成長産業化・所得確保など-参院選主要政党の農政公約2019年7月9日
7月4日公示された参議院議員選挙では、消費増税や憲法改正、老後の年金不安問題などが大きな争点となるが、6年半におよぶアベノミクス農政も争点となる。成長産業化を掲げて農業・農協改革を進めてきた安倍農政をどう評価し、地域の実態をふまえ未来に向けてどのような政治と政策が求められるかを考える機会としたい。与野党の公約を農政を中心にまとめてみた。
家族農業も強調-自民
自民党はアベノミクス6年の実績として生産農業所得が3年連続増加し2017年に3.8兆円と19年ぶりの高さとなったと政策パンフレットで強調する。ただ、農業生産額の増加は生産基盤の弱体化による品不足による価格上昇が要因との指摘もある。
農林水産業の公約は「最先端をいく元気な地方をつくる」とした地方創生に位置づけた。第一は「TPPや日EU・EPAの下でも農業者が安心して再生産に取り組めるよう全力で応援するとともに、引き続き国益としての農業を守ります」。そのほか家族農業や中山間地域などの多様で多面的な農業を守り、地域振興を図ることも掲げる。政策パンフレットと同時に詳細な公約を記載した「政策BANK」では38項目を列記。
成長産業化という言葉は姿を消し、「夢と希望の持てる農政新時代」が登場。食料自給率・自給力の向上を図る対策の強化、多様な担い手が活躍できる地域政策を車の両輪として推進することも掲げる。
日米貿易交渉では「過去の経済連携協定で約束した内容が『最大限』と確認されたことをふまえしっかり対応」するとした。また、二階幹事長が4月のJAグループの政策提案集会で公約するとした准組合員問題については「准組合員の事業利用に関する規制のあり方については農協組合員の判断に基づくものとします」とした。スローガンは「日本の明日を切り拓く」。
スマート農業重視-公明
公明党は政策集のなかで農林水産業の政策について「着実な賃上げの実現-経済の好循環をさらに進め実感を家計へ」のなかに位置づけ、「農林水産業の成長産業化」を掲げた。
その第一は「スマート農業・林業・水産業の実現」としている先端技術による作業の超省力化と生産性の向上で高付加価値化と所得の向上を図ると訴える。
また、輸出の拡大、生産性の向上と生産資材価格などの生産コストの低減による所得の向上を図るとしている。米政策では飼料用米の本作化を進める「水田フル活用に向けた予算を恒久的に確保します」とした。
准組合員に利用規制のあり方については「農業者の所得向上を図るとの農協改革の原点を踏まえ、JAによる自己改革を後押しし組合員の意向・考え方に基づくものとします」との公約を示した。
政策集のスローガンは「小さな声を聴く力」。
農業者戸別所得補償-立憲
立憲民主党は「暮らしからはじまる経済成長へ」を掲げ、そのなかで「農業者戸別所得補償により農業者の所得を底上げします」と訴える。政策パンフレットでは平成の間に非正規雇用者が2倍近くに増えたこと、貯蓄ゼロ世帯は3割を超えるなどを指摘し、アベノミクスによる実質賃金の低下は家計を圧迫し経済に対する最大のマイナス要因となっていると訴える。
また、社会保障の充実と成長戦略は一体で、一人ひとりを豊かにすることを通じて持続的な成長を実現するボトムアップの経済政策に転換するとしている。政策パンフレットのスローガンは「令和デモクラシー まっとうな政治」。
食料安保の確立-国民
国民民主党は「家計」と「地域」を重視。地域のなかで「農業を続けられる所得補償」を公約に掲げる。日米交渉で安易な妥協を許さず「国民のための食料安全保障の確立をめざす」としたほか、環境やGAP加算などの総合的な農業者戸別所得補償制度(米の場合10a1万5000円)の導入、地産地消の推進で自給率50%を実現することを掲げている。
また、種子法の復活、JAの准組合員規制に反対、地域に根差した「農」を支える人づくりを行うと訴えている。ふるさとへの帰農支援策として親の住んでいた故郷に帰農する場合、年最大250万円を給付する制度の創設も掲げた。スローガンは「家計第一」。
日米交渉の中止-共産
日本共産党は、食料を輸入に頼って国内生産を縮小させることは地球規模で食料難が危惧されるもとで許されないとして日米FTA交渉の中止と、TPP協定から離脱し食料主権、経済主権を尊重した貿易協定を進めることを掲げている。
