「くらしの活動」再構築へ JA全中が推進方策2016年4月8日
JA全中はこのほど「JAくらしの活動推進研究会報告」をまとめた。平成27年5月に設置した「JAくらしの活動推進研究会」の協議内容を集約したもので、「JAくらしの活動」の必要性や概念を改めて整理した。その上で、活動から事業への展開方法やJAファン・准組合員づくりの観点から効果的な進め方を提起している。要点を紹介する。
◆計画策定JAは3割
まず、「JAくらしの活動をめぐる現状」は、JAごとに「JA地域くらし戦略」を策定することになっているが、戦略を策定し、進捗状況を確認しているJAは全体の3割にとどまり、また支店行動計画に反映させているJAは全体の2割だった。
一方で、何らかの形で「JAくらしの活動」に取り組んでいるJAは約7割を超え、ある程度浸透してはいるが、最近3年間は新規に着手しているJAは少ない。「食農教育プラン」の策定も全体の4割に満たない。
活動の内容は、対象を小学校低・中学年とその保護者を優先する傾向は高いが、高齢者を対象とする割合は少ない。また支店行動計画の内容は、地域貢献活動やイベント的な行事が多く、「継続的な開催にむけた企画力の向上が求められる」としている。
◆いま一度検証が必要
こうした状況について研究会報告は、「第26回JA全国大会で提起した『JAくらしの戦略』策定が停滞していることから、これまでの検討経過や推進方法の再検証が必要」と指摘。特に「くらしの活動担当者の育成」に関して、JA全中が22年度に提起した「JAくらしの活動推進体制の整備(中間報告)」以来、具体的な対策に着手していないことから「いま一度整理が必要」とする。
その前提で、問題点として、現在展開している活動がJAの主導になりがちであることを挙げる。「『JAくらしの活動』は、安心して暮らせる地域づくりと豊かなくらしを実現するために組合員や地域住民が自主的に取り組む活動であり、JAはそれを支援する」と位置付けている。
その上で、問題点として、第1に必要性の説明不足を挙げる。特に事業を優先せざるをえない役員・経営層の理解が必要。次いで活動の主体と領域、活動と事業の区分のあいまいさを指摘する。特に「くらしの活動」と「生活文化活動」の領域が不明確で「くらしの活動」の概念や活動領域が県域、JAによって異なっている。
さらに、(1)関係部署・事業連との連携不足、(2)推進体制の欠如、(3)総括機能の欠如、(4)「地域くらし戦略」策定・実践に関する具体策の欠如、などを挙げている。
◆JAファンづくりを
研究会報告は、このように問題点を整理した上で、これからの活動の方向性」として、(1)地域住民が安心して暮らせる魅力的で活力ある「地域づくり」に取り組む、(2)食と農、地域とJAを結ぶ取り組みで「地域農業の振興を図る」、(3)活動から事業への転換を図り、事業間の横断的な連携による総合事業のメリットを創出する、(4)JA組織の基盤強化に向けてJAファン・准組合員づくりを進める、(5)JA組合員・役職員が連携してとりくむことでJAの一体化を図る、を挙げている。
(写真)子ども対象に比べ、取り組みが弱い高齢者向けの活動
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