JAの活動:農協時論
【農協時論】後継者の有配偶率の低さは深刻な問題 農協の果たす役割大きく 農業・歌人 時田則雄2022年4月9日
「農協時論」は新たな社会と日本農業を切り拓いていくため「いま何を考えなければならいのか」を生産現場で働く方々などに胸の内に滾る熱い想いを書いてもらっている。今回は農業を営む歌人の時田則雄氏に寄稿してもらった。
農業・歌人 時田則雄氏
私が住む十勝は日本有数の畑作酪農地帯であり、「農業王国」とも「ユートピア」とも呼ばれている。平均耕作面積は45haを超えているが、著しい機械化によって大方の農家は家族労働によって作業をこなしている。かつては朝星夕星の下で馬と一体となって働いたこともあったが、いまは違うのである。しかし、マチで暮らす人たちのなかには、農業は相変わらず仕事がきつく、そして汚いと思い込んでいる方もいるようであり、それが農業青年の有配偶率を低くしている要因のひとつとなっていると考えられる。
私が所属してしている帯広市川西農協においては、後継者の有配偶率を高めることを目的として、「農業後継者対策委員会」を立ち上げている。メンバーは理事、女性部長、青年部長だという。このような組織は十勝管内の各農協にもあるようだ。また、川西農協においては単独で帯広信用金庫と後継者対策事業に関する協定を締結している。この事業は帯広信用金庫の結婚相談事業「おびしんキューピット」を活用し、出会いの場を提供していこうというものであり、私は百姓のひとりとして大いに注目しているところであるが、大切なことは農業青年の結婚に対する意識を改革することなのだと考える。
私は15年以上にわたって帯広畜産大学(別科・草地畜産専修)と北海道農業大学校の外来講師を務めた。両校とも受講生の大方は農業後継者であった。私は百姓の先輩として、受講生にしっかりと伝えたかったことは、就農後、結婚相手をどのようにさがすかということであった。ここに講義の一部を記す。
結婚相手は自分で見つけること。他人に依存してはいけない。自宅にこもっていても見つからないということだ。私が就農したのは昭和42(1967)年。当時は農業青年団活動が活発であり、演劇やダンスパーティーなどの諸行事を通して男女の交流が盛んだった。そうした交流を通して結婚する仲間も多くいた。しかし、いまは違うのである。ムラには結婚する相手は皆無といってもいいだろう。従って結婚相手はマチの人ということになる。
もうひとつ大切なことは、農業青年であるから農業の専門知識を身につけることは当然だが、それだけではだめだということである。農業以外の本、例えば文学、哲学などの本を読み、幅広い知識を身につけるということである。自己を表現することのできる趣味をもつことも大切だ。そうすることによって交際相手ができた場合、互いに「この人とだったら一生寄り添える」との思いが湧くのではなかろうか。つまり、経営規模が大きいとか充実しているということは大切だが、それより大切なことは人間としての魅力に富んでいるかということなのである。
農業後継者の有配偶率の低さは、食料自給率を上げるという点においても、地方創生を推し進める点においても、日本にとっては深刻な問題であり、それらを解決するために農協の果たす役割は極めて大きいといえよう。
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