シンとんぼ(67) 食の安全とは(25)散布機具の洗浄ミスによる農薬残留12023年11月4日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは今、そもそも「食の安全」とは何かということの検証を試みている。
現在、農薬の使用上の人為的なミスにどのようなものがあるか検証しており、前回は希釈倍数・使用量の間違いについて検証した。今回は散布機具の洗浄ミスだ。
ご存じのとおり、農薬の散布には製剤ごとによって決まった方法があり、定められた用法に従って水に農薬製剤原液・原末を投入し、十分に希釈して散布する希釈液散布が最も多い。
その希釈液散布を実施する散布機具には、背負式動力噴霧機やセット動噴、手動噴霧器、スピードスプレーヤー(SS)など色々あるが、その基本的構造は同じだ。すなわち、希釈液を溜めておくタンク、汚れや不要物を取り除くストレーナー、散布液に圧力を加えて放出するポンプ、散布ノズル、そしてそれらをつなぐホースといったもので、農薬の希釈液は散布機具のこういったパーツを通過して作物に散布される。そして、散布終了後は機具を洗浄して終了となるのだが、農薬の残留問題を考える時に重要なのは、この洗浄作業である。
洗浄作業はおよそ次のような手順で行われる。
①散布機具の中の農薬希釈液を全て排出させる
②散布機具に清水を通しタンクやストレーナーからホース、ノズルに至るまでの希釈液が通る経路全てに清水を行き渡らせて洗浄した後に散布機具の中の洗浄水を全て排出させる
③そして②の作業を複数回繰り返す 
といったものだ。洗浄の回数は、農薬の散布機具等は十分な量の水で3回ほどすすげば99.9%除去できる(農薬工業会)ので、ほとんどの場合3回も洗浄すれば十分であろう。
そこで農薬取締法違反や農薬残留超過につながる人為的なミスの原因の多くが①と②の行程のミスによるものだ。まず①であるが、忙しくて洗浄を忘れた場合だ。散布機具の中には、前回使用した農薬の希釈液がそのまま残っているので、散布機具を洗浄せずに使った場合には次回使用する際の最初の薬液は、前回使用した農薬が噴霧されることになる。その最初の薬液の量は、散布機具の経路の長さに比例して多くなるので、ホース長が長いセット動噴のような散布機具では前回使用した農薬が噴霧される量は莫大になる。この時、同じ作物を対象に同じ農薬を使用するのであれば大きな問題とはならないが、異なる作物に散布する場合、農薬取締法違反、農薬残留基準超過の原因となる場合がある。なぜなら、前回と異なる作物に農薬登録が無かった場合には、適用作物の相違で農薬取締法違反になり、農薬登録があったとしても希釈倍数が異なって濃い希釈液を散布する結果になった場合には、農薬取締法違反と農薬残留基準超過のリスクの増大につながってしまうからだ。
(つづく)
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