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代替肉・食肉消費をめぐる米国の話題 【ワシントン発 いまアメリカでは・伊澤岳】2021年9月1日

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米国の2021年4月の業務用レストランへの植物由来代替肉(大豆などの植物性たんぱく質を原料として生産された牛肉代替製品。以下、代替肉)の出荷量は、昨年同月と比較して45%増加したことが報告されている。コロナ禍前の一昨年同月との比較では82%の増加となっており、代替肉需要は順調な伸びを示していると言える。

米国では昨春、食肉処理場の従業員で新型コロナウイルスの感染拡大が相次いだことにより多くの食肉処理場が一時閉鎖し、食肉供給に支障が出るほどの影響を与えた。昨年4月の代替肉の売り上げは、パンデミック発生前の昨年1月との比較で35%の増加となっており、食肉業界のトラブルも代替肉にとっては追い風となったと考えられる。

"ミートレスデー"に対抗し、"プロミートデー"を宣言する州も出現

スーパーや街中で当然のように代替肉製品や代替肉の広告を見かけることができるスーパーや街中で当然のように代替肉製品や代替肉の広告を見かけることができる

"ミートレスデー"とは、食肉消費による気候変動への影響や健康などを意識するために、食肉消費を避ける日を作る運動の事である。毎週月曜日に食肉消費を避ける「ミートレスマンデー」が特に有名な取り組みとして知られている。

今春、米国西部のコロラド州では州知事が、週に1日食肉消費を避けることを奨励する"ミートレスデー宣言"を行った。この動きに対し、コロラド州に隣接し、畜産が盛んなことでも知られるネブラスカ州は速やかに対抗する動きを見せた。ネブラスカ州知事はこのミートレスを奨励する隣州知事の動きを「生活様式への直接的攻撃だ」として強く非難し"プロミートデー(食肉推進日)"を宣言したのである。ネブラスカ州は農業生産額ベースで全米3位(2019年)に位置する農業州であり、州知事の迅速な対応は基幹産業への影響を強く意識した動きと言えるだろう。

国連食料システムサミットで代替肉の可能性が指摘

9月には国連食料システムサミットが開催され、「持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた食料生産・加工・輸送・消費等の行動の変革」が議論される事となっている。

このサミットでは(1)質・量両面にわたる食料安全保障、(2)食料消費の持続可能性、(3)環境に調和した農業の推進、(4)農村地域の収入確保、(5)食料システムの強靭化など、テーマごとに解決策の提案とそのコミットメントが求められている。特に「(2)食料消費の持続可能性」のテーマでは「代替肉に代表される代替たんぱく質の生産および消費拡大」が解決策の一つとしてこれまでに報告されている。

米国の市場動向や、SDGs達成に向けたこうした動きをふまえれば、代替肉普及の動きは一層加速していく可能性が高いと推察される。こうした動きを「生活様式への直接的攻撃」と捉えるかどうかは別として。

農業団体の受け止めは

こうした代替肉拡がりの動きについて、筆者は品目横断的な農業者で構成されている複数の農業団体に尋ねてみた。団体の公式見解ではないため団体名称は差し控えるが、ある団体は「代替肉が今後どの程度の規模に発展するかは市場で判断されることだ」とする一方、「肉を代替する取り組みは畜産農家の経営にとって大きな心配事だ」「代替肉市場の拡大がどの程度のものとなるか疑問も残るが、我々の会員農業者が代替肉原料として自らの作物を販売できるのかどうか、企業に垂直統合された反競争的なビジネス構造にならないかどうかについても注意する必要がある」とコメントする団体もあった。いずれの団体も、当面は代替肉市場が今後どこまで拡大するかについては冷静に見守っていきたいというスタンスであると伺える。

代替肉をめぐっては、植物性たんぱく質を利用した製品の他、人口的に細胞を増殖(培養)させることにより生産する培養肉にも多額の投資が行われ開発が進められている。いずれも現在の畜産業にとっては脅威となり得るものであり、今後どこまで市場が拡大していくのか、どのような製品が開発されてくるのか、食肉消費大国である米国の動向に引き続き注目が必要である。

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