シンとんぼ(89)みどりの食料システム戦略 現在の技術で実現可能でしょ(3)2024年4月13日
シンとんぼは令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まり、ひと通りの検証と考察が終了したので、これまでのことを整理してみている。
みどり戦略の大義は「安全な食糧を安定的に確保する」であり、それを実現するためには新しい技術開発、イノベーションが必要だとなっている。そこでシンとんぼでは、同戦略のKPIやスマート農業について、その有効性や今後の農業に与える影響などをひととおり検証し、「食の安全」とは何かというテーマとを照らし合わせて、色々と考察を加えてきたのだが、その結果たどり着いたのは、どうやら現在の技術でも「安全」な食料の生産は可能ではないか? 何も現在の技術を否定する必要は無いのではないか? ということだ。前々回の農薬、前回肥料に続いて、今回は有機農業だ。
有機農業のKPIは、環境保全戦略KPIの1つであり、「耕地面積に占める有機農業の割合を25%(取組面積100万ha)に拡大(2050)となっている。有機農業は、農業の自然循環機能を大きく増進し、農業生産に由来する環境への負荷を低減するもので、有機農業が生物多様性保全や地球温暖化防止等に高い効果を示し、有機農業を増やすことで農業施策全体及び農村における持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献するとされている。
つまり、環境影響の大きい(といわれている)化学農薬・化学肥料を使用した一般農法の面積を減らし、環境影響の少ない有機農業の面積を増やせば、環境にやさしい持続可能な農業が展開できるというわけだ。
みどりの食料システム戦略は、「いいものだから増やそう」という論調で有機農業の取組面積を増やすための支援策がつらつらと並べられているが、「有機農業の面積をこれだけ増やせば、化学農薬・化学肥料の環境影響をこれだけ減らせる。なので面積拡大するんだ!」といった、なぜ実行しなければならないのかを示す「根拠」はどこにも示されていない。面積拡大を求めるのならば、最低限そのあたりの「なぜ?」には明快に答えてくれないと取り組みは進まないのではないか?
ましてや、「みどり戦略における有機農業の肥料の解説部分」には「堆肥等を多く入れれば土壌の有機物が増える」と記載されているが、堆肥だって多く入れ過ぎれば化学肥料と同様に河川等への富栄養化を起こす原因となるので、堆肥だって過剰な投入は厳禁だ。過ぎたるは及ばざるがごとしだ。
なので、労力とコストがかかりすぎる有機農業を無理して拡大して収量を減らすよりも、「化学農薬を正しく使用し、土壌診断に基づく化学肥料による適正施肥を徹底して、安全で安心な一般農産物を生産しましょう」という方が「安全な食糧を安定的に確保する」という大義に合致しているのではないか?とシンとんぼは思う。
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