農薬:防除学習帖
野菜の害虫防除5 チョウ目(2)(大型以外)【防除学習帖】第70回2020年9月25日
野菜の害虫は、非常に多くの種類があり、野菜、特に葉菜類や果菜類で大きな被害を及ぼすのがチョウ目である。チョウ目害虫には、体の大きなものと小さなものに大別されるが、大半が幼虫によって被害が起こり、作物の葉がかじられてボロボロになったりする。
チョウ目は、その種類によって若干の違いはあるものの、防除のポイントや使用できる殺虫剤は似かよっている。今回は大型以外のチョウ目の防除法について紹介する。
1.野菜類に発生する主な大型以外のチョウ目害虫
野菜に発生する小型~比較的小型の主なチョウ目害虫は、アオムシ(モンシロチョウ)、ウリノメイガ、コナガ、フキノメイガである。この中でコナガは、発生回数が他のチョウ目の倍以上の回数発生し、多くの殺虫剤に対して抵抗性を示すものが多い。
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2.被害
被害の出方は害虫種によって特徴がある。それぞれの被害の出方を把握しておくと、ある程度見分けがつくようになる。
(1) アオムシ
幼虫が、葉に孔をあけて食害し、発生量が多いと丸坊主になって、品質、収量ともに大幅に低下する。
(2) アワノメイガ
葉脈を残して葉裏から食害する。その後、新芽に潜入したり、花弁や幼果を加害し、大きな被害となる。
(3) コナガ
葉の表皮を残して葉緑層を食害し、葉物の品質を著しく損ない、生育不良となる。幼苗では芯芽を食害され、芯止まりとなる。
(4) フキノメイガ
ふ化した幼虫が葉裏をなめるように加害し、葉柄や新芽に孔をあけて食入する。芯とまりとなる。
3.防除法
(1) 耕種的防除法
ア.露地栽培の葉物場合、べた掛け資材などで作物を覆って加害を防ぐ。
イ.ハウス栽培であれば、防虫ネットを張り、侵入を阻止する。
ウ.フェロモンの活用
チョウ目は、性フェロモンを活用した防除が可能な種であるので、積極的に活用する。フェロモン剤は、できるだけ広範囲で使用する方が効果があるので、地域全体など、できれば産地単位で協力して設置すると防除効果が大きくなる。
(2)薬剤防除
チョウ目害虫に効果のある(作物登録のある)有効成分は、別表のとおりである。
これは、チョウ目に適用のある有効成分を作物の登録を問わずに抽出しているため、実際の登録内容と異なる場合がある。このため、あくまで選択のための参考とし、実際の使用にあたっては、農薬ラベルを良く読んで、登録内容を遵守して使用すること。
(クリックでPDFをダウンロード)
コナガ以外のチョウ目は、薬剤が効きやすいので、発生のピーク時期を中心に定期防除を行うようにするとよい。コナガについては、発生回数が他より倍程度多いので、冬季以外では発生期間を通じて定期的に散布するようにすると良い。その際殺虫剤の選択にあたっては、薬剤系統や残効期間を考慮して、異なる殺虫剤をローテーションで使用するようにする。
成虫の飛来は、防除所等の予察情報を参考にするか、フェロモントラップを設置するなどしてモニタリングするようにしてほしい。
害虫種別の登録農薬は別表のとおりである。
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