JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(62)除草剤の生態的選択性【今さら聞けない営農情報】第328回2025年12月13日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るための農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しています。農薬の防除効果は、有効成分をいずれかの方法で作物に付着または吸着させることができてはじめて発揮されますので、高い効果を発揮させるには、有効成分をいかに効率よく作物に付着させるかが鍵となります。しかし、農薬をより効率よく正しく使用するためには、製剤の選択の他に散布対象となる作物やその生育ステージ、あるいは病害虫雑草の生態に合わせた使い方も重要になります。今回から除草剤の上手な使い方についてご紹介していこうと思います。
ご承知のように、除草剤の場合は、作物と雑草という同じ植物に対して選択性を持たせなければなりません。つまり、雑草は枯らすけれども、作物には害を及ぼさないという植物生理学的に考えると全く矛盾する性質を持っていないといけません。この雑草は枯らすけど作物には害を及ぼさないという性質のことを選択性と呼んでいます。
その選択性は、生態的選択性と生理的選択性および生化学的選択性の3つに分けられます。除草剤の多くは、この選択性の2つ以上を発揮して除草効果を発揮しますが、その発現は薬量や処理濃度、処理時期、処理部位、処理時の作物の状況、土壌条件、気象条件などに影響を受けて変化しますので、同じ除草剤を散布したにも関わらず、A圃場ではよく効いたが、B圃場では大したことないといったことが少なからずあります。このようなことが何故起こるのかを知ることが除草剤を安定して効かせるためのコツに結びつきますので、頑張って学んでいきましょう。
では、まずは生態的選択性についてです。
これは作物と雑草の生育に重要な部位の位置の違いや生育ステージの差を利用したものです。
前者の例を示すと、移植水稲におけるノビエの生長点の位置の違いを利用するものです。イネもノビエも同じイネ科の植物ですので、生育ステージが同じ場合には選択性を持たせるのがかなり難しくなります。ところが、移植水稲の場合、根元近くにある生長点を土の中に埋め込むことになりますので、イネの移植後に土壌表面を覆うように除草剤を処理すれば、移植後に発生したノビエの実生だけに除草剤を触れさせることができ、選択的にノビエだけ枯らすことができます。後者の生育ステージの違いを利用する場合とは、移植栽培においてある程度育った作物の苗と発芽したばかりの雑草の大きさの違いを利用するもので、ある除草剤の薬量を、作物の苗には影響はないが発芽時の雑草には強く影響する量に調整して処理することで、作物には害はないが、雑草は枯らすという選択性を発揮させます。このように作物と雑草との何らかの生態的な違いを見つけてそれをうまく利用して雑草だけを枯らすことを生態的選択性と呼んでいます。(つづく)
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