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2016.05.09 
純国産パスタを実現する小麦新品種-農研機構一覧へ

 農研機構西日本農業研究センターは日本製粉(株)との共同研究で日本で初めてのデュラム小麦「セトデュール」を育成した。この品種で作ったスパゲティはパン用国産小麦原料のものより硬さや弾力が優れ、黄色みも強いことから自給率向上に貢献する純国産パスタが実現できると期待されている。また地域のさまざまな加工食品を生み出す6次産業化を促進する新品種としても注目を集めそうだ。

◆瀬戸内気候に着目

nous1605090901.jpg スパゲティをはじめ国内で製造されるパスタ類のほとんどは海外産のデュラム小麦から作られている。デュラム小麦は日本では収穫期が梅雨となるため、湿った気候が続くと発生し収量の低下とカビ毒(DON)の産生をもたらす赤かび病に弱く、また穂発芽もしやすいこの品種は、国内ではほとんど栽培されてこなかった。デュラム小麦の輸入量は年間21万t~27万t(2003年~11年)。国内生産はなく自給率はゼロである。
 しかし、実需者や消費者からは国産デュラム小麦を使用したパスタを求める声があることから、西日本農業研究センターは、温暖で少雨の瀬戸内地域なら栽培の可能性があるのではないかと1998年からデュラム小麦の品種改良に取り組んだ。具体的には普通小麦「農林61号」の収穫時期を目標にデュラム小麦をスクリーニングして系統を育成、2012年からの日本製粉との共同研究で一般栽培が可能で加工適正も問題がない品種として確認し、昨年11月に新品種「セトデュール」の品種出願登録を行った。瀬戸内地域で栽培できるデュラム小麦という意味を込めての命名だ。
 収穫時期は農林61号よりやや遅いが、草丈は短く(農林61号=99cm、セトデュール=86cm)倒伏に強い。収量は農林61号とほぼ同量の1aあたり60.6kg。種子が硬く粗挽き小麦粉であるセモリナ粉が多く取れるのでパスタ向きだ。スパゲティの色調や官能評価は輸入されているカナダ産のデュラム小麦粉よりもやや劣るが、普通小麦より黄色みが強く評価は高いという。

◆輸入品の代替をめざす

 現在、農研機構と日本製粉で行っている事業で兵庫県内南部に7haを栽培中で、本年度は兵庫県で産地品種銘柄に指定された。事業終了の2018年(平品種成30年)には50haまで栽培が拡大される予定だ。また、別にデュラム小麦の栽培から商品開発に取り組もうとしている事例も出てきているなど、地域ブランド化や6次産業化による生産者手取りの向上への貢献も期待できる。
 一方、農研機構と共同研究してきた日本製粉は将来的に数千トン使用の意向があり、各県や生産者団体などと協力して当面、瀬戸内地域で500ha程度の作付けをめざす。この取り組みでデュラム小麦輸入量の1%相当の国産生産量となり、乾燥パスタに加工されると販売額ベースで約6.5億円になるという。
 赤かび病に弱いことから適期防除の徹底が必要で、また、穂発芽を避けるため適期播種・収穫に努める必要がある。ただ、除草剤や殺菌剤などは、小麦に対して登録のある薬剤が使用できる。
 農産物検査は「小麦」でランク区分は「パンおよび中華めん用小麦」を適用できる。地域経済活性化に向けた小麦栽培の取り組みとしても期待される。

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