本格栽培2年目の「潟たまねぎ」19年産は400t出荷 JA大潟村2019年9月4日
秋田県のJA大潟村では、組合員の農業所得の増大のため、稲作プラス高収益作物への取り組みとして「潟(かた)たまねぎ」の愛称でタマネギの生産拡大を進めている。

困難な課題も多いがほ場巡回しながら皆で学ぶ
同JAでは、米に代わる新たな高収益作物として、植え付けから収穫まで多くを機械化ができるうえ、安定した需要があるタマネギに注目した。県外の産地の視察や、市場調査、試験栽培を行ったうえで、2017年秋に栽培に着手した。
「潟たまねぎ」は、地元の端境期の7月、8月に出荷する。19年2月に乾燥・調整・貯蔵施設が完成し、産地化を進める体制が整った。
19年産は、7月2日に生産者、村、県など関係者50人を集めて開催した「潟たまねぎ出発式」を行った。
小林肇組合長は、「タマネギ生育に適した場所ではないが、年々改良を積み重ねてきた。大潟村でもタマネギが取れることをアピールしていきたい」と挨拶した。
その後、生食用は、イオン系列のスーパーや秋田県内のスーパーなどで販売されるほか、加工用は、福島や関東の業者に販売され、現在は、出荷が終わっている。
同JAには「たまねぎ生産組合」があり、2019年産は23人の生産者が約60haで栽培した。しかし出荷量は計画を下回る400tにとどまった。
秋に植え付ける2020年産は、30人が80haに作付けする。JAでは数年後をめどに100haの作付と4000tの収穫を目指している。
もともと湖だったため土壌は粘土質で、機械が入りづらいことや収穫したタマネギに泥が付着し乾燥が難しいこと、また生産者も栽培・収穫に馴れていない。このため、JAの営農指導員だけでなく、県の普及組織や秋田県立大学と「たまねぎ生産組合」の生産者たちが一緒になって、栽培技術の向上に努力を続けている。
収穫などに大型機械が必要だが、国の産地パワーアップ事業を使ってJAが機械を導入し、生産者にリースで貸し出しを行っている。
(写真)タマネギ収穫機
課題は、調整や選別などの作業で必要となる労働力の確保だ。忙しいときにはJA職員も参加して作業を行う。機械化作業で行うものも多いが、人の手が必要なことも多い。選別作業では、腐っているものや変形しているものは人間の目で選別する必要がある。また、出荷先によって、コンテナ出荷のもの、箱詰め出荷のものなど様々なものがあり、現在は人間に頼らざるを得ないなど課題も多いが、本格的な産地化をめざしていくという。
(写真)選別作業には人手が必要
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