「不必要な契約」防止へ 共済事業推進のあり方探る 新世紀JA研がセミナー2023年3月10日
新世紀JA研究会(代表・三角修JA菊池組合長)は3月7日、オンラインによるセミナーを開き、今年の2月施行となった農水省の「JA共済事業の総合的な監督指針」改正とその対応について意見交換した。静岡県のJAみっかびと福岡県のJAにじが共済事業の取り組みについて報告した。
監督指針改正のメインは「不必要な共済契約に関する」監督で、特に、「共済推進の目標設定及び管理体制は適正か」を問うている。具体的には、推進目標は個々のJAの判断によるが、その目標は組合員の保障充足度、JAの推進体制に合わせて設定されているか、また職員に対する推進目標は当該職員の経験年数や実績等を踏まえているかについて留意するよう求めている。
特に推進目標を達成するため、一部で職員自らが契約する〝自爆〟や、名義借りなどがみられる。改正指針を説明した農水省協同組織課の姫野崇範課長は「そうした行為が組織内の強制によるものだと不祥事になる」と、普及推進のあり方、体制の問題を指摘した。
JAみっかびは、かつて奨励金制度や全国表彰を動機付け、渉外担当者(LA)に対する数字を後押しする形で共済推進を実施してきた。しかし、世帯当たりの共済保有高も1億円以上になり、また人口減少で、従来の数字(ポイント)重視の限界がみえてきた。
そこで2019年に共済事業のあり方を根本から見直し、共済本来の「組合員のくらしを守り、JA職員として誇りをもって取り組める」共済事業に改めるためのプロジェクトを立ち上げた。
具体的には、目標ポイントの達成ではなく、「ひと・いえ・くるま」の総合保障が実現できている世帯・個人を増やすことを目標に、契約世帯への全戸訪問の徹底と未加入世帯への新規獲得をめざす。そのためにグループテリトリー制のもと、3Q訪問活動を展開する。井口義朗組合長は「役職員と組合員のつながりを強め、中長期的な視点での取り組みが必要」と指摘した。なお職員の契約については役員決裁が必要とした。
JAにじは2020年から共済推進態勢の見直しを行ってきた。そのきっかけは共済推進の20代の若手職員退職が相次いだことにある。このため2021年金融共済事業改革プロジェクトを立ち上げ、共済事業推進のあり方を検討。一般職員の目標を廃止し、LAをサポートする体制を整えた。
経験のある職員は情報提供や同行訪問を行う。この場合、サポートするエリアは出身地区、得意な地区、テリトリーの状況、LAの経験年数などを考慮して配置した。若手の一般職員は情報提供のみとした。「共済事業に対する時間、労力、負担を軽くするとともに、サポート体制によって渉外担当者の営業力を強化し、若い職員のスキルアップにつなげたい」と同JAの右田英訓組合長は期待する。
なおセミナーに出席した姫野崇範課長は、職員自ら締結した「不必要な契約」が組織的に行われた場合、農水省は報告徴収命令を出すことができることなどを説明した。またJA共済連の深井裕常務は、「不必要な共済契約を防止する第一歩は風通しのよい職場環境づくりにある」とし、職員との信頼関係強化の必要性を強調した。
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