生産者支援を実現するデータ駆動型「遠隔営農支援プロジェクト」開始 農研機構2023年6月7日
農研機構とNTT東日本、NTTアグリテクノロジーは共同で、農研機構の専門家が有する知見や農業データ連携基盤「WAGRI」とNTT東日本及びNTTアグリテクノロジーのICTを活用した遠隔営農支援の実績やノウハウを踏まえた仕組みを組み合わせることで、データ駆動型の「遠隔営農支援プロジェクト」の全国展開を進める。最初の実証地として、取組の契機となったみらい共創ファーム秋田(秋田県南秋田郡大潟村)の圃場でタマネギの生産における遠隔営農支援に取り組む。
遠隔営農支援の仕組みは、生産者の農場や作物の映像・環境データを遠隔にいる専門家とリアルタイムに共有し、当該農場の土壌、気象、生育情報、作業履歴等のデータに基づき、農研機構の標準作業手順書SOPに即した支援・指導を双方向のコミュニケーションにより行われる。
同プロジェクトでは、露地栽培が重点的に取り扱われる。これは、広域かつ電源の確保が難しい農場をエリアカバーできるネットワークや、センサーが必要で技術的な難度が高いことに加え、気象や土地・土壌条件による生育や病害の差が大きく、データを活用した栽培技術の導入により、大きな生産性向上の余地が見込まれるため。
同プロジェクトの第1段階として令和5~6年度に「戦略的スマート農業技術の実証・実装」(農林水産省事業)も活用し、タマネギの新たな産地形成が進められている秋田県大潟村のみらい共創ファーム秋田の圃場で実証・開発。農研機構の専門家が遠隔からタマネギ栽培の支援・指導を行い、効果検証及び技術の改善を図る。
図1:取り組みのイメージ
支援・指導には、NTT東日本、NTTアグリテクノロジーが提供する遠隔営農支援の仕組みを活用し、みらい共創ファーム秋田の生産者と専門家がリアルタイムで生産現場の映像やデータを共有し情報交換を行う(図1)。また、WAGRIのAPIも活用することで、農研機構のタマネギ生産SOPに即した技術的助言を行い、大潟村での新規就農者の収量が2~3t/10aであるところを、4t/10aのタマネギ生産を安定的に実現することをめざす。
第2段階では、AIも実装することで、気象情報や生育予測を踏まえた栽培作業計画、発生予察を踏まえた病害虫防除計画、市場動態予測を踏まえた出荷計画等を生産者に自動提示する仕組みも検討。これにより、支援・指導を行う専門家の負担が軽減されることが期待される。
図2:AI病虫害診断API
例えば、新規就農者には判りづらい病虫害への対応については、病虫害診断サービスAPIを使用することで、どのような病虫害かを診断した上でその特性や対応する農薬の情報を得ることが可能(図2)。また、生育予測APIでは定植日と気象APIで得た気象予報デ
ータを使って、いつ頃どれくらい収穫できるかシミュレーションでき、営農計画に反映が可能となる。
図3:遠隔営農支援の活用イメージ
これらのAIも併用することで、経験の浅い新しい産地の新しい就農者に対して新たな社会実装ツールの活用を通して熟練の技術継承に取り組む。また、NTT東日本の地域エッジREIWAプロジェクトへの同プロジェクトのデータの実装や、NTTグループが多くの企業とともに推進す光を中心とした次世代コミュニケーション基盤IOWNの活用の検討を進める。地域の大切な農業データの安心安全な活用、農場にあるロボット等を遠隔から低遅延でオペレーションすること、また環境負荷の低減につなげる(図3)。
今後は、大潟村での取り組みを踏まえ、遠隔営農支援の適用地域や対象品目の拡大を通して3年を目途に全国展開を進めていく。
最新の記事
-
【注意報】野菜・花き類にオオタバコガ 県内で多発のおそれ 福井県2023年9月29日
-
【注意報】ダイズ、野菜類、花き類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 愛知県2023年9月29日
-
【注意報】ダイズ、ソバ、野菜類、花き類、果樹にハスモンヨトウ 県内で多発のおそれ 福井県2023年9月29日
-
食品産業 景況DI値 6年ぶりにプラス 日本公庫調査2023年9月29日
-
脱炭素社会実現に向け、電源開発と資金使途不特定型シンジケートローン契約を締結 農林中金2023年9月29日
-
「大分県産かぼすフェア」みのりみのる15店舗で開催 JA全農2023年9月29日
-
(351)金額で見る農林水産物輸入【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2023年9月29日
-
【みどり戦略】最大45°の急傾斜地での除草作業を可能とするラジコン草刈機 やまびこ・やまびこジャパン2023年9月29日
-
【みどり戦略】堆肥散布機や堆肥積込機等の拡販と製品開発の強化 デリカ2023年9月29日
-
臨時会員総会開催 新会長にJA全中山野会長 中央酪農会議2023年9月29日
-
シロイチモジヨトウ・ブロッコリーに適用拡大 殺虫剤「トルネードエースDF」 FMC2023年9月29日
-
労働力確保支援サービス「農How」推進 JA愛知中央会と業務連携協定締結 アグリトリオ2023年9月29日
-
とりたい栄養素を補給できる栄養補助食品「WITHBAR」新発売 日本生協連2023年9月29日
-
JAアクセラレーター採択21社のサービス展示「第13回 農業WEEK」出展 AgVenture Lab2023年9月29日
-
酪農と漁業を応援「MILKLAND HOKKAIDO→TOKYO」で特別メニューを提供 ホクレン2023年9月29日
-
「JAタウン」全国47都道府県のオリジナルCМ放送「国消国産月間」でお得なキャンペーン目白押し2023年9月29日
-
雹害で廃棄になる農業用ビニールをリサイクル 農業資材再資源化の取り組みへ賛同 ミノリオ2023年9月29日
-
養豚DXのEco-Pork 新たに2.2億円を資金調達 養豚業界のDXを加速2023年9月29日
-
毎月29日は「肉の日」限定セール開催 約250商品が特別価格 JAタウン2023年9月29日
-
栃木県の生産者の要望に応え「農機具王栃木店」10月1日にグランドオープン2023年9月29日