7JAが初の「JA女性職員活躍サミット」開く2024年5月8日
JA鹿児島きもつきなど7JAは5月7日、組合長と女性職員が参加した初の「女性職員活躍サミット2024」を東京・大手町のJAビルで開いた。サミットではグループディスカッションに時間を割き、JAが女性職員をさらに登用し活躍するための課題などを話し合い、「7つの行動計画宣言」を採択した。
JA女性職員活躍サミット2024の参加者のみなさん
集まったJAは、JAいちかわ、JAはだの、JA松本ハイランド、JAぎふ、JAグリーン近江、JAみえきた、JA鹿児島きもつき。
サミット開催を呼びかけたJA鹿児島きもつきの下小野田寛組合長は「日本を良くするためにJAががんばろうという思いがある。そのためには女性の力の発揮が必要だ」とあいさつした。
ただ、JAの女性職員登用は進んでいないのが実態だ。JA全中の2020年の調べでは女性の係長以上が18.6%、課長以上が10.5%、部長以上が4%だった。さらに常勤理事に占める女性の割合は0.8%に過ぎない(2022事業年度)。
情勢報告でこうした実態を紹介した農林中金総研の斉藤由里子特別理事研究員は、女性の役職員が活躍することで、能力と意欲あれば男女を問わず誰でも活躍できる職場となり得ることや、役職員に多様性があることでイノベーションを引き起こす可能性が高まることなどを指摘した。
また、女性が働きやすく生活しやすいことが、子どもを産み、育てやすい社会につながることも強調し、「JA全体として女性の活躍を推進することが大切。とくに女性の常勤理事を増やすため女性職員が実績を積んでいくことが大事」と提起した。
グループディスカッションで組合長らは、変化の激しい時代に適応するためは女性を初め多様な経験や意識を持つ人材の大切さを強調した。とくに女性は出産や子育てなど男性にはない経験を持ち、それをJAもキャリアと捉えて「いろいろなアイデアを出してほしい。女性の経験をJAと組合員のために生かしてほしい」との声もあった。
女性を登用するための育休制度や、時短制度の導入など事例も報告された。JAぎふでは職員の約5%に当たる40人ほどが育休中だという。また、時短を選択できる期間を子どもが12歳までに延長した。こうすることによって選択肢を増やし、自分がどう働きたいかを判断する環境づくりを支援したいという。時短を選択した期間中でも、集中し工夫して業務に励むという意識を持つ職員も少なくことも報告された。
JA松本ハイランドは「育児休業はキャリアをストップすることではない」との考えで、職場復帰を支援するキャリアカムバック制度を導入した。
活発な意見交換が行われたグループディスカッション
女性職員の活躍を広げるためプロジェクトを活用しているJAもある。JAグリーン近江は女性活躍推進プロジェクトをスタートさせた。月に1回、男性もメンバーのミーティングを開いている。同JAの女性職員によると「最初は愚痴しか出てこなかった。それでも思っていることを吐き出す場は大事」と会合を重ねるうち、1時間単位で取得できる有給休暇制度を提案。来年4月から実現も予定で「自分たちの声が届いた」という自信も生まれてきたという。
一方で男性側の意識改革の必要性も強調された。仕事の内容について営業や渉外などは男性、事務職は女性といった決めつけの意識はまだ強いという声も。ただ、窓口業務の女性職員を営業職へ育成している事例や営業職の経験がなくても管理職に登用している事例なども報告された。その一方で、組合長からは女性を支店長などに登用すると男性職員や地域の男性組合員から「大丈夫なのか?」と言われるとの声もあった。
管理職に登用された女性職員からは「女性はがんばり過ぎる」実態もあることや、女性管理職のロールモデルやキャリアパスがないことも女性登用が進まない課題との指摘も出た。
こうした意見交換のうえで共有されたのが、職務の適性は男性、女性ではなく人物で見出すべきであり、女性のキャリアパスを形成するためにも女性の登用を広げる必要があること、また働きやすさを実現すると同時に、地域や組合員のために働きがいを高めることも重要で、協同組合組織として職員が支え合うことなどだ。
サミットではJA女性職員活躍サミット2024「7つの行動宣言」を採択した(後掲)。JA松本ハイランドの田中均組合長は最後に「JAは営農と暮らしを守るを掲げている。暮らしをいちばん知っているのは女性。その女性が活躍していないのに、何が暮らしを守るか? となる。後には引けない」などを強調した。
【JA女性職員活躍サミット2024 7つの行動計画宣言】
◯仕事にやりがいを持てる公正な業務の配置、配分の実践と職場風土の確立を図り、柔軟で働きやすい職場づくりを目指します(JAいちかわ)
◯私達は助け合い組織としての女性が活躍できる職場風土づくりの醸成(女性だけでなく全体的なフォロー体制の検討)(JAはだの)
◯わたしたちは女性職員の活躍の場を広げるためキャリアカムバック制度をすすめます(JA松本ハイランド)
◯役職員間のコミュニケーションをさらに深化させ、男女関係なく一人ひとりが輝く職場づくりに取組みます(JAぎふ)
◯各女性比率において「黄金の3割」をめざします(JAグリーン近江)
◯女性がキャリアアップしたいと思える「風通しのよい」「働きがいのある」職場をつくります(JAみえきた)
◯頑張りすぎず仕事も育児も介護もみんなで助け合い(JA鹿児島きもつき)
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