JAの活動:【緊急特集・JA対話運動】
【緊急特集・JA対話運動】第2回<JA岩手ふるさと(岩手県)>「営農座談会」を核に組合員と一体で農業振興2019年3月18日
JA岩手ふるさとは、組合員のJAに対する要望や注文を「徹底した話し合い」によって汲み上げ、営農指導および営農サポートにつなげている。今日、作目や経営形態の多様化で話し合いの機会が少なくなっているが、稲作が中心の同JAでは、生産部会を軸とする営農座談会が重要な役割を果たしている。こうした基盤をもとに全組合員調査を着実に実施している。
JAグループは、いま正・准組合員を合わせた全組合員調査を全国規模で行っているが、JA岩手ふるさとの高橋隆常務は、「組合員との話し合いは農協運営の基本で、わがJAは率先して、組合員と徹底した話し合いをやってきた」と言う。同JAでは、これまで全職員による全戸訪問や、集落・営農座談会などを徹底してやってきた。
◆第3水・木が総外務活動
同JAの組合員構成は約1万1000人の正組合員に対して准組合員はその半分強の6000人余り。
同JAでは、毎月第3週の水・木曜日が「総外務活動日」で、管内の正組合員と農村部の准組合員全戸、それに都市部の准組合員の一部の戸別訪問を行っている。支店窓口業務などの内勤者を除く全職員が担当地区を回り、JAの事業を説明するとともに、組合員の注文や要望などを聞く。その時、訪問先の近況確認を行い、終了後には「総外務活動実施報告書」に記載し、情報を集約する。
各家庭に外務活動日を明記したカレンダーが配布してあり、訪問時間帯も決まっていることから、職員の訪問を待っている組合員も多い。「これが職員のモチベーションを高める動機付けにもなっている」と高橋常務。
職員一人当たり40~50戸を訪問する。この仕組みを使って、全組合員アンケート調査に、1月の総外務活動日から取り組んできた。3月の総外務活動日までには終える予定だ。事前研修で調査の主旨も徹底させた。
(写真)正組合員全戸対象の「総外務活動日」の訪問
◆多様な担い手幅広く訪問
米穀販売取扱高98億円を主力としつつ、多品目もあわせると170億円余りの販売取扱高を持つ、営農経済事業を主体とするJAである。当然ながら話題は米穀や園芸、畜産などの正組合員農家が対象で、それが「冬期営農座談会」や「営農指導会」だ。
2月中旬に集落ごとに開いている冬期営農座談会は4、5日かけてJAの事業方針を説明する。これがその年の営農指導のスタートとなり、参加者は231会場で延べ3000人に達する。
同JA管内では大規模農家約100人が水稲全体の約半分を生産しており、座談会参加者全体で管内水稲のほとんどをカバーする。また米穀部門では、3月から9月まで管内216会場で現地指導会を開く。
このほか、JA全農が主導するTAC(出向く営農経済担当)が始まる前から設けている「営農アドバイザー」が営農指導・サポートを行う。さらに平成28年から、JAの5か所の地域センターの営農経済課に「担い手担当」職員を配置。現在営農アドバーザー63人、担い手担当22人が、組合員の営農・生活など、組合員のさまざまな相談に応じ、ニーズを聞く活動を展開している。こうした出向く体制の充実で、「当初は『大きい農家だけ見ている』という指摘もあったが、小規模生産のさまざまな担い手を含めて、幅広く訪問できるようになった」と高橋常務は言う。
こうした正組合員を対象とする「徹底した話し合い」を通じて出てきた資材価格の低減に関する組合員の意見に対しては、JAでは「同じ物であれば、少なくとも同じ価格にする」という姿勢を示し、集落座談会や営農指導会に出席する職員にも徹底。組合員の要望に応え、従来は系統と商系が同じ場で資材価格を協議していたものの、思うような価格が実現できなかったことから個別交渉に切り替え、価格の引き下げに努めた。
(写真)管内の水稲作のほとんどをカバーする農家が参加する冬期営農座談会
◆直売所で農協をPR
一方、同JAには平成24年にオープンした東北最大級の直売所「産直来夢くん」がある。ここが地産地消・食育・JAの情報発信の拠点になっている。直売所で開くJAまつり大収穫祭には准組合員を含めた組合員や地域の人たちが約3万人参加している。そのほか各種イベントで地域の人々の暮らしの拠点になっている。「『来夢くん』を覚えてもらうとともに、ここに来れば農協のやっていることは何でも分かる」と高橋常務は胸を張る。
(写真)「産直来夢くん」を拠点とする地域でのくらしの活動
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・【緊急特集・JA対話運動】まとめ
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