JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは73【今さら聞けない営農情報】第192回2023年3月18日
国は、肥料原料の価格高騰に対応した肥料価格高騰対策事業を実施し、海外原料に依存している化学肥料の低減や堆肥等の国内資源の活用等に取り組む農業者に対し、肥料コスト上昇分の一部(7割)を支援しています。この事業は、15項目に上る化学肥料低減に向けた取り組みのうち、2つ以上を実行または強化・拡大することで補助を申請できます。
今回は、⑭化学肥料の使用量及びコスト節減の観点からの施肥量・肥料銘柄の見直し(前出①~⑬に該当するものは除く)、⑮地域特認技術の利用(具体的内容を書くこと)です。
まず⑭は堆肥や緑肥など何らかの化学肥料以外の施肥法を用いて化学肥料の使用量を減らすことで実現できますが、何を導入して、その結果どのくらい化学肥料を減らすことができたかを示す必要があります。一方、肥料銘柄の見直しは、ほ場の土壌分析を実施して、過剰な成分は施用を抑えるようにすれば化学肥料の施用量を減らすことができます。例えば、ほ場にリン酸が多いのであれば、リン酸の含有量が少ない銘柄に変更することで化学肥料の施用量を減らすことができます。その場合には、従来の銘柄が何で、それを銘柄の見直しを図ることで、リン酸量がこれだけ減らすことができましたと説明する必要があります。いずれにしても、従来の施肥量と比較して、施肥に使用する緑肥や銘柄の変更によって化学肥料の減量を実現したと説明できるようにして下さい。
最後に⑮地域特認技術の利用(具体的内容を書くこと)ですが、これは、県域の農業再生協議会が認めた技術のことをいいます。例えば秋田県大館市の例では、稲わらを水田から持ち出さず、水田土壌にすき込むことで、リン酸とカリ成分を土壌に還元し、次作での施肥量を減らすことができるため、これを地域特認技術として公表していますので、この作業を実施していれば補助申請に使用できます。自身の地域で地域特認技術が設定されていないか確認して下さい。
世界の肥料原料価格は、産出国が原料ごとに偏在していることから産出国の意向が強く出ること、中国やインドといった肥料原料の大量消費国の購買行動によって相場が上昇することなどから今後も高止まりの様相を示しています。加えて、日本は肥料原料の99%を輸入に頼っている上、日本の肥料原料購入数量は世界の1%にしか過ぎないことから、肥料原料価格に与える日本の影響力はほとんどありません。このため、今後も海外肥料原料が安く必要な分だけ手に入る時代はもう過ぎたと考え、国内の資源で賄える肥料資材は、できるだけ早い段階で積極的に導入を検討していく必要があるといえます。
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