農業経営の規模と企業形態 農業経営における基本問題
- 著者
- 日本農業経営学会 編
- 発行所
- 農林統計出版
- 発行日
- 2014年8月11日
- 定価
- 本体3500円+税
- 電話
- 03-3511-0058
- 評者
- 寺師幸則 / JAこばやし園芸農産部長
マネジメント力
どう育てるか?
私の町、小林市は畜産を主軸に園芸工芸等販売額168億円(平成25年度)、管内の認定農業者985名、集落営農組織数22組織、農業生産法人91、耕地面積は7298ha(うち畑4463ha・田2345ha・樹園地490ha)で様々な営農が展開されている。伝統的日本農業を支えてきた家族経営形態は、当地域でも経営形態の中心であり村落共同体的地域をしっかり支え、農地保全はもとより地域社会の核となっているが、管内でも農業生産法人の成長は著しく、上記法人のうち畜産46、土地利用型露地園芸27となっており、延べ作付面積50haを超える法人や冷凍加工を営む法人も複数見受けられてきた。
零細分散の圃場条件の中で、効率性や生産技術そして家族を含む従業員へのマネジメント機能等、経営体として経済的側面から見た適正規模論が日々議論されている。
家族経営体の中で、施設園芸・露地園芸・畜産等経営形態のいかんを問わず、非常に堅実な経営体が散見されるが、これら優良経営体に共通しているのは、経営主を含む家族全員が農業生産に対する意識の持ち方(生産技術等一切)や役割分担がしっかりしていること、そして経営主の高いマネジメント能力ではなかろうかと推測する。
一方農業法人が叫ばれている中で、法人化した農業法人の実態は必ずしも家族経営の時より成功している事例は乏しいように考えられる。その本質的要因は本書にもあるように、規模拡大に伴なって零細圃場の分散化や技術体系等非効率的要因が多々見受けられることだ。とくに従業員の雇用拡大に伴ない労務管理を含む高度なマネジメント能力が要求されるし、農業特有の天候に左右される生産活動や販売力の格差が経営安定の要素となるからだ。販売環境の大転換の中でいかにマーケットインでの販売力を強化していくかも重要となるように思われる。
本書に紹介されている「フクハラファーム」と「松本農園」の展開方向で作業の標準化と従業員の標準化体系等積極的な取組を参考に、管内環境を加味した個別経営体の農業生産の適正規模を論じていきたい。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(172)食料・農業・農村基本計画(14)新たなリスクへの対応2025年12月13日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(89)フタルイミド(求電子剤)【防除学習帖】第328回2025年12月13日 -
農薬の正しい使い方(62)除草剤の生態的選択性【今さら聞けない営農情報】第328回2025年12月13日 -
スーパーの米価 前週から14円下がり5kg4321円に 3週ぶりに価格低下2025年12月12日 -
【人事異動】JA全農(2026年2月1日付)2025年12月12日 -
新品種育成と普及 国が主導 法制化を検討2025年12月12日 -
「農作業安全表彰」を新設 農水省2025年12月12日 -
鈴木農相 今年の漢字は「苗」 その心は...2025年12月12日 -
米価急落へ「時限爆弾」 丸山島根県知事が警鐘 「コミットの必要」にも言及2025年12月12日 -
(465)「テロワール」と「テクノワール」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月12日 -
VR体験と牧場の音当てクイズで楽しく学ぶ「ファミマこども食堂」開催 JA全農2025年12月12日 -
いちご生産量日本一 栃木県産「とちあいか」無料試食イベント開催 JA全農とちぎ2025年12月12日 -
「いちごフェア」開催 先着1000人にクーポンをプレゼント JAタウン2025年12月12日 -
生協×JA連携開始「よりよい営農活動」で持続可能な農業を推進2025年12月12日 -
「GREEN×EXPO 2027交通円滑化推進会議」を設置 2027年国際園芸博覧会協会2025年12月12日 -
【組織改定・人事異動】デンカ(1月1日付)2025年12月12日 -
福島県トップブランド米「福、笑い」飲食店タイアップフェア 期間限定で開催中2025年12月12日 -
冬季限定「ふんわり米粉のシュトーレンパウンド」など販売開始 come×come2025年12月12日 -
宮城県酪初 ドローンを活用した暑熱対策事業を実施 デザミス2025年12月12日 -
なら近大農法で栽培「コープの農場のいちご」販売開始 ならコープ2025年12月12日


































