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【対談】二つの戦争に米国一強の驕り 元外務省欧亜局長・東郷和彦氏×東大名誉教授・谷口信和氏➀価値観押し付けが火種2024年1月11日
2023年は温暖化と密接に関係のある異常気象に悩まされ、環境破壊の最たる戦争が再び勃発した。ウクライナに続き中東・パレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとイスラエル軍との戦闘だ。グローバル化した中で日本も対岸の火事ではいられない。この状況をどう見るか元外務省欧亜局長の東郷和彦氏と東京大学名誉教授の谷口信和氏が対談した。(対談は2023年12月14日に実施)
谷口 2023年は二つの点で異常でした。気象が異常だったことと戦争が2年連続で起きたことです。この異常の本質は何なのか。気候変動を研究されている三重大学の立花義裕教授に続いて、ウクライナ戦争とパレスチナ・イスラエル戦争という二つの戦争の構図と見通し、問われる日本の立ち位置について東郷さんにうかがいたいと思います。
元外務省欧亜局長 東郷和彦氏
東郷 どこが起点になっていて、一番大きな変化がどこに現れているのか。1989年の冷戦終了と91年のソ連邦崩壊、そこで世界が1回ひっくり返った。今起きていることはすべてその延長線上にあります。冷戦が終わってソ連が崩壊した結果、米国が圧倒的な一強になりました。この地位を長く維持したいと米国は思い、自分たちと異なる価値観、文化の国々とどう共存するかを考えなかった。その結果、ウクライナも中東もめちゃくちゃになり米中対立も激化しました。日本は米国に追随するのではなく、国益を考えてしっかり対応しないと、戦争が東アジアに来かねない状況です。
谷口 まったく同感です。冷戦終了ですべてが変わりましたね。
東郷 圧倒的一強になった米国、とくに共和・民主両党に幅を利かせるネオコンが政策を間違えたと思います。そういうことを言うのは日本では受け入れられない状況がありますが、米国ではさらに危険で、下手をすると失職するようです。
間違った政策には、必ずしっぺ返しがあります。過ちを正さないと、米国の将来は明るくないでしょう。ところが、「千万人といえども吾往かん」と信念を貫く人たちが米国にもいます。そういう人たちが発言しているところに、私は米国の底力を見ます。日本の選択は米国一辺倒は考え直すべきです。
谷口 米国だけがパートナーではないと......。
東郷 安保条約を結んでいる米国を敵にするというオプションは日本にはないですが、それは何でも「米国の言う通りにやっていく」こととは違います。
そこでウクライナですが、何でこんなことになったのか。
プーチンが出てきたとき、西側との関係は良かったのです。9・11テロの時も、プーチンは米国の「テロとの戦い」を全面的に支持しました。
その後プーチンは、「NATOをこれ以上ロシアの国境に近づけるな」ということと、「ウクライナに住んでいるロシア系住民を守ってほしい」と言いました。ウクライナとそれを支持する米国がこの二つを理解して対応していたら、戦争は起きなかったでしょう。
ところが2008年、ブカレストで開かれたNATO首脳会議でウクライナとグルジアの加盟を原則承認したわけです。プーチンの怒り方は尋常ではありませんでした。
ウクライナでは、ユーシェンコ元大統領の親欧米政策を親ロシアのヤヌコビッチ政権が緩めようとします。それに対し2014年、過激なナショナリストがヤヌコビッチを追い出しました(マイダン革命)。背後にはバイデン副大統領がいました。
このままいったらロシア系ウクライナ人がたいへんなことになると、ロシアはクリミア半島を取ってしまいます。クリミア編入後、ドンバス地方にいるロシア系住民をどうするかということで、フランス、ドイツの仲介で第2のミンスク合意が2015年に交わされ、いったん収まります。
この停戦が壊れて侵攻に至ったのはなぜか。2019年5月、曲がりなりにもミンスク合意にたどりついたポロシェンコに代わってゼレンスキーがウクライナ大統領になりました。2021年1月には、トランプに代わってバイデンが米大統領になります。バイデン政権は「プーチンはやるぞ、やるぞ」と1年かけて煽り、NATO加盟も「自由で民主的なヨーロッパの国を入れないオプションはない」と言った。建前はそうですが、現実の国際政治の処理としては、稚拙な話です。それが戦争勃発の根本原因だったと思います。
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