「基本法」改正に備えて 見直しの視点を探る 新世紀JA研究会2022年11月25日
全国のJAの常勤役員らでつくる新世紀JA研究会(代表=三角修・熊本県JA菊地組合長)は11月17日、東京で、食料・農業・農村基本法(基本法)の見直しについてのセミナーを開いた。JAグループとして基本法改正への備えを固めようというもので、農水省の大臣官房企画官の加藤史彬氏、日本農業法人協会の紺野和成専務、農中総研客員研究員の清水徹朗氏の報告をもとに意見交換した。
農水省の加藤氏は基本法にもとづく基本計画の変遷について話した。1999年に基本法が制定されてから20年、さかのぼると1992年の「新しい食料・農業・農村政策の方向」(新政策)が示されて30年経つ。その後、5年ごとに2020年までの5回の基本計画が策定されたが、国内市場の縮小や生産者の減少・高齢化、世界的な食料情勢の変化に伴う食料安全保障のリスクの高まり、気象変動など、「わが国農業をとりまく状況が想定されなかったレベルで変化している」と、基本法見直しの背景を説明した。
農林中金総研客員研究員の清水徹朗氏は、1992年の基本法以来の大きな変化として、①グローバリゼーションの一層の進展、②農業者の高齢化、③中国の台頭と米国の地位の低下、④地球環境問題の深刻化などを挙げた。
その上で、2012年に発足した第2次安倍政権が、規制改革会議を利用して強引に進めた「農政・農協改革」で掲げる「農業成長産業化(企業的農業の育成。6次産業化、輸出促進等)は「十分な成果をあげていない」と分析する。
基本法見直し事項として、第1に担い手に関し、「一部の大規模な担い手だけでは地域農業が維持できず、小規模や高齢農家も重要な担い手として位置付けるべき」という。また農業構造の改革は地域の実情に応じて進めるべきで、農地中間管理機構の見直しを提起した。
また法人経営の占める割合が大きくなっており、それに伴う雇用労働が増えていることから、その対策とともに、特に外国人雇用の位置付けが求められている。この視点で清水氏は「発足から30年が経過した認定農業者制度のあり方を再検討する時期にきている」と指摘する。
一方、「みどりの食料システム戦略」については、2050年までに実現をめざすCO2ゼロエミッション、有機農業25%の実現などの高い目標については「政策手段が乏しく、畜産部門の取り組みが弱い。土地改良事業や土地利用計画のあり方も含めた総合的な対策が必要」と指摘した。
担い手の中核として期待の大きい法人経営については、日本法人協会の紺野専務が今後の農業発展のためには、法人が離農農家の農地を着実に引き継げるよう「法改正」の必要と強調した。また生産コスト削減のための施策、特にスマート農業の早期実現などを訴えた。
ディスカッションでは政策の決定・実行のプロセスについて「現場感覚に乏しい人が委員になって審議しており、現場とのずれが大きい。そのため計画ができても実行は別で、政治的に選択されている」などの手厳しい意見が出た。また「輸出の拡大や6次産業化もいいが、それより重要なのは、日本農業そのものの検証だ」、「重要なのは農家が農業で生活できること。それが実現すると食料の自給率も上がる」など、農業政策の根本を問う発言もあった。
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