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コメの市場があるメリットとは?その11 「コメ政策ってなにかおかしくないですか?」【熊野孝文・米マーケット情報】2023年9月26日

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「このまま精米事業を続けられるのか不安になって来た」。21日に行われたクリスタルライスの取引会後のコメ卸の感想である。成約価格は公表されていないが秋田あきたこまちは1万5000円以上で買われたものもあったという。価格の高騰もさることながら新米の出盛り期であるにも関わらず、売り物が少なく、あるはずの4年産米まで出てこない。その一方で、配合飼料会社が集中する港には飼料用米を積んだトラックが何十台も並んでいる。この様子を見た玄米卸は「コメの政策って何かおかしくないですか」と漏らす。この玄米卸の社長がコメ政策について発言するのを初めて聞いたが、おかしいと思い始めた業者や生産者、消費者が増え始めている。

komemarket_1600_900.jpg

9月21日に開催されたクリスタルライスの取引会は、38産地銘柄3万8096俵(前年比81%)が提示、上場加重平均価格は1俵1万4399円(税別、以下同、前年比116%)となっている。

米マーケット0926.jpg主要産地銘柄の上場価格(売希望価格)は表の通りだが、前回よりさらに値上がりして秋田あきたこまちは1万5000円を超える売り物も出ており、実際にその価格で買いを入れた卸もいる模様。特徴的なことはあきたこまちばかりか東北の売り唱え価格が高く、青森のまっしぐらは関東のコシヒカリよりも高い。

さらに1,2等混載条件や新潟に至っては3等品だけの売り物が主力を占めている。それでも1万4000円以上の唱え値なのだから、家庭用精米向けに仕入れなければならない卸はシラタのコメをどう精米して歩留まり減分をどうカバーすれば良いのかわからない。新潟コシヒカリは量販店のコメ売り場でのプライスリーダー的存在であり、シラタのコメをそのままにして値札をつけるわけにもいかない。

それではというわけで新潟コシヒカリに次ぐ秋田あきたこまちに買いが入っている次第。その秋田あきたこまちの売り唱え価格を見ると、最も安いものは10月末まで渡し条件でJA玉が1万4200円で出ているが、高いものでは年明け3月20日渡し条件で1万5350円の売り物もある。5年産から保管料が1期20%程度値上げされるために、その経費を加えるとその分高くなるということなのだろうが、先物市場があればそんな保管経費は必要なく、買い手の卸は3月末受け渡し条件で買えたのである。

こうしたことは先物市場がなくなってから気づいたという卸も多いはずで、出来るだけ早く先物市場を復活させないと流通業者は経営が困難な状況になりかねない。

5年産の価格高騰では裾ものの値上がりも著しく、くず米は無選別でキロ当たり110円にまで高騰、昨年同期より30円から40円高い。くず米高は中米や未検査米など下ものの価格押上げ要因になっており、業務用向け米の価格が高騰する原因になっている。業務用向けは新米にこだわる必要がないので4年産でも良いのだが、売り物が少ない上に価格も高い。

クリスタルライスの売り玉を見ても4年産では青森まっしぐらが1万3700円、青天の霹靂が1万6600円、会津コシヒカリが1万4150円といった具合。4年産は周年対策で25万トン残っているが、これは多くがコンビニベンダーに行くようになっており、市中には出回らない。

4年産の政府備蓄米は20万トンあるが、これは餌用として処理される予定で、これだけで500億円の税金を使うことになる。新米を倉庫に搬入するため古米を産地から移動保管をかけている最中で、冒頭に記したように港に何十台もトラックが並んでいる。

巨額の税金をつぎ込んで人為的にコメ不足を引き起こし、新米価格の高騰を演出しているというのが今のコメ政策で、「おかしい」と思わない方がおかしいという状況になっている。

餌米や主食用外の用途に処理するために4000億円もの税金を投入するくらいならその金を生産者の直接補償の財源に充て再生産を可能にして、価格は市場に任せ、用途限定などという法律は廃止して、どんな用途でも自由にコメを原料として使えるようにした方がはるかに健全で需要拡大になり、産業として発展する。

コメを作る人がいなくなる前に政策の大転換を早急に実施しないとコメ業界は死に体になる。

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