どうなる日本の為替・金利の行方? 合理的価格形成のあり方は? アグリビジネス投資育成がセミナー(1)2025年10月24日
アグリビジネス投資育成は10月17日、東京都内で「2025年交流会・トップセミナー」を開いた。農業生産法人22人、食品関連法人8人が参加し、世界経済と農業経営に関する講演が行われた。
講演の様子
アグリビジネス投資育成の堀部恭二社長はあいさつで、交流会が2022年から食品関連法人も加わり「食のバリューチェーン全体でのネットワーキングの場として発展してきた」と述べ、「日本の農業や食料を取り巻く環境の機会と課題を共有し、今後の経営を考えるきっかけにしてほしい」と趣旨を説明した。
トランプ政権と米国経済
ふくおかフィナンシャルグループのチーフ・ストラテジスト、佐々木融氏
最初の講演は、ふくおかフィナンシャルグループのチーフ・ストラテジスト、佐々木融氏が「トランプ政権2年目の世界経済・金利・為替相場見通し」をテーマに行った。
エコノミストの予想に反して「米国経済は堅調に推移している」と指摘。第2次トランプ政権下での関税政策も「現時点では減速要因にはなっていない」とし、IT・AI企業への資金流入と、コロナ期の財政支出が家計に残っていることを背景に挙げた。
金利については「年内に1回程度の利下げはあり得る」が、関税による物価押し上げで「利下げ余地は狭まる」と分析。期限切れ減税の延長や歳出増が当面の景気を支える一方、「自動車ローンや地銀の与信問題は局所的で、金融不安は想定しにくい」と述べた。
日米関係と日本への影響
日本では高市政権のもとでも利上げに慎重で、「来年度に1回程度の利上げはあっても長期金利は上昇基調」と予想。インフレ率約3%に対し名目金利0.5%前後と「実質金利はマイナスで、預金の実質価値は目減りする」と指摘した。減税や補助金はインフレを助長するが、金利引き上げは限定的にとどまると見ている。為替については「今の政策スタンスが変わらないなら、5年後には180〜190円程度までの円安が進んでも不思議ではない」と述べた。
また、トランプ政権が対日関税引き下げと引き換えに「対米投資5500億ドル」を求めている点に触れ、「投資主体が不明で、外貨準備の活用も非現実的」と疑問を提示。こうした構図が「ドル高・円安を助長している」とした。
日本経済の構造的課題として、人手不足と賃上げが価格転嫁を促し「インフレ率が高止まり」している一方、「円安と賃金格差で海外人材確保も難しく、企業は淘汰の局面にある」と分析。「お金を配る政策は通貨価値を下げ、富裕層に資金が集中する」とし、株価上昇とともに「貧富の格差拡大が進む」と警鐘を鳴らした。
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