ゲノム編集支援オープンプラットフォーム開発 プラチナバイオ、広島大学、凸版印刷が連携2021年3月5日
プラチナバイオ(株)、広島大学、凸版印刷の3者は、AIを活用し、ゲノム編集のデータ処理を簡易化するゲノム編集支援オープンプラットフォーム「Genome Editing Cloud」β版を開発。この成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業により得られた。
ゲノム編集支援オープンプラットフォーム 「Genome Editing Cloud」の操作画面
ゲノム編集は、目的とする遺伝子を狙った特性に改変する技術で、すでに医療分野では新たな治療法や新薬の開発に利用されている。また、農畜水産業や工業(バイオものづくり)などさまざまな分野でも革新的な基盤技術として今後活用されていくことが期待されており、三者はゲノム編集技術の普及と社会実装に向けて、技術と知見を融合し、新たなバイオビジネスの実現をめざす。
近年、ゲノム解析技術の革新により大幅なコスト削減・高速化が実現し、ヒトを含むさまざまな生物のゲノム情報や遺伝子情報が解読され、データベース化されている。また、ゲノム編集技術が発明されたことで、目的とする遺伝子を狙った特性に改変することが可能になった。これらの技術革新は医療をはじめ多岐にわたる産業への応用が進められている。現在、ゲノム編集に携わっている研究者は主に、生物学や医学を専門としており、膨大なゲノム情報を取り扱うことや解析が大きな負担となるため、ゲノム編集の研究開発が遅延する要因となっている。そこで、三者はゲノム編集のデータ処理を簡易化し、研究開発をサポートするITツール「ゲノム編集支援オープンプラットフォーム」が求められていると考え、NEDOの助成事業により開発に取り組んでいる。
共同研究で凸版印刷は、広島大学と連携し、生物学や医学を専門としている研究者がゲノム編集の研究に必要な大量のデータ処理解析などを簡単に行えるソフトウエアの研究を推進。この共同研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の事業の一つである「産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)」の「『ゲノム編集』産学共創コンソーシアム」の一環で行われ、凸版印刷と広島大学は、ゲノム編集の解析エンジン「MaChIAto(マキアート)」を開発した。
広島大学は、OPERAで社会実装を目指す「ゲノム編集」の産業利用と国産技術開発を並行し、国内企業によるゲノム編集を用いた事業化を支援。「『ゲノム編集』産学共創コンソーシアム」の領域統括である山本卓教授は、ゲノム編集技術の社会実装を加速するために、プラチナバイオを設立した。
また、プラチナバイオは凸版印刷と連携し、NEDOの事業の一つである「Connected Industries 推進のための協調領域データ共有・AI システム開発促進事業」(2019~2021年度)に取り組んでいる。同事業の成果として、二社は、内部の解析エンジンとして「MaChIAto」が組み込まれたゲノム編集支援オープンプラットフォーム「Genome Editing Cloud」β版を開発した。
ゲノム編集支援オープンプラットフォーム「Genome Editing Cloud」β版は、ゲノム編集のための支援オープンプラットフォームで、プログラミング言語を意識せずに大量のデータを簡易に処理できるGUIを提供。今回のβ版では、ゲノム編集データ解析をサポートする2つの機能を提供する。
今後、三者はゲノム編集研究の加速や社会実装の推進に向けて、連携をさらに強化。ゲノム編集支援オープンプラットフォーム「Genome Editing Cloud」と「ゲノム編集の編集効率を予測するAIシステム」を組み合わせることで、ゲノム編集研究のITプラットフォームを構築し、2022年のサービス開始をめざす。
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