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1票のカルサ【小松泰信・地方の眼力】2022年1月19日

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「まずは成長戦略。第一の柱はデジタルを活用した地方の活性化です。新しい資本主義の主役は地方です。デジタル田園都市国家構想を強力に推進し、地域の課題解決とともに、地方から全国へと、ボトムアップでの成長を実現していきます」(1月17日の岸田首相施政方針演説)

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求む!地方を尊重する国家構想

施政方針演説が行われる日の朝刊で、「デジタル田園都市 首相は構想の具体像語れ」と、機先を制したのは西日本新聞(1月17日付)の社説。

「岸田文雄首相が掲げる『デジタル田園都市国家構想』とは何か。実現すると、地方の私たちの暮らしはどう変わるのか。新内閣の発足から100日が経過し、5兆円を超える関連予算が計上されても、この構想を貫く理念や具体像は判然としない。デジタル化の手段ばかりが先行している印象も強い」ではじまり、「『国家構想』と称する以上、首相がまず国民に示すべきは予算の使い道ではない。明確な国の将来像である」と、正鵠(せいこく)を射る。

具体例をあげて「デジタル技術が都市や農山村に恩恵をもたらすのは確かだ」と、その必要性は認めた上で、「ただそれだけで地方が直面する課題が片付くわけではない。大事なのは自治体がデジタルの基盤や人材をどう生かすかだ」と課題を提起する。

「田園都市構想というのは、地域の個性を生かして、みずみずしい住民生活を築いていこうとするものであり、基礎自治体の自主性を極力尊重していこうとするものである」という、故大平正芳氏が提唱した田園都市国家構想を岸田構想の原点と位置づけ、「地方を尊重する国家構想」を岸田首相に求めている。

もちろん大平氏が存命だったとしても、この国家構想の実現に向けて動き出したかどうかは疑わしい。

明らかなことは、この国が大平構想とは真逆の道を突き進んでいることだけである。

適疎推進課の創設

地方を軽んじる国づくりが進む中、凛とした姿勢で地域づくりを進める自治体もある。

毎日新聞(1月15日付)の社説が取り上げるのは、大雪山系のふもとにある北海道東川(ひがしかわ)町。

鉄道も国道もないが、積極的に移住者を受け入れた結果、人口がここ20年間で1割以上増えて約8400人になった。

「わが町の人口はせいぜい1万人が限度。過疎は困るが、ほどほどにまばらな『適疎』がいい」とは、松岡市郎町長の持論。1月から「適疎推進課」を設けるまでになっている。

「四季の風景が美しい『写真の町』をコンセプトに、移住し、暮らしやすい地域づくりに取り組んだ。子育て支援、景観条例による美観の維持、全国唯一の町立日本語学校を設立しての留学生受け入れ...」が功を奏し、転入者が住民の過半数を占めるようになった。

社説子はそれらから、「外的要因に大きく左右されるインバウンドを地域再生の主柱に据えるような人口対策には、無理があったと言わざるを得ない」と、これまでの政策に苦言を呈する。

さらに、岸田首相の「デジタル田園都市国家構想」を俎上にあげ、「デジタル化を進めるだけで地方の『田園』が維持され、にぎわいが戻るわけではない」「『デジタル』は手段に過ぎない」とし、「地方創生で軽視されがちだった住みやすさや、共同体を維持するための努力がもっと尊重されるべきだろう」と、力点の置き方の修正を求める。

誰のための10増10減か

地方といえば、衆院10増10減を巡ってなにやら騒々しい。

細田博之衆院議長が2021年12月20日、自民党議員の政治資金パーティーで、「最近はどんどん地方の政治家を減らすようなことを言っているが、数式によって地方の政治家を減らし、東京や神奈川を増やすだけが能ではない」と、衆院小選挙区定数の「10増10減」を批判したことが発端。

これに触発されてか、自民党の二階俊博氏は1月10日の和歌山放送ラジオ番組で、同案で和歌山県の定数が1減となるのを踏まえ「腹立たしい。こんなことが許されるのか。地方にとっては迷惑な話だ」「地方がこれから栄えるよう取り組む。何の遠慮もない」と語り、反対していく姿勢を示した。

この長老二人の発言には怒りを禁じ得ない。そもそも、あんたたちが決めたことでしょ。どの口が言う。

愛媛新聞(1月16日付)の社説も二人の異論に対して、「地方の声が届きにくくなるとの懸念は削減対象の愛媛の有権者にも切実だが、党利党略は持ち込むべきでない。その場しのぎでない議論を求めたい」とする。

定数見直しは2016年に成立した衆院選挙制度改革関連法によるが、この「関連法は自民党などの賛成で成立した。党利党略で後戻りさせようというのであれば、広く理解されるとは思いにくい」と、くぎを刺す。

そして、「東京一極集中の流れが大きく変わらない以上、大都市の定数拡大と地方の縮小は今後も繰り返されるおそれがあり、懸念されるのは確かだ。であれば、一極集中や地方衰退を止めるのもまた政治の責務のはずだ」と急所を突き、「法の下の平等を実現しながら地方の声を反映できる選挙制度について、幅広い観点から議論する」ことを求めている。

格差是正のために地方移住をお勧めします

2021年6月30日付の当コラム「誰が国土の叫びを代弁するのか」では、院生時代にお世話になった老酪農家の「単に人間の頭数だけで国会議員の数を決めるのは間違っている。地方選出の国会議員は、われわれの声だけではなくて、われわれが守っているこの国土の声を届けるのも仕事だよ」と、語ってくれたことを用いて、「国土の代弁者たる地方選出の議員定数を、増やしても、絶対に減らすべきではない」と訴えた。

人間の頭数しか眼中にない「アダムズ方式」には、国土の叫びは反映されない。この方式には人間の思い上がりが凝縮している。

冷静に考えてみると、1票の格差が取りざたされている割には、1票の価値が相対的に高い地方に、1票の価値の高さを求めて都市部から移住した、という話は聞いたことがない。利便性や社会的インフラの充実よりも、1票の価値に重きを置かれている都市住民の方々には、地方移住をお勧めしたい。

「そこまでして1票の価値の高さを求めない」とすれば、あなたたちの1票はオモイのほかカルイ。

「地方の眼力」なめんなよ


本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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