霧島市でナシさび色胴枯病確認 鹿児島県2021年1月19日
鹿児島県病害虫防除所はニホンナシにナシさび色胴枯病の発生を確認し、1月18日に特殊報第4号を発表した。

9月頃に霧島市のナシ(幸水)で急激な枯死症状がみられ、枝幹から樹液様物が流出しさび色を呈していた。発病樹はジョイント栽培の一番端の樹で、先端部が接続された2本目でも11月に同様の症状が認められた。罹病部を農研機構果樹茶業研究部門に同定依頼した結果、ナシさび色胴枯病と判明した。これまでの調査で県内の主要なナシ産地である川薩、姶良地区での発生は確認されていない(1月15日時点)。
ナシさび色胴枯病は、土壌中に広く存在する細菌でグラム陰性の桿菌である。生育適温は36~37℃で、夏期から秋期にかけて枝幹に発生することが多い。宿主植物はナシ、マンゴー、モモ、リンゴ等。

罹病部は表皮が灰黒色の水浸状となり、表皮から形成層に至る組織内に樹液様物が充満する。その後、樹液様物は表皮の一部から流出し、乾固して鉄さび色に変色する。罹病部の樹皮下は褐変腐敗し、アルコール発酵臭がある。罹病部の先では落葉を伴い、枝幹の一部または全体が枯死する。
伝染方法では、病原菌は風雨によって樹皮の傷口等に付着し感染、発病する。また、土壌から根へ侵入し感染することも確認されている。この病は1972年頃、千葉県で初めて発生が確認され、これまで秋田県、高知県、佐賀県など計8県で確認されている。海外ではこの病害の発生は確認されていない。
現在、ナシさび色胴枯病に使用可能な登録薬剤はない。防除対策として、伝染源の可能性がある発病樹は伐採、焼却等を行う。その際に使用した器具は消毒する。ジョイント栽培では、発病樹と接続していた樹の生育をよく観察し、異常を確認した場合は直ちに接ぎ木部を外し、伐採や焼却等を行う。排水性が悪い土壌では発病しやすい傾向がある。そのため、多湿条件で傷んだ根からの感染や雨水のはね返りによる樹皮の傷口からの感染を防ぐため、排水対策を行うよう注意を促している。
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