感染牛の早期発見と診断精度向上 新規ヨーネ病遺伝子検査キットを製品化2023年11月29日
農研機構とニッポンジーンは、主に牛の病気であるヨーネ病の新しい診断薬として、2種類の遺伝子検査キット「ヨーネ・ファインド」と「ヨーネ・ファインドプロ」を製品化した。スクリーニング検査に用いる「ヨーネ・ファインド」は、現行検査法より半年以上早く感染牛を発見でき、確定検査に用いる「ヨーネ・ファインドプロ」は、特異性が高く正確な診断が可能。2つの検査を組み合わせることで、感染牛の早期発見と診断精度の向上が見込まれ、国内のヨーネ病清浄化の推進が期待される。
慢性の下痢で極度に痩せたヨーネ病発症牛
ヨーネ病は、牛などの反すう動物が慢性下痢を示す細菌感染症で、家畜伝染病予防法において家畜伝染病に指定されている。有効なワクチンや治療法がないため、定期的な検査によって感染牛を見つけ、農場から排除することで清浄化を進めているが、依然として全国的に発生が確認されており、国内では年間1000頭程度が患畜と診断され殺処分されている。
ヨーネ病の清浄化には感染牛の早期発見が重要だが、感染牛の多くは数年間にわたり全く症状を示さないために発見が難しい一方、無症状でも長期間、糞便中に菌を排出していることがある。現行の検査法の課題として、こうした無症状排菌牛が発見されずに農場の汚染を拡大し、対策が長期化することが挙げられている。
農研機構とニッポンジーンは、感染牛の早期発見と診断精度の向上を目指して、リアルタイムPCRを用いた2種類の新しいヨーネ病遺伝子検査法を開発。検査キットとして製品化した。そのうち、「ヨーネ・ファインド」は、糞便中のヨーネ菌遺伝子を検出するキットであり、感染疑いの牛をふるい分けるスクリーニング検査に用いる。同キットを用いることで、現行のスクリーニング検査法である抗体検査より半年以上早く感染牛を発見することが可能となる。
一方、「ヨーネ・ファインドプロ」は、スクリーニング検査で陽性になった牛が真の感染牛であるか診断するための確定検査に用いる。蛍光標識プローブを用いた特異性の高いリアルタイムPCR法へ改良されており、正確に感染牛を特定できる。
製品化したヨーネ病遺伝子検査キット
「ヨーネ・ファインド」と「ヨーネ・ファインドプロ」は、動物用体外診断用医薬品として承認。今後、国が定める家畜伝染病予防法施行規則別表第1に記載され、全国のヨーネ病検査に活用されることが期待される。
両キットは11月28日にニッポンジーンから発売された。
重要な記事
最新の記事
-
(382)「ファミリー・ビジネス」の生き残り【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年5月3日
-
むらの掟【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第289回2024年5月2日
-
主食用多収品種の「にじのきらめき」が人気になる理由【熊野孝文・米マーケット情報】2024年4月30日
-
令和6年春の叙勲 5人が受章(農水省関係)2024年4月29日
-
シンとんぼ(90)みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(1)2024年4月27日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(8)【防除学習帖】 第247回2024年4月27日
-
土壌診断の基礎知識(17)【今さら聞けない営農情報】第247回2024年4月27日
-
【欧米の農政転換と農民運動】環境重視と自由化の矛盾 イギリス農民の怒りの正体と運動の行方(2)駒澤大学名誉教授 溝手芳計氏2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内で多発のおそれ 熊本県2024年4月26日
-
【注意報】核果類にナシヒメシンクイ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2024年4月26日
-
【注意報】ムギ類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 愛知県2024年4月26日
-
「沖縄県産パインアップルフェア」銀座の直営飲食店舗で開催 JA全農2024年4月26日
-
「みのりカフェ博多店」24日から「開業3周年記念フェア」開催 JA全農2024年4月26日
-
「菊池水田ごぼう」が収穫最盛期を迎える JA菊池2024年4月26日
-
「JAタウンのうた」MV公開 公式応援大使・根本凪が歌とダンスで産地を応援2024年4月26日
-
中堅職員が新事業を提案 全中教育部「ミライ共創プロジェクト」成果発表2024年4月26日
-
子実用トウモロコシ 生産引き上げ困難 坂本農相2024年4月26日
-
(381)20代6割、30代5割、40/50代4割【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月26日
-
【JA人事】JA北つくば(茨城県)新組合長に川津修氏(4月20日)2024年4月26日