フィリピンで水田メタン削減 二国間クレジット事業でフェイガーと協業 ヤンマーアグリ2024年7月2日
ヤンマーアグリと現地法人Yanmar Philippines Corporation(ヤンマーフィリピン)は、フィリピンにおける水管理手法「Alternate Wetting and Drying(AWD)」を用いた水田メタン削減の取り組みでフェイガーと協業することで合意。11月頃から実証試験を行い、早期の普及と脱炭素への貢献を目指す。
仕組み図
フィリピンでは、水田由来のメタンは全産業で排出される温室効果ガスの約20%を占めていると推定され、水田由来のメタン削減の必要性が高まっている。また、日本の農林水産省は、農業分野における二国間クレジット(JCM)の活用推進に向けて、ASEAN地域の水田由来のメタン排出量削減およびAWD普及促進のためのMRV(算定・報告・検証)構築の検討を進めている。
ヤンマーアグリとヤンマーフィリピンは、フェイガーと協力してこれらの仕組みの普及を加速させ、カーボンクレジット創出による現地農業生産者の収益確保の実現と、農業分野の脱炭素化に向けて取り組みを進める。
同事業では、ヤンマーアグリ、ヤンマーフィリピン、フェイガーの3社で協力し、現地水田でのメタン排出・削減量、カーボンクレジット創出による農家の収益シミュレーションなどを、実証試験を通して検証する。
ヤンマーアグリとヤンマーフィリピンの農業機械の販売で培ったフィリピン全土の生産者や農業関係者とのネットワークと、フェイガーのカーボンクレジットのノウハウを生かしながら、生産者と協力してカーボンクレジットを創出することを目指す。また、ヤンマーグループでは、この取り組みにより創出されたクレジットを用いてカーボンオフセットに取り組み、環境負荷低減と生産者の収益拡大を両立した持続可能な農業の発展に貢献する。
温室効果ガスの測定
AWDは、水稲栽培において潅水制御を繰り返す水管理技術の一つ。フィリピンでは通常、水田は連続的に湛水状態であり、土壌中のメタン生成菌がメタンを発生させる。一方、AWDでは、一定期間水田を乾燥させ、土中に酸素を供給することでメタン生成菌の活動を抑制し、常時湛水と比べてメタン排出量を低減。また、通常の水稲栽培では、湛水状態を保つために大量の水を使う必要があり、水資源が十分でない地域においては、水資源の浪費が課題の一つになっている。
AWDは水田を一時的に乾燥させることで、水の使用量を大幅に削減できるだけでなく、ポンプを利用する際の燃料消費量の低減が見込まれ、温室効果ガス削減の観点からも注目されている。
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