JAの活動:【緊急特集・JA対話運動】
【緊急特集:JA対話運動】第15回 加藤和奈JA全国女性組織協議会会長に聞く 説明ではなく思いを伝えて2019年7月22日
JA全国女性組織協議会の加藤和奈会長は、「汗をかく」、「字を書く」、「恥をかく」の「3かく運動」を自分に言い聞かせてきたという。「迷ったとき、とにかく一歩踏み出すための指針です」。JA職員の対話運動にとって指針となりそうだ。今回は加藤会長の思いを聞いた。
◆JA役職員は、自分の言葉で伝えてほしい
JAと組合員との関係が、近年は確かに希薄になってきていると感じます。組合員のなかにも、JAは行政のような組織と感じていたり、JAについてよく知らない人もいます。希薄になった関係を取りもどすには対話が必要です。
ただ、自己改革に関する対話にしても、資料を使って説明するだけだったり、難しい言葉で話されると、組合員からみると遠い存在に感じがちで、ますます疎遠になってしまいます。JAの役職員の方々には、女性の目線、生産者の目線、消費者の目線になってみてもらうこと、また分かりやすい言葉、自分の言葉で話すことが大切だと思います。
私自身は、「3かく運動」を行動の指針にしています。「3かく運動」は学生時代の恩師が繰り返し言っていたことで、「汗をかく」は躊躇せず、まずは行動すること。「字を書く」は実際に自分の思いを文字に書く、頭のなかにしっかり書き込むこと。
そして「恥をかく」、これは恥をかいても自分の思いを伝えることが大事ということです。この「3かく運動」は自分が迷ってどうしたらいいか、というときに一歩踏み出す指針としてきました。女性部での活動も、これを心がけ取り組んでいます。
「稲のことは稲に聞け、農業のことは農民に聞け」という言葉もあります。対話なくして成長なし。新しいことを切り拓いていくことはできません。
JAの役職員の方々には、JAは命と食と暮らしを守るという自信と誇りを持って、自身の熱い思いを伝えてほしいと思います。
(写真)加藤和奈会長
◆組合員の側も、意識改革を
一方で、この機会に組合員も意識改革が必要です。以前、「組合員が自分の思いを伝えて、農協は変わるの?」という疑問が組合員から出たこともありました。女性部では、JAとの意見交換会を年1回実施していますが、その場では意見をうまく伝えられないこともあります。あらかじめ、JAへの意見や要望を出してもらって、役職者に答えてもらうような形式にするなど、お互いにとって良い対話になるよう工夫をしています。
また、私自身、いまでは組合員の思い、視点を積極的に伝えるようにしていますが、初めてJAの役員になったときには、発言してよいのか躊躇したこともありました。その際、「農家、消費者を兼ねた存在だからこそ、発言してほしい」と周囲に背中を押してもらったことを覚えています。それぞれが、腹を割って話すという行動が求められているときだと思います。
◆女性部活動で、地域住民にも「食」と「農」を伝えていく
地元の女性部(JAあいち海部女性部)では、「100年先の子どもたちにも、自信と誇りを持って、豊かな食と農を伝えていこう」という考えで、食農教育活動に力を入れています。
そのひとつが2歳児がおにぎりを握り、親やおじいちゃん、おばあちゃんが食べる「はじめての料理は『おにぎり』プロジェクト」です。
「はじめてのお使い」のように、人生初の記念日は小さい頃にはたくさんありますが、「はじめての料理記念日」をJAがお祝いしない手はありません。感受性の高い2歳の子どもが、おにぎりをつくる経験を通じて、将来、ご飯が好きな人になれば、米の消費拡大にもつながります。
地元のテレビで取り上げられると申込みが殺到し、大勢の人がJAに集まりました。なかには、「JAは農家やお年寄りが来るところだと思っていた」「そもそもJAって何ですか」という声も聞かれました。JAは、農業はもちろん、地域の食にも関わっているんですよ、ということを、伝えていくきっかけになると思います。
また、「はじめての料理は『おにぎり』プロジェクト」で、お父さん・お母さんたちに話していることがあります。ちょうど60年前、愛知県を伊勢湾台風が襲った際、地域で大勢の犠牲者が出て、田んぼは水没し、壊滅的な被害を受けました。それ以来、海部郡では早場米づくりに力を入れ、お盆前に出荷する稲作に変え、お米を届けてきました。最近は昔を知らない世代も増えていますが、こうした歴史を話すことで、「100年先の子どもたちにも、豊かな食と農を伝えていこう」という思いを伝えたいと考えています。
(関連記事)
・【緊急特集・JA対話運動】まとめ
重要な記事
最新の記事
-
どこまで理解しているのか小泉大臣【小松泰信・地方の眼力】2025年6月25日
-
フードバンク、子ども食堂への備蓄米無償交付を追加 農水省2025年6月25日
-
【人事異動】農水省(6月23日付、24日付、25日付)2025年6月25日
-
ブラジル向け精米 検疫条件が緩和 農水省2025年6月25日
-
【JA人事】JA福山市(広島県)占部浩道組合長を再任(6月24日)2025年6月25日
-
【JA人事】JAとうと(岐阜県)古川敏之組合長を再任(6月20日)2025年6月25日
-
【JA人事】JAいずみの(大阪府)谷口敏信組合長を再任(6月25日)2025年6月25日
-
【JA人事】JA松任(石川県)得田恵裕組合長を再任(6月21日)2025年6月25日
-
【JA人事】JAハリマ(兵庫県)柴原利春組合長を再任(6月21日)2025年6月25日
-
エンゲージメント向上へ若手職員がプロジェクト 「目安箱」設置も JAさいたま2025年6月25日
-
土壌診断研修会(基礎編)を開催 JA全農みえ2025年6月25日
-
みえの米ブランド化推進会議総会を開催 高温耐性「結びの神」拡大へ JA全農みえ2025年6月25日
-
「2025愛媛みかん大使」募集中 JA全農えひめ2025年6月25日
-
第53回通常総代会を開催 JA鶴岡2025年6月25日
-
青森県産 稀少な大玉さくらんぼ「ジュノハート」を数量限定販売 JAタウン2025年6月25日
-
【農と杜の独り言】第1回 国際園芸博覧会とは 千葉大学客員教授・賀来宏和氏2025年6月25日
-
アズキの遺伝子の知見を利用 ダイズのさやの弾け難さを強化 農研機構2025年6月25日
-
「水稲移植栽培における除草剤体系処理によるナガエツルノゲイトウ防除技術」SOP公開 農研機構2025年6月25日
-
"カメムシ急増"に天然成分100%の「モスガード スプレー」 第三者機関の試験で一定の効果 たかくら新産業2025年6月25日
-
近赤外分光とAI活用の次世代土壌分析サービスを開始 片倉コープアグリ2025年6月25日