--JAの農機事業にはどんな影響がありますか。

第1弾の取り組みで成果を挙げたJAを昨年表彰しました。その取り組み報告によると、営農部門と一緒になって提案活動をしたり、今まで農機担当者があまり関わってこなかった作物別の部会の集まりに出席して、この作物を栽培するのに適したトラクターが発売されるといった提案をしたり、購入資金についても信用部門の職員と一緒になって提案したといった取り組みも聞かれました。JAの総合力を発揮するかたちでの取り組みとなり、今まで利用してもらっていなかった組合員にも利用してもらえるようになったということです。

今後は、第2弾の中型トラクターの購入積み上げに力を入れていきたいと思っています。


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