【JCA週報】世界史の大きなうねりの中で #3(三輪昌男)(2002)2024年1月9日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長中家徹JA全中代表理事会長、副会長土屋敏夫日本生協連代表会長)が協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、当機構の前身である協同組合経営研究所が発行した「協同組合経営研究月報」2002年6月号に、三輪昌男氏が執筆された「世界史の大きなうねりの中で」です。
ボリュームの関係から複数回に分けて掲載いたします。途中で他の掲載を挟んだ場合はご容赦ください。
世界史の大きなうねりの中で #3/全6回(2002)
三輪昌男(國學院大學・名誉教授)
(連載 21世紀における協同組合の意義と課題 第1回)
2001.9.11以降(#1)
ICAソウル総会(#2)
第三世界の声(#3)
1999年末シアトル(#3)
ポルトアレグレ集会(#4)
別のダボス(#4)
新自由主義(#5、#6)
狂気の時代の正気の島(#6)
第三世界の声
9.11以降「ショー・ザ・フラッグ」の声が飛び交う中で,日本のマスメディアの一部に,2種類の旗の両方の視点で報道する姿勢が現われ,今も続いている。米国のマスメディアとの違いであり,私はそれに救いを感じる。
米国政権を批判する旗の側の論稿も多数紹介されてきている。一つだけ取り上げてみよう。第三世界との連帯の日本の運動の草分け,北沢洋子さんのものである(『朝日新聞』01年10月9日付)。
「9月11日以来,インターネット上に見られる第三世界の発言をまとめてみよう」「初めのうちは,米国に対する強い『怒り』の発言が多かった。••...•米国こそ最大のテロ国家ではないか」という。
「時間が経つにつれて,発信の内容に変化が見られる。.....債務の支払いによって,毎日,1万9千人の子どもたちの生命が奪われている。経済のグローバリゼーションが,第三世界の貧困を深刻化している。1日1ドル以下の生活を強いられている貧困層の数は,13億人に達している」「第三世界の人々の目には,このグローバリゼーションの推進勢力と米国は,重なって見ぇる」。
貧困の極みとしてく飢餓>がある。それを克服する取組みを,ICA1980年大会の「レイドロー報告」は,世界の協同組合の四つの優先課題の最初に位置づけていた。
貧困についていえば,経済的弱者の組織である協同組合は,ビジネスによるその克服を,本来の使命としている。
21世紀における協同組合の意義は,極めて大きい。
1999年末シアトル
ICAソウル総会のテーマは「グローバリゼーションの時代における協力と平和」であった。協同組合を含むNGO(非政府組織)の動きの中で「グローバル化」という言葉が広く用いられるようになったのは,いつごろからだろうか。
99年末,米国のシアトルで,多様なNGOが空前の大結集をしたときから,といってよい(『エコノミスト』01年9月18日号所収の北沢洋子さんの論稿参照)。
それは,WTO次期ラウンドの開始宣言を目指して開かれた閣僚会議に,影響を与えようとする結集であった。参加者7万人。著名なラルフ・ネーダーが率いる米国消費者運動組織や,米国労働組合全国組織も姿をみせて注目された。
閣僚会議は失敗した。加盟国間の意見調整ができなかったからだが,NGOの大結集も,背景として,けっして軽視できないものであった。
参加者があげた声は、主として「自由貿易反対」であった。その中に「グローバル化反対」の声が混じっていた。むろん,基本的に同じ内容(経済活動の国境の除去反対)の別表現として。
(続く)
重要な記事
最新の記事
-
(394)Climate stripes(気候ストライプ)【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年7月26日
-
地域医療の実態 診療報酬に反映を JA全厚連が決議2024年7月26日
-
取扱高 過去最高の930億円 日本文化厚生連決算2024年7月26日
-
【人事異動】JA全厚生連 新理事長に歸山好尚氏(7月25日)2024年7月26日
-
【警報】果樹全般に果樹カメムシ類 県下全域で最大限の警戒を 鳥取県2024年7月26日
-
【注意報】イネに斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 山形県2024年7月26日
-
今が旬の「夏酒」日本の酒情報館で提案 日本酒造組合中央会2024年7月26日
-
ヤンマーマルシェ、タキイ種苗と食育企画「とりたて野菜の料理教室」開催 カゴメ2024年7月26日
-
「ごろん丸ごと国産みかんヨーグルト」再登場 全国のローソンで発売 北海道乳業2024年7月26日
-
物価高騰が実質消費を抑制 外食産業市場動向調査6月度2024年7月26日
-
農機具王「サマーセール」開催 8月1日から リンク2024年7月26日
-
能登工場で育った「奇跡のぶなしめじ」商品化 25日から数量限定で受注開始 ミスズライフ2024年7月26日
-
東京・茅場町の屋上菜園で「ハーブの日」を楽しむイベント開催 エスビー食品2024年7月26日
-
鳥インフル 米国オハイオ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2024年7月26日
-
大玉すいか販売大幅減 小玉「ピノ・ガール」は前年比146.8% 農業総研2024年7月26日
-
千葉県市原市 特産の梨 担い手確保・育成へ 全国から研修生募集2024年7月26日
-
水産・農畜産振興 自治体との共創事例紹介でウェビナー開催 フーディソン2024年7月26日
-
新規除草剤「ラピディシル」アルゼンチンで農薬登録を取得 住友化学2024年7月26日
-
自由研究に「物流・ITおしごと体験」8月は14回開催 パルシステム連合会2024年7月26日
-
高槻市特産「服部越瓜」の漬け込み作業が最盛期2024年7月26日