【基本計画目標】米輸出 9倍の39.6万t(玄米) カロリー自給率は5年後に45% 農水省2025年3月12日
農林水産省は3月12日の自民党の食料安全保障強化本部・総合農林政策調査会・農林部会合同会議に改正基本法に基づく新たな食料・農業・農村基本計画の原案を示した。カロリー自給率は現行の38%をこれまでの10年後ではなく5年後の2030年に45%とする目標とした。目標実現に向け、毎年の政策点検など進捗管理が一層重要になる。
基本計画等を議題とした自民党の合同会議
基本計画では食料自給率のほか、備蓄量、農地、担い手などで数値目標を設定するとともに、KPI(重要業績評価指標)を設定し、少なくとも年1回、目標の達成状況の調査、公表を行って検証し、施策の見直しを行う。現行の基本計画にはない新たな施策となる。
目標年度は2030年度。食料自給率目標は3つ設定する。
これまでも設定してきたカロリーベース総合自給率は45%(2023年度38%)、生産額ベース総合自給率は69%(同61%)を目標とする。
これに加えて摂取カロリーベースの食料自給率を現行の45%から53%へと引き上げる目標を設定する。摂取カロリーベース食料自給率は、摂取カロリーを1850kcalに固定。この数値については、▽日本人の成人男性の基礎代謝量が1300kcalから1600kcal程度であり、この水準を上回っていること、▽1人1日当たりの平均摂取カロリーの最低値が1840kcal(2011年)であることを参考に設定した。
摂取カロリーベースを示すことで供給カロリーとの差が食品ロスなどを示すことになり、国民が食への関心と意識を高めることにもなると農水省は説明する。現行の摂取カロリーベース食料自給率は45%。裏返せば日本人は摂取カロリーの55%を外国に依存していることになる。
これら食料自給率目標の実現に向けたKPIはこれまで生産数量目標として示してきた品目ごとの国内消費仕向量、生産量、輸出量、単収、作付け面積などを設定する。
このなかで米の生産量は23年の791万tを30年に
818万tへと増産することを目標とする。一方、米の国内消費量は777万tへと減少する見込みのため、輸出(玄米)を現行の4.4万tから39.6万tへと9倍に伸ばす目標を設定する。
米の単収(10a:23年530kg)は主食用555kg、新市場開拓米628kg、米粉用米616kg、飼料用米720kgと設定している。
また、飼料自給率を考慮しない食料国産率はカロリーベースで54%(現行47%)、生産額ベースで76%(現行67%)を目標とする。
そのほか農地面積の目標は412万ha(2024年427万ha)。49歳以下の担い手数は現行の4.8万人を維持する目標を設定する。
生産コストの低減にもKPIを設定し、60kgあたり1万5944円を30年には同1万3000円に引き下げる目標を掲げる。15ha以上では同1万1350円を9500円に引き下げる目標を設定する。
担い手への農地集積率は現行60.4%を7割とする。政府が掲げてきた8割集積目標を引き下げる。
また、水稲作付面積15ha以上の経営体の面積シェアは2020年の約3割を5割に引き上げることを目標とする。
米の需給見通し あり方検証
基本計画では本文に水田政策を2027年度から根本的に見直すことを明記した。ただ、予算について「現行の水活の見直しや見直しに伴う既存施策の再編により得られた財源を活用する」との記述に対し、出席議員からは予算を増額させる方向が認められないとして、構造転換に必要な予算を「政府全体で確保する」などの文言を入れるべきだなどの意見が相次いだ。
また、米の流通について昨年から今年にかけての主食用米の円滑な流通に支障が生じたことや、政府備蓄米の売り渡しを実施したなど、直近の動きを記述するとともに「令和6年の端境期以降に生じた事態が今後生じないよう、当該事態への対応や需給見通しの在り方について検証を行っていく」と明記した。水田政策の見直しは2025年度にまとめる予定でそのなかで27年度以降の備蓄のあり方についても検討を進めることにしている。
目標等を以下に一部資料掲載
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