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SDGsを忘れるな【小松泰信・地方の眼力】2020年9月23日

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【小松泰信・(一社)長野県農協地域開発機構研究所長】

「秋田の農家の長男に生まれた私の中には、一貫して、地方を大切にしたい、日本の全ての地方を元気にしたい、こうした気持ちが脈々と流れております。私は、この気持ちを原点として知恵を絞り、政策を行ってきました」と言う、菅首相就任会見のこのくだり、何度聞いても不快。寵愛する農水省事務次官を使って、農業・JAの改悪を進めたことだけをとっても、地方を大切にするヒトとは到底思えないからだ。

komatsu_honbun.jpgスガはスカ

菅氏の天敵、望月衣塑子氏(東京新聞記者)は、東京新聞(9月20日付)で、冒頭の発言が過去のものと矛盾していることを明らかにしている。
菅氏は、2000年9月頃の氏のHPで、「私のめざす政治『年功序列、地方優先政治の打破』」として「皆さんの支払う国税の大部分は地方の道路や施設の投資に使われています。大都市はさまざまな都市問題を抱え、財政も火の車です。世界を捜しても日本しかない地方交付税制度はもう見直さなければいけません」と主張。2001年6月の衆院決算行政監視委員会では、選挙区の横浜市を例に挙げ、「大都市の方が多く税金を納めながら、交付金などが地方に多く還元される制度を『問題がある』と訴えた」そうだ。
また、石戸諭氏(いしどさとる、ノンフィクションライター)は、「サンデー毎日」(10月4日号)において、2015年8月、基地移設を巡る協議の場で、当時の沖縄県知事故翁長雄志(おながたけし)氏が菅氏に、沖縄の歴史への理解を求めた際、「私は戦後生まれなものですから、歴史を持ち出されたら困ります」と、信じられない言葉を発したことを取り上げる。
そこから「(菅氏が)地方や弱者のことがわかるという『物語』が盛んに喧伝(けんでん)されているが、それはあまりにも短絡的だ」とし、「彼は合理的な統治思考で、仕事と割り切ったことは粛々とこなせるが、歴史感覚に乏しい政治家だ」と、断じる。
あえて付加すれば、人間性の欠如を象徴するエピソードである。もう、おわかりいただけましたよね。


「未知数」の大臣でいいんですか

菅内閣において農林水産大臣となったのは野上浩太郎氏。首相官邸で記者団の取材に応じて「農水産品の輸出、農林水産分野の改革等をしっかり進めてもらいたい」と首相から指示があったことを明らかにし、「農林水産業は国の基。美しい農山漁村をしっかり次世代に引き継いでいかないといけない」「喫緊の課題はコロナへの対応」と述べ、コロナ禍による農産物の消費低迷や、生産基盤の弱体化への対応を最優先する考えを示した(日本農業新聞、9月17日付)。
野上氏については、国政において農林関係の要職の経験はなく、「未知数」という評価がもっぱら。米どころ富山県出身であることで、「地方や農業を大切にする大臣」というイメージづくりにも余念がないようだ。
いずれにしましても(菅氏の常とう句)、当コラム、2016年8月から約3年間、安倍内閣の官房副長官であったとき、安倍氏の横に立っていた彼を長らく護衛のSPと思っておりました。問題山積の第一次産業に未知数大臣でいいのか、はなはだ疑問。北村誠吾前地方創生大臣のように「無知数」でないことを願うばかり。


サステナウィークって何ですか

9月19日付の日本農業新聞に、「サステナウィーク始まる」と奇妙な見出しを見つけた。
サステナとは、国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals=SDGs)」からとったもので、持続可能(サステナブル)な農業生産を後押しするにはどうしたらいいか消費者に考えてもらうため、農水省や企業、団体などでつくる「あふの環(わ)2030」がPR活動として始めた取り組みである。ちなみに、「あふの環」の「あふ」とは農業(A)・林業(F)・水産業(F)の英語頭文字。国連のSDGsに、持続可能な食品・農林水産物の生産・消費も位置付けられていることから、同省と消費者庁、環境省が始めたものだ。JA全中や農業者、小売り、食品メーカーなど85の企業・団体などからなり、国連総会の開催期間中に、参加企業・団体が小売店やインターネットで、環境や水、土壌の保全、地球温暖化の防止やごみの削減などにつながる商品を販売するなど、意欲的なイベントである。
ただこの記事を見てすぐに思ったのは、消費者の啓発だけではなく、野上氏が大臣として何をすべきかをしっかり考えるきっかけとすることである。新聞情報だけではあるが、氏の口から、SGDsに関連した言葉はまったく聞かれなかった。もちろん、菅氏始め、新政権の閣僚、誰一人この課題に触れなかったようだが、極めて由々しきことである。
同一紙面にある論説は、新自由主義的な経済のグローバル化が、格差拡大、地球環境問題の深刻化、飢餓人口の増加などをもたらし、「社会・経済や地球環境の持続性の確保こそ国際世論は求めており、それが国連の持続可能な開発目標(SDGs)に結実した」ことを強調する。そしてそれを農業分野で先取りしたのが、2000年のWTO(世界貿易機関)農業交渉において、日本が提案した「多様な農業の共存」とする。だからこそ、菅政権に対して、「持続可能な農業」を国家の権利として認め合う国際世論の形成に、戦略的に取り組むことを強く訴えている。


大事な「ものさし」としてのSDGsとパリ協定

「集団的自衛権 菅官房長官に問う」というタイトルで、2014年7月3日に放送された「NHKクローズアップ現代」で、菅氏に厳しい質問を浴びせ、それが主たるきっかけとなり降板に追い込まれたのが、人気キャスターだった国谷裕子氏(くにやひろこ、東京芸術大理事)。現在、SDGsの取材、啓発活動に力を注いでいる氏のインタビュー記事が、「新婦人しんぶん」(8月27日付)に掲載された。まず、2015年に国連に加盟する193のすべての国に採択されたSDGsと、同年12月に世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃未満に抑え、1.5℃未満を目指したパリ協定を、「世界共通の大事なものさし」と、高く評価する。そして「みんなでめざすべきゴールを手にしていることはある意味、奇跡的なことかもしれない」とする。
この「ものさし」こそ、コロナ危機を乗り越えるための道しるべとして、「新しい世界への動きを強めていくことが今とても重要になっています」と、情熱を込めて語っている。
もちろん日本も批准手続きを経て、パリ協定の締結国となっている。
SDGsもパリ協定も、「賛成したけど、実行するとは言っていない」なんて、アホなセリフはアベちゃんだけでもう十分。
ちなみに、今年7月17日に閣議決定された「骨太方針2020」の最終節のタイトルは「持続可能な開発目標(SDGs)を中心とした環境・地球規模課題への貢献」だったこともお忘れなく。
「地方の眼力」なめんなよ


本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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