低コスト土壌モニタリングセンサが受賞2015年1月22日
市販のインクジェットプリンタで印刷することができる低コスト土壌モニタリングセンサー「SenSprout」が今年度の「シーバスブラザーズ・ヤングアントレプレナー基金 Supported by GOETHE」(※)を受賞した。
「SenSprout」(=右写真)は、インクジェットプリンタで印刷した紙がそのまま電子回路になる「Inkjet Printing Circuits」と、環境中の微弱なエネルギーを利用して電池なしで電子機器を動かすことができる「Energy Harvesting」という2つの最新技術を利用して作られたセンサーだ。土中の水分量を測定できるほか、葉濡れセンサーとして降雨を感知することもできる。
低コストで作れる上、電池を使わないので液漏れによる土壌汚染がなく環境負担が少ないのが最大の特徴だ。測定したデータは無線で回収でき、スマートフォンなどで読み取りができる。
灌漑など農地の水分量管理や、いつ起きるかわからない地滑り、がけ崩れなどのリスク評価への応用が期待される新技術だ。
◆将来的には無料配布も
SenSproutの材料は紙と銀ナノインクだけ。紙に印刷するだけでできてしまうので、従来は1個数万円していた同種の機器が、わずか数千円で作れてしまう。
本来、こうしたセンサーはひとつのほ場で複数設置し水分量を判断すべきだが、従来の機器ではコストの面で困難だった。
しかしSenSproutは従来機に比べて十分の1のコストで、そうしたデータ収集が可能になる。開発者の東京大学大学院情報理工学研究科・川原圭博准教授は、「営農に必要にして十分な精度を低コストで実現する」ことをめざしている。
また、将来的には「設計図さえあれば、誰でも製作できてしまう」ようにすることがひとつの目標だとしており、「究極的に安くなれば無料で配ることもできる」という。
川原氏は、国内外でSenSproutを実用化するため、1月に法人を設立した。すでに生産者からの問い合わせもあり、「そうしたユーザーのところにまずは少しずつお納めして、(将来的には)アジア、アメリカ、ヨーロッパに販路を広げたい」と普及に期待を寄せている。
【シーバスブラザーズ・ヤングアントレプレナー基金 Supported by GOETHE】
スコッチウィスキー「シーバスリーガル」を販売するペルノ・リカード・ジャパン(株)が若い企業家を支援する目的で、(株)幻冬舎が発行する雑誌「GOETHE(ゲーテ)」協力のもと、運営している。2012年に設立し、表彰は今回で3回目。1月20日に都内で表彰式が行われ、川原氏には研究助成金1000万円が贈られるとともに、7月に米国で行われるアントレプレナー世界大会へ日本代表として出場することが決まった。
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