畜産業の労災が10年前の1.5倍に増加 北海道十勝地方 帯広労基署が労災防止へリーフレット作成2023年2月8日
畜産業における労働災害の発生が増加傾向にあるとして、北海道・帯広労働基準監督署は独立行政法人家畜改良センター十勝牧場と連携して、労災防止対策のポイントをまとめたリーフレットを作成した。畜産業をめぐっては、飼料高騰などで経営環境が厳しさを増し、安全対策への配慮が十分いきわたらずに労災につながるケースもあると考えられることから、同労基署は「具体的な事例も盛り込んでいるので参考にして労災防止につなげてほしい」と話している。
帯広労基署が家畜改良センター十勝牧場とともに作成したリーフレットは、全22ページ。家畜に起因する10の具体的な災害事例を紹介し、それぞれ原因と対策を記載している。
例えば凍結した牛舎エプロン部で牛に引っ張られて転倒して全治2か月のけがをしたケースは、凍結して滑りやすい部分への砂などの散布が行われていなかったことが原因で、天候に応じて融雪剤や砂などを散布することを求めている。また、牛や馬に突き飛ばされたり後ろ足で蹴られるなど、牛との接触中にけがをした事例も多く、それぞれのケースに応じて危険牛がいる牛房では複数で作業に当たることや接触時の注意点などを記している。
後半部分では、労働安全衛生関係法令のポイントとして、機械への巻き込まれの災害防止の注意点やトラクター・ショベルなど重機の適正な使用について記している。
畜産業の労災事故は北海道が全国でも最も多く、2021年には全国で発生した1209件のうち北海道が276件に上った。また。同労基署管内の十勝地方では昨年1年間で畜産業で52件の労災が発生し、前年より4件(8.3%)増加、10年前と比べると約1.5倍に増えるなど増加傾向にある。
同労基署は、経営規模が拡大する中で経験の浅い労働者を雇用するケースが増えていることが背景にあるとみているのに加え、飼料高騰などで畜産をめぐる経営環境が厳しさを増す中、安全対策への配慮が行きわたらずに労災につながるケースが増える可能性もあるとみている。
同労基署は「家畜改良センターの知見も得て初めて畜産業に特化したリーフレットを作成した。具体的な事例を参考にして労災防止に努めてほしい」と話している。
リーフレットは以下からダウンロードできる。
https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-roudoukyoku/content/contents/001372419.pdf
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