社会主義は消滅したか・・・否【森島 賢・正義派の農政論】2025年10月27日
●多党化の中で協同主義は社会主義を引き継ぐ
社会主義は消滅したか。否である。
政党の多党化の中にあって、主要な大政党で、社会主義を標榜している政党はない。つまり、社会主義は、いま、風前の灯になっている。資本主義の嵐の中で、吹き飛んでしまう状況にある。
だが、消滅はしない。いま、それに代わろうとしているのが協同主義で、社会主義の思想の一部を引き継いでいる。
●社会主義は理論の産物
社会主義にしても、資本主義にしても、それは理論上の産物であって、現実には存在しない。
社会主義は、生産手段を社会が所有して経済を支配する。資本主義は、資本家が生産手段を所有して経済を支配する。そうして、経済を支配する者が、政治を支配する。それだけでなく、文化をも支配する。
しかし、社会主義国にしても、資本主義国にしても、このような教科書通りの国はない。生産手段の全てを社会が所有する国はないし、生産手段の全てを資本家が所有する国もない。実際は、その中間にある。つまり、生産手段の一部を社会が所有権を持ち、あるいは、社会が資本家の所有権を制限している。
このようにみると、すべての国が、社会主義の性格の一部を持っている。それは、協同主義と共通した一部である。
●協同主義は社会主義の進化型
協同主義は一部の生産手段の所有権、つまり絶対的な支配権を、共同体の全員が平等に持っている。この重要な点で、社会主義に近い位置にある。
このようにして、社会主義は進化し続けている。これを視覚的にいえば左翼化といっていい。その一方で、資本主義はしばしば退化することがある。右翼化といっていい。革新とか保守とかいう無内容な分け方や、リベラルとか中道とか保守とかいう分け方よりも、よほどいい。
●SNSには無限の可能性がある
前おきが少し長くなったが、ここで論じたいことは、社会主義と資本主義を抽象的に論ずることではない。いま、政治が混沌としているなかで、政治・社会を根底から形作っている、この2つの主義を抜きにして、浅薄な政治論争が行われていることについて論ずることである。
論争の舞台は、主にSNSである。ここには、論争を浅薄にする落とし穴がある。そして、政治の世界は、この落とし穴に陥りやすい。つまり、SNSを使いこなしていない。
しかし、SNSには無限の可能性がある。誰でも、何時でも、どこからでも論争に参加できる。民主主義にとって、理想的な道具になる可能性がある。
しかし、政治の世界では、この可能性を充分に使いこなしていない。どこに問題があるか。
●政治の世界でもSNSを使いこなせ
SNSでは、文字数にして200字程度の発言しかできない。これが、公共の電波を使い、片言隻句の醜い罵り合いに終始し、浅薄な論争に終わる原因だ、とする見解がある。だが、そうではない。1回で200文字でも、それを何回も繰り返せばいいのだ。だから、それが原因ではない。
以前には、徹夜をしてでも徹底した議論を続け、議論を深め、互いに思想を練り上げたものだった。しかし今は、議論を何回も繰り返す時間がない。これが原因である。
それ程までの過酷な搾取で、農業者や労働者が大多数を占める国民から、また、若い学生から、そうした時間を奪っている。ここに真の原因がある。
●SNSは多党化を招く
もしも、議論を何回も繰り返す時間があれば、基本政策についての議論も精緻化できて、議論を深化できるだろう。SNSには、その潜在力がある。
政党の多党化は、この潜在力が現実化したものである。それは、SNS時代の中にあって、情報技術の発展にともなう、人為を超えた歴史の必然なのである。
基本政策を精緻に議論するなかで、自民党や立憲党などの大政党は、やがて左右に分裂して、多党化の中の小政党になるだろう。それは、今までのような離合集散ではない。基本政策の違いによる分裂である。
●搾取を弱める政党か、強める政党か
タカ派とハト派に分裂する、という論者もいる。だが、タカ派は仮面であって、軍拡による資本の労働搾取の拡大を隠している。そうした議論も、これからは可能になる。
つまり、これからの政党の分裂を正確にいえば、労働の搾取を弱める協同主義の方向へ向かう政党と、労働の搾取を強める方向へ向かう政党との分裂である。そこを、見極めねばならない。
最後に、1つ付け加えよう。小選挙区制は、この歴史的必然に逆らうものである。早急に比例選挙制に改革すべきである。
(本稿は資料の収集について AI(ChatGPT) からの貴重な助言を得た)
(2025.10.27)
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