営業利益347億2900万円で過去最高を更新 2021年3月期決算 デンカ2021年5月13日
デンカは5月12日、2021年3月期決算短信を発表した。
売上高は3543億9100万円と前年同期に比べ264億1200万円(6.9%)の減収。利益面では、成長分野向けの高付加価値製品の伸長や固定費の削減などにより、営業利益は347億2900万円で前年同期比31億4200万円増の9.9%増益。過去最高を更新し、売上高と営業利益率は9.8%(1.5ポイント増)となった。
経常利益は321億4300万円で前年同期比21億800万円増の7.0%増益。親会社株主に帰属する同期純利益は227億8500万円(前年同期比81百万円増、0.4%増益)となり、それぞれ前年同期を上回った。
<エラストマー・機能樹脂部門>
クロロプレンゴムの販売は、足もとでは回復傾向に転じてきたが、感染症拡大などによる世界経済低迷の影響を大きく受け、全般的に生産活動が停滞したことから前年を下回った。また、スチレンモノマーやABS樹脂、デンカシンガポール社のポリスチレン樹脂とMS樹脂の販売は概ね堅調に推移。原材料価格の下落に応じた販売価格の見直しを行ったことから減収。この結果、売上高は1243億100万円と前年同期に比べ250億23百万円(16.8%)の減収となった。
<インフラ・ソーシャルソリューション部門>
農業・土木用途向けのコルゲート管の販売は堅調に推移したが、セメントや特殊混和材、肥料、耐火物・鉄鋼用材料の販売は、感染症に加え天候不順の影響などを受け前年を下回った。この結果、同部門の売上高は505億4700万円と前年同期に比べ42億54百万円(7.8%)の減収。
<電子・先端プロダクツ部門>
球状アルミナや高純度導電性カーボンブラックはxEV関連を中心に販売が伸長。また、電子部品・半導体関連分野向け高機能フィルムや球状溶融シリカフィラーは5G関連やデータセンターの世界的な需要の拡大により好調に推移し、自動車産業用向けの金属アルミ基板ヒットプレートの販売も増加。このほか、LED用サイアロン蛍光体"アロンブライト"の販売はパソコン向けなどで順調に推移。高信頼性放熱プレート"アルシンク"や高熱伝導性セラミックス基板"ANプレート"は電鉄需要の落ち込みの影響を受け前年を下回った。この結果、売上高は711億9500万円と前年同期に比べ31億6600万円(4.7%)の増収となった。
<生活・環境プロダクツ部門>
食品包材用シートとその加工品の販売は、テイクアウト需要の増加により概ね堅調に推移。一方、プラスチック雨どいおよび合繊かつら用原糸"トヨカロン"、工業用テープの販売は感染症拡大の影響を受け前年を下回った。この結果、売上高は334億4100万円と前年同期に比べ35億3200万円(9.6%)の減収となった。
<ライフイノベーション部門>
インフルエンザワクチンの出荷は、新型コロナウイルス感染症流行による予防意識の高まりから接種率が向上し、前年を上回った。試薬は、昨年8月に販売を開始した新型コロナウイルスの抗原迅速診断キット"クイックナビ-COVID19 Ag"は順調な生産、販売となった。一方、インフルエンザ診断キットなど従来の検査試薬の販売は、新型コロナウイルスの影響で受診者数が減少したことなどから前年を下回った。また、新型コロナウイルスにも効果が期待されている抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」の原料であるマロン酸ジエチルを出荷。この結果、同部門の売上高は429億4700万円と前年同期に比べ74億3600万円(20.9%)の増収となった。
<その他部門>
YKアクロスなどの商社は取扱高が減少し、デンカエンジニアリングの完成工事高も前年を下回った。この結果、売上高は319億5800万円と、前年同期に比べ42億400万円(11.6%)の減収となった。
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