JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは74【今さら聞けない営農情報】第193回2023年3月25日
前回まで、肥料原料の価格の高騰に対応した、政府の肥料価格高騰対策事業の支援を受けるための化学肥料低減取組メニューの内容についてご紹介してきました。
これらの中で、国内の肥料資源を活用するメニューは、④堆肥の利用、⑤汚泥肥料の利用(下水汚泥等)、⑥食品残渣などの国内資源の利用(堆肥と汚泥肥料を除く)、⑦有機質肥料(指定配合肥料等を含む)、⑧緑肥作物の利用の計5項目でした。
これらは、いずれも有機質資材と呼ばれるもので、みどりの食料システム戦略の実現に向けても必須のアイテムとなり、国内肥料原料として重要なものになります。
これらの資源を有効活用していくためには、それらの特性をよく知る必要がありますので、以降順番に少し掘り下げていきたいと思います。
まず、有機質資材について整理してみます。肥料として利用できる有機質資材とは、窒素やリンなどの肥料成分を含み、その成分が土壌に施用したのちに無機物に分解するものをいいます。
有機質資材の肥料としての効果は、肥料成分の含有量やその分解性、分解後の生成物といった特性によって異なり、施用効果によって次の7つに分類されています。
まず、最初が「肥料的効果」です。これは、作物の生育に必要な要素、いわゆる肥料成分である窒素やリン酸、カリウムなどを供給することで発揮されます。
次に「肥効増進効果」です。これは、溶けにくくなっている肥料成分の分解を助けてその利用率を向上させたり、その反対に緩やかに分解して肥料成分を徐々に少しずつ供給することによって肥効が長く続くようにしたりします。
次に「土壌の化学性改善」です。その改善能力は、地力(主に窒素)の向上や塩基保持力の向上、ばん土性の改善、緩衝能といったものであり、化学性が改善されることで作物の生育に好影響を与えます。
次に、「土壌の物理性改善」です。土壌の団粒構造を形成させ、保水性や透水性、通気性を高め健全な根圏の育成・維持に役立ちます。
次に「土壌の微生物活性の改善」です。有機物が微生物の栄養となり、硝酸化成菌などの有用微生物の増殖や、病原菌以外の微生物の増殖・活性化による病原菌・センチュウ類の増殖抑制といった効果が発揮されます。
次に「植物生理活性への効果」です。有機質資材が作物の生理活性物質の生成の手助けをし、作物の健康を増進します。
最後に「土壌緩衝能の改善」です。低温や干ばつといった環境ストレスに対する作物の抵抗性を強化します。
このように、有機質資材はほ場に施用することで様々な効果を発揮します。実際に有機質資材を効率よく施用する際には、もう少し詳しい知識があった方が効率よく作業できるようになりますので、次回以降解説していきたいと思います。
◇ ◇
本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、コラム・シリーズ名を添えてお問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。
重要な記事
最新の記事
-
全農 備蓄米 出荷済み16万5000t 進度率56%2025年6月16日
-
「農村破壊の政治、転換を」 新潟で「百姓一揆」デモ 雨ついて農家ら220人2025年6月16日
-
つながる!消費者と生産者 7月21日、浜松で「令和の百姓一揆」 トラクターで行進2025年6月16日
-
【人事異動】農水省(6月16日付)2025年6月16日
-
3-R循環野菜、広島県産野菜のマルシェでプレゼント 第3回ひろしまの旬を楽しむ野菜市~ベジミル測定~ JA全農ひろしま2025年6月16日
-
秋田県産青果物をPRする令和7年度「あきたフレッシュ大使」3人が決定 JA全農あきた2025年6月16日
-
JA全農ひろしまと広島大学の共同研究 田植え直後のメタンガス排出量調査を実施2025年6月16日
-
生協ひろしま×JA全農ひろしま 協働の米づくり活動、三原市高坂町で田植え2025年6月16日
-
JA職員のフードドライブ活動で(一社)フードバンクあきたに寄贈 JA全農あきた2025年6月16日
-
【地域を診る】「平成の大合併」の傷跡深く 過疎化進み自治体弱体化 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年6月16日
-
いちじく「博多とよみつひめ」特別価格で予約受付中 JAタウン2025年6月16日
-
日本生協連とコープ共済連がともに初の女性トップ、新井新会長と笹川新理事長を選任2025年6月16日
-
【役員人事】日本コープ共済生活協同組合連合会 新理事長に笹川博子氏(6月13日付)2025年6月16日
-
農業分野で世界初のJCMクレジット発行へ前進 ヤンマー2025年6月16日
-
(一社)日本植物防疫協会 第14回総会開く2025年6月16日
-
農業にインパクト投資を アンドパブリックと実証実験で提携 AGRIST2025年6月16日
-
鳥取・道の駅ほうじょう「2025大大大スイカフェスティバル」22日まで開催中2025年6月16日
-
食と農のサステナブルを可視化&価値化「SPS研究会」発足2025年6月16日
-
山形県鶴岡市ふるさと納税返礼品に「つや姫」(無洗米5kg)ふるさとチョイス限定で提供2025年6月16日
-
北海道乳業「ごろん半分こ 山形県産ラ・フランスとヨーグルト」 ローソンで先行発売2025年6月16日