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【農と杜の独り言】第5回 水田のある博覧会 食料安保考える機会に 千葉大学客員教授・賀来宏和氏2025年10月24日

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千葉大学大学院園芸学研究科客員教授・賀来宏和氏

千葉大学大学院園芸学研究科客員教授・賀来宏和氏
(2027年横浜国際園芸博覧会 GREEN×EXPO2027 農&園藝チーフコーディネーター)

2027年に横浜で開催される国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」では、会場予定地に存在する水田や畑地がそのまま会場に残ります。これは、わが国で開かれた博覧会と名の付く催しにおいて初めてのことだと思います。

大阪で開催されたアジア初の国際園芸博覧会である「花の万博」(平成2年:1990)を始め、その後の国内の国際園芸博覧会である平成12(2000)年の兵庫県主催の「淡路花博」、平成16(2004)年の静岡県主催の「浜名湖花博」の会場にも水田や畑地はありませんでした。

一つの展示企画として、水田を博覧会会場に仮設的に設けた事例はあるかもしれませんが、実際に耕作されていた水田や畑地を水系とともに保全して会場内に取り込み、博覧会終了後も、都市公園として、市民が「農」に触れ、体験できる場にしようというのは初めての試みで、画期的なことです。

そのような会場ですので、構想の比較的早い段階に、水田を利用し日本の米の育種の歴史などを展示してはどうかという企画案もありましたが、米の品種を並べても、見た目では違いがわからない、さりとて、多様な葉の色の稲を組み合わせて模様を描く、いわゆる「田んぼアート」も今では全国各地で取り組まれていますので、まずは会期前後を含めて、田植えから稲刈りまで、現在進行形の水田そのものを見せるということに落ち着きました。

多くの人が訪れる博覧会会場であり、かつ将来は公園になりますので、自ずから有機栽培がなされ、水田に色んな生き物が生じてくるというのも「GREEN×EXPO 2027」の主旨である生物多様性に合致するのではないかと思います。地元の農業協同組合などとの協働が期待されます。

さて、こうした中での昨今の米の価格高騰は、まさに私たちの日々の暮らしに直結する事態、これほどまでに消費者が米に強い関心を寄せたのは久しぶりのことで、「令和の米騒動」と言われるゆえんです。

私の専門分野は農政ではありませんし、ましてや米の流通の専門家でもありませんが、消費者であると同時に、「農」に関心を寄せ、自らも耕し作物を育てる身として、素朴な疑問を抱きます。

今回は、米の価格を安定させるために、政府の備蓄米が市場に放出されました。聞くところによると、備蓄されていた米はおよそ100万トン。政府備蓄米は、平成5(1993)年の天候不順による記録的な米の不作に対応するため、タイなどから緊急輸入が行われ、その後、法整備がなされ、平成7(1995)年に制度が確立されたもので、その趣旨は、凶作などに備えた米の供給安定です。

通常は、毎年20万トンほどが積み増しされ、5年を経過したものは、学校給食や子ども食堂などへの無償援助に用いられるほか、飼料米などとして売却され、計算上は常におよそ100万トンが備蓄されているとのこと。さらに調べてみると、備蓄量は当初150万tで、その後一時200万tを超えるようになったが、備蓄に要する財政的な問題から100万tに抑えられることになったとか。

そもそも政府備蓄米の制度は、国内における凶作などに対応して制度設計されたものですが、その原因の一つである異常気象は、わが国だけでなく、今後、地球規模で起こる可能性があり、一方で、引き続き地球上の人口が増加する傾向にある中、全世界的な同時食料危機の懸念もあります。

加えて、近年の国際政治情勢を見れば、争乱の発生によって、海外からの食料輸入が途絶える危険性があり、備蓄米制度が設けられる契機となった国内の深刻な米不足が再び起きた場合、緊急輸入ができなくなる恐れもあります。

さらに、南海トラフ巨大地震などにより、国土の広範囲に大災害が発生した場合も、当然ながら、生産、流通などあらゆる面に甚大な影響が及びます。東日本大震災や能登半島地震の際もそうですが、水田そのものの復旧に相当な時間を要することを考えると、数年にわたって生産量が大幅に落ち込むことも想定されます。

農林水産省では、政府備蓄米にJAなどの民間在庫を合わせると、国内にはおよそ半年分の備蓄があるとしています。今回の備蓄米の放出によって手元に残るのはどれほどで、減少した分はどのように補充されるのか、方針は決まっているのでしょうか。

我々の暮らしに欠くことのできないものとしてエネルギーがあります。その代表である石油は、石油備蓄法によって国家備蓄が規定されていますが、令和7(2025)年7月時点の備蓄量は、民間備蓄等を含めて255日分、うち国家備蓄は147日分です。

近年のわが国の主食用の米の需要量は一年で約700万t、主食米以外を含めた米の全消費量は約800万tとされますので、石油の国家備蓄の比率を当てはめると、300万t前後を政府備蓄米としてもおかしくないのではないかと思います。

2027年の国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」では、会場での楽しみとともに、米を含む日本の「農」をもう一度考えていただく機会になることを願っています。会場にある水田が、果たして何人の人を一年間養えるのか、考えてみるのもよいかもしれません。

(2027年横浜国際園芸博覧会農&園藝チーフコーディネーター)

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