シンとんぼ(69) 食の安全とは(27)農薬の使用回数制限2023年11月18日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは今、そもそも「食の安全」とは何かということの検証を試みている。
現在、農薬の使用上の人為的なミスにどのようなものがあるか検証しており、前回までに希釈倍数・使用量間違いの場合、散布機具の洗浄ミスによって残留基準超過が起こり得るのかを紹介した。今回は、使用回数制限についてである。
この使用回数制限は、農薬取締法において遵守しなければならない項目の一つで、作物の1作期中に同一有効成分を何回まで使用できるかを定めている。この使用回数は、製品と製品に含まれる有効成分ごとに定められている。
例えば、A、B、Cという3つの成分を含有する農薬X粒剤があったとすると、この農薬の総使用回数は、本剤(=X粒剤)1回、成分A2回以内、成分B1回、成分C2回以内といった表記になっている。
本剤(=X粒剤)を使用できる回数は1回のみだが、対象作物の1作期に使用できる農薬の総使用回数は、有効成分ごとに決められており、成分Aは2回までOKなので、A成分を含むX粒剤以外の農薬をX粒剤使用後に、あと1回使用できることになる。同様にC成分もX粒剤使用後にあと1回使用できる。
これは一見簡単そうに思えても、実はうっかりミスの誘因となる可能性がある。
なぜなら、一般に農家は農薬を商品名で管理し有効成分にまで気を回していない場合が多いからだ。
さらに、最近の農薬はその製品名からは有効成分を類推できないものが多くなっており、これが有効成分ごとの管理をやりづらくしている要因の1つとなっている。
例えば、成分Aを含む農薬成分を含む農薬製品が、X粒剤(成分A+成分B+成分C)、Yフロアブル(成分A+成分D+成分E)、Z顆粒水和剤(成分A+成分F)の3つがあるとする。
この場合、X粒剤→Yフロアブル→Z顆粒水和剤と順番に使用すると成分Aは連続で3回使用したことになり、農家にしてみれば、異なる農薬を1回ずつ使用したのだから大丈夫だと思っていても、実は成分Aは総使用回数が2回なので、Z顆粒水和剤を使用した時点で、農薬取締法違反を犯してしまったことになるのだ。
水稲や果樹のように防除暦が設定され、それに従って防除を行っている場合は全く心配ないが、施設園芸など、自分の施設での病害虫発生状況に合わせて防除を行っている場合などは特に注意が必要で、うっかり有効成分ごとの使用回数を超過してしまうリスクが高くなる。
このミスは、罰則規定が設けられて以降は農家の意識も高くなりほとんどなくなったようだが、最近は農薬の代替わりや再登録制度によって、成分ごとの使用回数制限が変更になるケースも増えている。
これらをうけて、農薬を使用する場合は、最初から使用予定の農薬の有効成分を全て把握し、有効成分ごとの使用回数を超過しないよう意識して行わなければならない。
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