新米アンバサダー・石川佳純さんが「新米」食べ比べ 全農オフィシャルアンバサダー就任後初2023年11月16日
JA全農米穀部は15日、東京・大手町で「新米試食会」を開催した。10月に全農オフィシャルアンバサダーに就任した石川佳純さんの初仕事は、今年の新米の食レポ。今試食会では、猛暑が与えるコメへの影響について、新潟薬科大学・大坪研一特任教授が解説するほか、農家でお米料理研究家のしらいしのりこさんから、お米の炊き方のレクチャーもあった
写真左から、しらいしのりこさん、石川佳純さん、高尾雅之常務理事、大坪研一特任教授
試食会冒頭で、JA全農の高尾雅之常務理事は、特に日本海側で今夏の高温・渇水が稲の生育に影響し、「白未熟粒」という生育不良の米が例年より多く発生したことに触れた。「こうした米は通常どおり炊飯するとやわらかく炊きあがるとされるが、工夫次第で食味を大きく変えずに炊きあがることをお伝えしたい。猛暑を乗り越えたお米の食味について『百聞は一見にしかず』ならぬ『百聞は一食にしかず』とお知らせしたい。この試食会で体感していただけるのでは」と自信をのぞかせた。
つづけて、石川佳純さんとしらいしのりこさんが登壇し、石川さんがお米に対する愛情について問われると「大事な試合の前は必ずおにぎりでした。海外遠征のときも食べていましたし、私にとってソウルフードです」と答えた。
今回試食する新米は、新潟県産のコシヒカリ。中でも白未熟粒を多く含む米を選び、通常の水分量で炊いたご飯や、水を減らして炊いたご飯、炊飯器の早炊き機能をつかって炊いたご飯などを並べた。
炊き分けたご飯を前にすると石川さんは、食味の違いを探るように慎重に口に運んだ。中でも通常の水分量で炊いたご飯は口に含むとすぐに、「やわらかっ」と率直な感想を漏らした。他の炊飯方法でもモチモチ感と甘味を十分に感じられたと言い、「それぞれ味わいが違った。全ておいしくたべられた」と、箸を置いた。
今年の新米の炊き方について、しらいしさんは「白未熟粒が多いお米は、炊飯前30分程度水に浸してから炊飯器の『早炊き機能』で炊くと、やわらかくなり過ぎず、白未熟粒を多く含まないお米の食味に近づけることができる。通常どおり炊くなら、あらかじめ5~10%程度水分量を減らすことがポイント」と紹介した。
この後、新潟薬科大学・大坪研一特任教授が登壇し、猛暑でコメが白未熟粒になるのは、「コメの主成分であるでんぷんは、イネの葉の光合成によりつくられるが、高温が続くとでんぷんをつくる能力が弱まる。一方で、つくったでんぷんを分解する酵素の働きは強まるため、でんぷんの蓄積が不十分なコメになる」と説明した。
そうしたコメが白く濁って見える理由について問われると、「コメ粒内にでんぷんが十分満たされず、できた空気の隙間が光を乱反射して、白く濁ってみえる」と話した。
今後の猛暑の対策として、高温耐性のあるイネの研究・開発を進めているとしながら、肥料のタイミングを変えたり、土づくりから工夫するなど、生産者の努力も仰ぎたいとした。消費者も、くずれやすい白未熟粒はやさしく洗米するなどの配慮で、今あるお米を大切に、おいしく食べる工夫を求めた。
新米を試食する石川佳純さん
石川さんは真剣に耳を傾けながら、「水加減や、早炊き機能の活用で食味が変わるのは知らなかった。さっそくやってみたい」と話した。
また、今食べているお米の銘柄の質問がおよぶと、「福岡県のブランド米『元気つくし』を食べています。お米をいただく機会が増え、そのうち福島県のブランド米『福、笑い』がおいしいと思いました」と話し、現在国内で流通している320種の銘柄のうち、既に50種ほどは制覇していることに触れ、10月に就任したばかりの「新米」アンバサダーながら、頼もしい一面をのぞかせた。
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