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地方議会と直接民主主義【小松泰信・地方の眼力】2022年1月5日

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「今、痛切に思うのは、議会制民主主義の限界、ということです。それを補完する直接民主主義を豊かに発展させるということについて深く考え、そして実践してまいりたいと考えます」(昨年の衆院選後、敬愛する研究者から送られてきた私信より)

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市民と政治をつなぐ民主主義の力

「民主政治とは本来、為政者が少数者の意見にも耳を傾け、議論を通じて合意を作り上げる営みだ」とする毎日新聞(1月1日付)の社説は、「安倍晋三・菅義偉両政権下で異論を排除する動きが強まり、国民の分断が深まった」とし、「『数の力』にものを言わせる政治と、市民との距離が広がっている」ことを危惧する。

議会制民主主義が「議員を介する分、人々の声が十分に政治に反映されにくいという問題も抱えている」ことを指摘し、フランスで「くじ引きで選ばれた国民が気候政策を討議し、149本の提言をまとめた」ことなど、世界的に「市民による政治参加の動きが近年、活発になっている」ことを評価する。

市民参加の活動に詳しい同志社大教授・吉田徹氏の「代議制民主主義の足りないところを補完し合う関係が望ましい」というコメントの後、「人々が声を上げ、政治がその多様な意見を吸い上げる。市民と政治をつなぐ民主主義の力が試されている」と締める。

キーワードは対話

西日本新聞(1月3日付)の社説は、「地域社会の変化に合わせ、暮らしに関わる施策を練り直すときこそ、住民参加の真価が問われる」とし、2014年度から取り組まれている福岡県大刀洗町の「自分ごと化会議」を紹介している。

21年度は、住民基本台帳から無作為に500人を抽出し、うち参加希望者24人が委員に選任され、ごみの減量策を検討し、町への提言をまとめることになっている。

「普通の住民」の声に耳を傾けることで、「行政目線では気付かないことに気付くことができる」(中山哲志町長)とのこと。

また社説子は、「たまたま選ばれた人たちが対話をしながら、身近な公共課題を自分のことと受け止め、行動を起こす。この小さな積み重ねは住民自治を確かにする」ことを、もう一つの「大切な意義」としている。

井戸端会議的対話が求められる背景に、「右肩上がりの時代が去り、初めて直面する地域の課題に過去の経験が通用しなくなったこと」をあげ、「国も自治体も解決の答えを持たない。ならば、多様な住民で話し合って最適解を見いだすしかない。そんな意識が少しずつ広がっているように見える」と評価する。

そして「対話は政治と有権者の距離も縮める。住民との意見交換を政策作りに生かす議会もある。定着すれば選挙の投票率に変化が生じるかもしれない。話しやすい環境は安心感を生む。他者を尊重する対話の文化が根差すと、地域の住みよさは高まるに違いない」と、期待を寄せている。

地方の再生と自治体の主体性

「長い時間をかけて出来上がった東京一極集中である。簡単には止められない」としつつも、「人が住まなくなった荒れ野をこれ以上広げないためには、ここで踏ん張りたい。是が非でも地方の再生を実現させなければならない」とするのは、山陽新聞(1月1日付)の社説。

「流れを止めるためには地方に新たな魅力が必要なのだが、国の地方振興策は、膨大な経費をつぎ込んできたにもかかわらず成果が乏しい。成功モデルを全国に広げる『横展開』方式に限界も見える」とし、「各地で『金太郎あめ』のような没個性の開発が進み、多くのシャッター街を生んだ。不相応の施設を抱え、維持費に苦しむ地域も多い」と指弾する。そして、「街づくりをもっと地方に任せるべきではないか。地方も国が示すメニューを待つのでなく、他地域にない街づくりの旗を掲げるべきだ。国には使い道を限定しない補助金を用意してもらいたい」と訴える。

コロナ禍で傷ついた「地方の経済を再生し、衰退に歯止めをかけなければ、未来の安心な暮らしは描けない」とする中国新聞(1月3日付)の社説は、「地方創生では、地方自治体に計画を作らせ、国が認めた事業に充てる交付金を配ってきた。こうした補助金行政が、政策立案における地方自治体の自主性を損なった面も否めない。(中略)中央と地方の上下関係をただし、地方自治体が主体となって地域の実情に合わせた政策をとれるようにする必要がある」ことを強調する。

これでいいのか地方議会

NHKおはよう日本(1月4日、7時台)では、「住民の関心が低い」「議員のなり手不足」「地域のニーズ・課題が多様化複雑化」などの課題に直面している地方議会の改革に取り組む、茨城県取手市と徳島県那賀町が紹介された。

注目したのは、徳島県那賀町(人口約7700人、議員数14人)の取り組み。2014年6月の定例会より、採決前の全員協議会において、議員間の自由討議を導入し、議案の他さまざまな課題について闊達な議論を行い、合意形成に努めている。

「本音が出ますよつい。こういう会でなければ言えませんよ。本会議で〝これおかしいではないか〟となかなか言葉に出して言いにくい」とは議員のコメント。

町議会では住民の要望を政策に反映させる取り組みも模索していた。「那賀町議会における議会改革のあゆみ《ダイジェスト版》住民から信頼される議会を目指して」(2020年9月徳島県那賀町議会)によれば、14年12月より町内の各種団体等との意見交換会を行った。翌15年9月定例会において「車座会議実施要綱」を制定し、意見交換会の名称を「那賀町議会車座会議」とした。そして、16年6月に実施した地区コミュニティー推進協議会を皮切りに、地域住民との車座会議も実施されることとなった。

同会議で出た意見などを踏まえて町議会議員が条例案を立案し、7本の条例が制定されている。

那賀町議会の議会改革特別委・委員長は「何をやっているか分からないという評価をされ続けているままでは悔しい。成果が上げられるものがどれだけつくれるのか。それがしっかりと町民に伝わるようなアナウンスもできるか、一番大きなポイント」と語っている。

ところで、「全国的にはどうなんです?」と問われて取材した記者は、「この二つの議会は先進的なケースとされている。専門家は地方議会がより住民に近い存在になって、必要なものだと感じてもらうには、さらに改革が必要と指摘している」と答えた。

と言うことは、ほとんどの地方議会は、まともに住民の声や叫びに耳を傾けていないのか。一体、これまで、誰の声を聞いてきたのか。何が地方自治だ。批判しましょう。憤りましょう。怒りましょう。そこからはじめて「自治」が芽生える。

「地方の眼力」なめんなよ


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小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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