除草剤不要の小規模農家向けアイガモロボ「ミズニゴール」実証実験でレンタル予約開始2022年4月6日
テクノロジーを通じて農業分野のクリエイティブと若返り化を目指す株式会社ハタケホットケ(長野県塩尻市)は4月2日、農家の重労働と環境負荷を削減するロボット「ミズニゴール」の実証実験の参加とレンタル提供の先行予約の受け付けを開始。全国で小規模農家が最も多く、後継者不足や耕作放棄地など農業課題を抱える長野県で実証実験を進め、今後は2023年春のGPSとソーラー駆動の実装など"全自動化"を見据えて、開発を進める。
小規模農家向けアイガモロボ「ミズニゴール」
消費者の健康意識が高まる一方、国内では自然農・減農薬の普及が進んでいない状況にある。その背景には、農家の高齢化や人手不足の深刻化が挙げられ、特に米作りで、負担の大きい水田の除草作業は大きな課題のひとつになっている。生産者側も、自然に近い栽培による米が体に良いと分かっていても、コストや労力等の問題から、"除草剤・農薬を使わない"という選択に踏み切れない現状がある。
人が水田に入らず自動で除草
一般的に除草作業は、人力でチェーンがついた除草器具などを引くことで田んぼの水を濁らせ、稲の栄養を奪う雑草の光合成を遮る方法がとられるが、炎天下に広い水田の照り返しの中、田植え後の1~2か月の間、約7日~10日おきに続ける重労働となる。アイガモ農法やトラクター型の除草機もあるが、餌代やマシン代のコスト負担が大きく、導入できる農家は限られている。
「ミズニゴール」は農家の重労働と環境負荷を削減するロボット。通常、1反(1000平米)を人力で濁らせるのに、少なくとも2時間程かかるが、「ミズニゴール」は、アイガモのように水田をラジコン操作で走り回り、1反あたり6分の1にあたる20分前後で完了できる。常に水を攪拌することで除草剤が不要になるだけでなく、酸素がいき渡り稲の根からも良く吸収され品質向上が期待される。防水性・耐久性に優れ、不安定な水田でも操作しやすい。また、壊れにくいシンプルな構造で、量は約7キロと一人で持ち運べる。
農家数が10万戸以上と全国で最も多い長野県は、小規模零細農家が多く全国平均よりも高齢化が進んでおり、後継者問題や耕作放棄地も増えている。また、山間部が多い地形的理由からも、大規模集約化によるコスト削減が難しい状況にある。
今回の実証実験への参加とレンタル提供募集は、第1段階の「ミズニゴール1.0」で、ラジコン型バッテリー駆動で誰でも簡単に操作できる。2023年春にはさらに改良版のGPS型(全地球測位システム型)ソーラー駆動の全自動型ミズニゴールのリリースを予定。同事業は、長野県のソーシャルビジネス創業支援事業に採択されている。
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