JA自己改革運動を考える2017年10月31日
このたびの衆議院戦況で気になったことから述べてみたいと思う。「人(少子高齢化の問題)・食(食糧・農業問題)・環境(原発問題)」を各党が論戦を交わす場面が少なく。他の争点の陰でかすみがちだったことである。
「人」の一番の問題は少子高齢化である。その背景は「地域の過疎化」の問題であり、とくに児童数の減少は農村地域の「廃校」に象徴される。廃校になった小学校を覘いたとき、古ぼけた黒板に、当時の教員が児童に向けてしたためたメッセージが、ひっそりと残されていた。子どもたちの息吹、先生たちの思いが充満しているのを感じ心が震えた。地域にはうち捨てられている廃校が増えている。
一方、児童転入の増えている都市では校舎の増築や増設が続くなど転入超過が問題になっている。国政で、地域をどう位置づけ続けるか、地域の積み上げが「国」ではないのかと思う。このような「地域過疎化の問題」の背景は、都市と農村の経済格差にあると思う。その最大の要因は、第一次産業の衰退による過疎化である。人がいない地域ばかりになっていいのか、国民的な議論が必要であると思う。
農村地帯の過疎化の根底には「企業による農地集積を進めるアベノミクス農政改革である」ことを指摘しなければならない。
※ ※ ※
また、「食」の問題である。国の発表によれば食料自給率は38%である。学者・研究者は、現状の農政改革が進めば限りなく食料自給率は低下し、食料の他国依存国になりかねないと警告している。農業・農地は日本国民の共同資源であり、国家・地域社会が成り立つための基盤であることはいうまでもない。食料自給のために地域の多様な特長を生かす「家族農業経営」重視への農政転換を求めるものである。
※ ※ ※
次に「環境問題」である。福島第一原発事故以来、我が国の電力はどのようなエネルギーでまかなうべきか、国民的な課題となっている。福島第一原発事故の現状は、人間が本質的に核分裂を制御することができないという現実を証明している。原子力の「平和利用」というのは本質を覆い隠すものである。核分裂を利用してエネルギーをつくるという意味において原発は核兵器と同じではないかと思う。原発事故は電力需給や経済活動ではなく、人間の命に最高の価値観をおく議論でなければならないと思うが、今回の選挙の論点にならなかった。
「食の安全・安心」を守り抜き、「環境を保全」する国民運動が問われている。
ドイツのメルケル政権は、福島原発事故直後に原発廃止を決め、22年までに全廃することを決めた。日本もドイツもともに脱原発の道を進むべきだという世論が高まっている。
再生可能エネルギー資源は、農産漁村の第一次産業資源であり、その活用は国の電源構成にも直結し、地域活性化にもつながる。日本は脱原発を決めて再生可能エネルギー生産に取り組むべきである。
※ ※ ※
食料の国内自給を目指し家族経営農業を主体とする多様な地域農業の展開と第一次産業資源利用の再生可能エネルギー生産による経済の地域循環、地産地消を目指す「協同組合間協同活動」を軸にして、「食料自給と再生可能エネルギー生産」による「第一次産業革命」を展開し、協同組合セクター体制を目指すことが「地域経済の活性化」であり、自己改革運動の今日的課題ではなかろうかと考える。
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】シキミ、カンキツにチュウゴクアミガサハゴロモ 県内で初めて確認 宮崎県2025年11月6日 -
【注意報】野菜類・花き類にチョウ目害虫 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2025年11月6日 -
米の生産費高止まり 60kg1万5814円 24年産米2025年11月6日 -
栗ご飯・栗タマバチ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第363回2025年11月6日 -
輸出の人気切り花スイートピー生産の危機【花づくりの現場から 宇田明】第72回2025年11月6日 -
運用収益が改善 期初計画上回り給付還元財源を確保 JA全国共済会2025年11月6日 -
熊本県の大雨被害に災害見舞金を贈呈 JA全国共済会2025年11月6日 -
千葉県から掘りたてを直送「レトルトゆで落花生 おおまさり」販売開始 JAタウン2025年11月6日 -
「たすけあい story エピソード投稿キャンペーン」 公式X・Instagramで募集開始 抽選で特選ギフト JA共済連2025年11月6日 -
東京育ち 幻の黒毛和牛「東京ビーフ」販売開始 JAタウン2025年11月6日 -
GREEN×EXPO2027まで500日 横浜市18区で一斉の取り組みで機運醸成2025年11月6日 -
オンライン農業機械展示会「オンラインEXPO 2025 WINTER」を公開中 ヤンマー2025年11月6日 -
第6回全社技能コンクールを開催 若手社員の技術向上を目的に 井関農機2025年11月6日 -
兵庫県 尼崎市農業祭・尼崎市そ菜品評会「あまやさいグランプリ」9日に開催2025年11月6日 -
静岡・三島でクラフトビール×箱根西麓三島野菜の祭「三島麦空」開催2025年11月6日 -
森林・林業業界の持続的価値創出へ「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」実施 森未来2025年11月6日 -
ホクトのエリンギ プリプリ食感になって26年振りにリニューアル2025年11月6日 -
豆乳生産量 2025年度7-9月期 前年同期109% 日本豆乳協会2025年11月6日 -
鳥インフル 米イリノイ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年11月6日 -
鳥インフル 英国からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年11月6日


































