JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは68【今さら聞けない営農情報】第187回2023年2月11日
国は、肥料原料の価格高騰に対応した肥料価格高騰対策事業を実施し、海外原料に依存している化学肥料の低減や堆肥等の国内資源の活用等に取り組む農業者に対し、肥料コスト上昇分の一部(7割)を支援しています。この事業は、15項目に上る化学肥料低減に向けた取り組みのうち、2つ以上を実行または強化・拡大することで補助を申請できます。
今回は、⑧緑肥作物の利用について紹介します。
これまでも、化学肥料の代わりにマメ科植物を緑肥として栽培し、窒素肥料として活用されていましたが、化学肥料が安く供給されている場合には、緑肥の活用は経済的ではなく、利用面積は多くはありませんでした。
現在の緑肥利用は、窒素肥料の代替のみではなく、有機質資材としての多面的な機能が注目され地力増進作物と位置付けられており、ソルガムやレンゲなどが転作対象作物として位置づけられています。
また、野菜は一般に多肥で栽培される上、栽培特性上、養分吸収が旺盛な時期に収穫されることが多いため、収穫後には土中に大量の肥料成分が残りがちです。この残った肥料成分を肥料吸収の多い地力増進作物を作付けて吸収させることで、緑肥としての利用に加え、残存肥料成分による環境影響を減らすこともできます。
緑肥作物としては、イネ科にはコムギ、エンバク、ライムギ、トウモロコシ、ソルゴー、イタリアンライグラスなど、マメ科にはダイズ、クローバ類、アルファルファなど、アブラナ科にはナタネ、レンゲ、ナバナ、シロカラシなど、その他にネギなどがあります。これらを圃場の状況や経営内容に合わせて選択します。
緑肥のすき込みは、緑肥作物の生育状況に応じて丁度良いタイミングがあります。それは、緑肥作物内の窒素含有量が最大となり、すき込んだ後の分解が早い時期が最適で、具体的には、マメ科植物であれば開花期まで、イネ科植物であれば出穂期までが丁度良く、その時期を逃さずにすき込むようにします。この時期を過ぎると、緑肥作物中に分解しにくいセルロースやリグニンの含量が増加するとともに、炭素の含有量が増加してC/N比が大きくなり利用できる窒素が足りなくなってしまいます。
また、緑肥の作付は、根圏の改善や通気性・通水性の改善、塩類流亡の軽減、除塩効果、雑草の発生抑制といった効果がありますが、その反面、一部の病害虫の発生を助長する場合もあるので、これらは土壌の種類や緑肥導入後の作物の組み合わせなど、指導機関の指導を仰ぎながら最適な組み合わせを選ぶようにして下さい。
♢ ♢
本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、お問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】てんさいの褐斑病が早発 早めの防除開始を 北海道2025年7月2日
-
JA貯金残高 106兆7563億円 5月末 農林中金2025年7月2日
-
日本の農業、食料、いのちを守る 「辛抱強い津軽農民」立つ 青森県弘前市2025年7月2日
-
「食と農をつなぐアワード」募集開始 優良な取組を表彰 農水省2025年7月2日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」JAおきなわ食菜館「とよさき菜々色畑」へおつかい JAタウン2025年7月2日
-
三菱マヒンドラ農機 ペースト施肥、紙マルチ田植機、耕うん作業機の販売強化2025年7月2日
-
外来DNAをもたないゲノム編集植物 作出を大幅に効率化 農研機構2025年7月2日
-
「2025年度農業生物資源ジーンバンク事業シンポジウム」開催 農研機構2025年7月2日
-
創立100周年記念プレゼントキャンペーン第3弾を実施 井関農機2025年7月2日
-
住友化学園芸が「KINCHO園芸」に社名変更 大日本除虫菊グループへ親会社変更2025年7月2日
-
フランス産牛由来製品等 輸入を一時停止 農水省2025年7月2日
-
【人事異動】ヤンマーホールディングス(7月1日付)2025年7月2日
-
長野県、JA全農長野と連携 信州産食材使用の6商品発売 ファミリーマート2025年7月2日
-
地域共創型取り組み「協生農法プロジェクト」始動 岡山大学2025年7月2日
-
埼玉県産農産物を活用「Made in SAITAMA 優良加工食品大賞2026」募集2025年7月2日
-
黒胡椒×ごま油でおつまみにぴったり「堅ぶつ 黒胡椒」新発売 亀田製菓2025年7月2日
-
近江米新品種オーガニック米「きらみずき」パレスホテル東京で提供 滋賀県2025年7月2日
-
外食市場調査5月度 2019年比96.9% コロナ禍以降で最も回復2025年7月2日
-
王林がナビゲート 新CM「青森りんご植栽150周年」篇を公開 青森県りんご対策協議会2025年7月2日
-
飲むトマトサラダ 素材を活かした「カゴメ野菜ジュース トマトサラダ」新発売2025年7月2日