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【森田実の政治評論】2019秋の臨時国会の課題は「ストップ安倍政治」2019年9月27日

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【森田実 / 政治評論家・山東大学名誉教授】

「危うきを見ては命を致す」(子張『論語』)



臨時国会の課題

 長期政権は末期になると乱れます。これは一種の歴史法則です。日本だけではありません。世界史を見ても、超長期政権は国民から遊離し、権力ファーストの政治に向かって暴走します。この結果、世の中は乱れ、国民は不幸になります。
 第二次世界大戦後の日本は「平和」と「民主主義」を国是として生きてきましたから、政治権力の乱れによって他国に迷惑をかけるようなことはあまりなかったのですが、長期政権の末期には過った政治が行われました。吉田茂内閣、佐藤栄作内閣、中曽根内閣、小泉内閣の4内閣とも、末期には国民無視の政治に走りました。4内閣とも最後は「アメリカファースト」政権と化してしまいました。現在の安倍政権も例外ではありません。すでに乱れ始めています。安倍総理は「トランプファースト」です。
 第一の過ちは日韓対立です。これは大きな過ちです。安倍政権は「寛容と忍耐」をもって、あくまで平和的な対話による解決を目指すべきでした。しかし安倍総理は感情的になり、力づくで韓国政府を抑えつけようとしました。「平和」を国是とする日本の政府が「力づくの政治」に走ったことは大失敗です。
 日本のマスコミも大きな過ちを犯しました。「嫌韓感情」を煽り「非寛容なゆがんだポピュリズム」に堕してしまいました。このため安倍政権の支持率が上昇しました。マスコミは安倍政権の危険な暴走を後押ししたのです。
 「過ちては改むるに憚ること勿れ」です。10月4日開会の臨時国会において、日韓対立を終わらせ、平和的対話を実現するための議論を始めるべきです。野党の諸君、シッカリして下さい。
 第二の過ちは安倍総理の「憲法改正ファースト」への暴走です。安倍総理は憲法改正第一主義で、憲法改正を叫びつづけていますが、国民から遊離してしまっています。国民が政治に求めているのは「憲法改正」ではなく、生活の改善と格差解消と公平な福祉です。アジアと世界の平和です。安倍総理は国民の意思を無視しているのです。
 仮に安倍総理の野望を三分の二以上の国会議員が支持して憲法改正の国民投票を行なうことになるとしますと、国民は「安倍改憲」支持派と「平和憲法」擁護に二分されます。日本国民が分断されてしまうのです。イギリスの二の舞になってしまいます。安倍総理のやろうとしていることは、日本を「もう一つのイギリス」にすることです。阻止しなければなりません。
 野党の国会議員の皆さん、いつまでも安倍総理に追従するのは止めて、健全な批判精神を発揮してください。これが10月4日から始まる臨時国会の最大の課題です。


平成30年の政治の総括を

 平成の30年をきちんと総括し、令和の時代をどう築くべきか、について議論すべきです。平成30年が平和だったことは良かったことです。しかし、反省すべきことは多々あります。
 第一は、アメリカ主導の新自由主義・競争至上主義を無批判に導入し、「自分さえよければ思想」を、日本中に拡大してしまったことです。日本はモラルなき社会と化してしまいました。大失敗でした。
 第二は、アメリカ政府に唆されて、伝統的な日本の安全安定社会経済システムを破壊する構造改革という迷路に入ってしまったことです。「民営化すべて善」という間違った神話に、日本中がはまってしまいました。今こそ目を覚まさなければなりません。
 第三は「政治改革」という米英崇拝者の罠にはまって小選挙区制度を導入し、政党助成金制度を導入したことです。これにより政治家は小人になってしまいました。以前の中選挙区制度にもどすべきです。政党の皆さん、議論を始めてください。
 第四はゼロ成長経済をつづけたことです。20年以上もの長期にわたってゼロ成長、時にはマイナス成長をつづけた資本主義国は、日本以外にはありません。これにより、戦後30年間の高度成長の成果を失ってしまいました。いまや日本は経済大国でも経済強国でもありません。衰退国と化しています。
 第五は日本を重税国家にしたことです。重税国家においては国民の希望は奪われてしまいます。
 新しい令和の時代の政治の課題は、平成時代の過ちから日本を立ち直らせることです。
 どこから始めるべきでしょうか。農業再興と地方の再建から取りかかるべきです。若い人々に農村と地方で生きる希望を与え、大規模な民族大移動をはかることです。
 政治家の皆さん、日本の危機克服のため命をかけて下さい。

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