接ぎ木苗システムで国際的に貢献 板木利隆氏「九十歳 野菜技術士の軌跡と残照」の出版記念祝賀会を開催2019年3月5日
◆「戦後日本のイノベーション100選」に選定される
発明協会が101周年事業で「戦後日本のイノベーション100選」として農業部門から4点が選抜されました。コシヒカリ、ふじリンゴ、自動式田植え機と板木利隆氏が開発した「幼苗接ぎ木苗生産システム」です。
板木氏はJA全農営農・技術センターで技術主管として在職中の1990年に同システムを開発し、全農は板木氏と協議して特許としての知財権を求めず、オープンイノベーションとしての取り扱いをすることを決定しました。個人・企業利益としてではなく共有利益としての扱いです。2013年のイタリアで開催された「国際接ぎ木シンポジューム」では「国際貢献した技術」として板木氏が開発した同システムは、全農メソッドとして高い評価を得て、今や全世界で最も普及し、世界標準とも言えるシステムとなりました。
板木氏が名付けた「ナエピット」(接ぎ木後の活着の効果を高める装置)は慣行法の2倍以上の能率をあげ、幼苗接ぎ木から始まる育苗関連技術を苗業界という一つの産業に分化・発展させる功績をあげました。
(写真)板木利隆氏
◆「家の光」の著者別の発行部数は不動のトップ
板木氏の園芸研究者、指導者、生産者、趣味の園芸愛好者向けの著書は36冊に達し、「家の光」の著者別の発行部数は不動のトップを走っています。氏の著書は豊富な絵図を挿入し読者にとって分かり易さが特徴となっています。
神奈川県の試験場勤務時代には我が国初めての玉ねぎの生食(オニオンスライスなど)専用品種「湘南レッド」を開発し市場に出しました。
◆「板木利隆先生出版記念祝賀会」を開催
板木氏が曰く「著書としては最終」として、このたび自伝書的な「九十歳 野菜技術士の軌跡と残照」を創森社より発刊されました。
そこで、これまでの氏の功績と感謝と敬意を表して千葉大学園芸学部伊東名誉教授(園芸植物育種研究所所理事長)を代表発起人として、2月10日に上野精養軒で、「板木利隆先生出版記念祝賀会」が開催されました。
祝賀会は氏のこれまでの広範な活動を現すように千葉大学グループ(発起人古在元千葉大学学長、丸尾教授、篠原教授他)、千葉大学翠葉会グループ(発起人時田トキタ種苗会長他による同大学OBによる研究室横断型勉強会)、日本野菜育苗協会グループ(発起人竹内園芸社長他)、全国野菜園芸技術研究会(発起人大山会長他)、神奈川県グループ(発起人要元生物資源部長他)、全農グループ(発起人加藤元全農代表理事専務、大西全農監事他)の6グループに分かれて、各グループが参加者上限を決めて呼びかけをおこない会場の収容最大人数約130名が集まり盛大に開催されました。
祝賀会では西尾元農水省技術会議事務局長をはじめ多数の方々からご祝辞を頂き、時田トキタ種苗会長から「著書として最終を記念する祝賀会は板木先生が100歳になられた時に再度開催する」ことをお願いして閉会しました。
文責:加藤 一郎 (千葉大学客員教授、元JA全農代表理事専務)
★板木利隆氏プロフィール★
1929年島根県生まれ。
1950年千葉農業専門学校(現:千葉大学園芸学部)卒業。千葉大学助手、神奈川県園芸試験場技師、技術研究部長、場長、神奈川県農業総合研究所所長、全農農業技術センター技術主管などを経て、現在は板木技術士事務所所長(公財)園芸植物育種研究所理事他。1979年園芸学会功績賞、2003年農林水産大臣賞などを受賞。著書に「施設園芸・装置と栽培技術」「家庭菜園大百科」など他多数。
著作:板木利隆
タイトル:「九十歳 野菜技術士の軌跡と残照」
出版社:創森社
サイズ:四六判(上製)・292頁
定価:本体価格1800円+税
発行日:2019年2月1日
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