【2017年 JAの米実態調査から】第2回 疎植栽培など新技術に期待も2017年9月3日
5年後の水田農業を全国のJAが予測
(一社)農協協会では、毎年「JAの安心・安全な米づくりと防除対策について」の実態調査を実施してきているが、今年は対象JAの約90%から回答があり、その調査結果がまとまったので、その主要な部分を、米の作付関連(第1回、第2回)と防除対策(第3回)に分けて順次紹介する。
●調査の概要●
この調査は、水稲作付面積100ha以上の全国566JAを対象に、各JAの水稲関係担当者(営農・購買)にご回答いただいた。調査方式は、郵送による自記入式アンケート調査で、調査期間は2017年2月23日~7月13日。回答数は509件(回収率89.9%)。
回答JAの地区別件数
○北海道=45件(回収率93.8%)
○東日本地区(東北6県、関東7都県、甲信越3県、北陸3県)=218件(回収率89%)
○西日本地区(東海4県、近畿6府県、中国5県、四国4県)=163件(回収率90.1%)
○九州地区(九州7県、沖縄)=83件(回収率90.2%)
◆北海道以外はコシヒカリ―主食用米作付銘柄
図6は28年産の主食用米作付銘柄をまとめたもので、各JAに作付面積の多い銘柄(品種)をもっとも多い第1位から5位まであげてもらい、その1位から3位までを集計した。
図の右側の表は、コシヒカリが作付3位までに入っているJAが308あり、全水稲作付面積のうちコシヒカリが占める割合(栽培比率)が55%だということを表している。それを上位20位まで記載した。左の図は、上位10銘柄の栽培比率をグラフ化したもの。
なお第1位銘柄としてもっとも多かったのはコシヒカリ(216JA)、ヒノヒカリ(82JA)、ななつぼし(36JA)、ひとめぼれ(25JA)、キヌヒカリ(24JA)。第2位銘柄はコシヒカリ(61JA)、ヒノヒカリ(36JA)、キヌヒカリ(35JA)。第3位銘柄はコシヒカリ(31JA)、あきたこまち(27JA)、ひとめぼれ(24JA)となっており、コシヒカリが圧倒的に多く、西ではヒノヒカリとキヌヒカリ、東ではあきたこまちとひとめぼれが健闘しており、北海道ではななつぼしという作付けになっている。
また、5年後にもっとも作付の多い主食用米銘柄についてきいたところ、回答JA(487)の43%がコシヒカリと回答している(北海道はゼロ)。次いでヒノヒカリが16%(九州では57%)、ななつぼしが7%(北海道では80%)、ひとめぼれとあきたこまちが4%となっている。
(図6)主食用米の作付け品種ベスト20
◆ミズホチカラなどが健闘―飼料用米作付銘柄
図7は飼料用米の作付銘柄について、図6と同様の方法でまとめたもの。
ここでもコシヒカリを作付けしているJAが多いが、トップ10銘柄の栽培比率ではミズホノチカラ70%、あさひの夢57%、あきだわら53%、きらら397が45%と高い栽培比率を示している。
(図7) 飼料用米の作付品種ベスト20
◆疎植栽培が普及東では鉄コ―も―今後普及する栽培技術
水田農業の大規模化は今後の大きな課題となっているが、そのためには効率化・省力化を可能にする水稲栽培技術の普及は必須といえる。現在、いくつかの新しい栽培技術が開発されているが、それが普及するかどうかを聞いたのが図8だ(複数回答)。
全国67%のJAが「疎植栽培」をあげた。東日本の53%がもっとも低く九州では88%のJAが今後普及するとみている。次いで「直播 鉄コーティング」が41%で、東日本では56%と疎植栽培を上回る回答率となっている。次いで「密苗」となっているが、東日本の49%がもっとも多く、次いで西日本の32%となっている。
(図8)今後普及していくと思われる栽培技術
◆育苗費・作業負担軽減が普及理由
疎植栽培が普及すると思われる理由としては、「育苗費の軽減」が58%ともっとも多い(図9)。次いで「慣行栽培と同等の収量があることが認められたため」が24%、「作業負担の軽減」15%となっている。とくに北海道では「作業負担の軽減」が41%(他地区では10%台)と高いことが注目される。また、他の栽培技術ではみられない「病害の低減が可能」という回答が九州で9%、全国でも3%あったことは注目していいのではないだろうか。
「直播 鉄コーティング」では「作業負担の軽減」55%、「育苗経費の軽減」41%となっているが、他の栽培技術でも、ほぼ同様の理由となっている。
(図9)栽培技術の普及理由
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