農業政策では、▽食料自給率の回復を国づくりの中心に位置づけ、担い手の確保・育成に国が責任を持つ、▽国連の「家族農業の10年」を推進、安心して再生産できる農産物の価格保障・所得補償を抜本的に強化、▽家族農業を切りすて農協をつぶす「農業改革」に反対、家族農業とその共同組織を支え、大規模経営、農業法人など地域農業を支えている多様な担い手を支援、などとしている。 スローガンは「希望と安心の日本を」。
種子法の復活-社民
社民党はTPP以上に市場開放を迫られかねない日米協定の阻止とTPP11、日欧EPAからの離脱を求める。
農林水産業の再生に向けて、第一次産業を単に金儲けの手段としかみない安倍政権の新自由主義的な改革路線と全面的に対決するとして、▽主要農産物種子法の復活、▽農業者戸別所得補償制度の復活と法制化、畜酪、果樹・野菜への対象拡充、▽水田の多面的利用推進で早期に「食料自給率50%以上」をめざすことを掲げる。
また、TPP11などの影響試算を国と地域ごとに根拠ある試算を出すよう政府に求め、十分な対策と生産基盤の強化策を迅速、柔軟に行うことを求めていくとしている。
農業の成長産業化-維新
日本維新の会は「規制改革・成長戦略・経済政策」のもと、「農業・林業・水産業、医療・福祉、保育の成長産業化」を掲げている。消費の抑制となる消費増税を止め規制緩和で経済成長を訴える。 スローガンは「創れ、新たな日本のかたち 目指せ、もっと自由で安心な社会」。
一次産業戸別所得補償-れいわ
れいわ新選組は「政権とったらすぐやります・今、日本に必要な緊急政策」のなかで「一次産業戸別所得補償」を掲げている。食料安全保障は国を守るうえで最重要事項とし、「あまりに低すぎる食料自給率を100%めざし大改革。第1次産業に就けば安定した生活が送れるよう政府が戸別の所得補償します」と訴えている。
重要な記事
最新の記事
-
事前契約で米価に「下限値」 暴落食い止め営農可能な手取り確保 全農にいがた2026年2月4日 -
高市首相モームリ 【小松泰信・地方の眼力】2026年2月4日 -
朝市では「5kg3434円」 県産米の売れ行き好調 JAふくおか嘉穂の直売所2026年2月4日 -
水稲新品種「ZR2」を農研機構と育成 多収で良食味 JA全農2026年2月4日 -
とちぎ霧降高原牛・日光高原牛 生産者が「みどり認定」取得 JA全農とちぎ2026年2月4日 -
米の行方―食の多様性の中 意外な開拓先も 元JA富里市常務理事 仲野隆三氏2026年2月4日 -
農業を仕事にする第一歩を応援「新・農業人フェア」11日に開催 農協観光2026年2月4日 -
地域農業動向予測システム(RAPs)活用方法を紹介「担い手育成支援セミナー」開催 農研機構2026年2月4日 -
黒星病に強いナシ品種づくり DNAマーカーで効率化 農研機構×かずさDNA研究所2026年2月4日 -
道の駅直売所「サンサンうきっ子宇城彩館」、レジ通過1000万人を達成 JA熊本うきが記念イベントを開催2026年2月4日 -
北海道の人生150本を記録『北海道の生活史』出版記念展示会開催 コープさっぽろ2026年2月4日 -
氷見市などと「棚田を中心とした持続可能な地域づくりに関する連携協定」締結 ヤマタネ2026年2月4日 -
「山村の地域資源の活用~山村活性化支援交付金について~」オンラインセミナー開催2026年2月4日 -
「桑原史成写真展激動韓国60年」市民セクター政策機構と協力開催 生活クラブ連合会2026年2月4日 -
日本豆乳協会 2025年の豆乳類の生産量44万4552kl 過去最高を記録2026年2月4日 -
畜産用赤外線ヒーター「ミニぽか」200Vハイブリッドモデルを追加 メトロ電気工業2026年2月4日 -
大洗町と子育て支援で連携 ハッピーギフト受付開始 パルシステム茨城 栃木2026年2月4日 -
首都圏企業と道内の大学・自治体とのマッチングイベント「北海道PRデイズ」開催2026年2月4日 -
原発事故を風化させない 利用者と「富岡復興ソーラープロジェクト」視察 パルシステム連合会2026年2月4日 -
岡山で農業機械修理・購入を気軽に「農業機械よろず相談部門」新設 西井農機2026年2月4日


































